弟か彼氏かわからない!
男女の間では友情は不可能だ。
情熱と敵意と崇拝と愛はあるが、友情はない。
- オスカー・ワイルド -
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どうしよう…浮気現場をバッチリ目撃したよ…
ゆきと一緒に歩いてるあの男誰なんだ?弟か?それとも…
セフr…んなわけないよね、せいぜい彼氏ってとこか…あはは…
「ゆっきー、カラオケに行かない?」
カラオケだと!?けしからん!
男女が密室でふたりきりとか、あれしかないよね!?
ここはゆきを信じよう、彼女はそんな誘いに乗るわけない…
だって彼氏の俺ですら一緒にカラオケ行ったことないし…
「いいね。行こう!」
前言撤回!?秒でオッケー貰った!?うちの彼女ビッチなん!?
落ち着け、ゆきを信じるんだ、ゆきは俺を裏切らない、多分。
心配してきた…俺が止めに行った方がいいかな?
いや、ダメだ。尾行がバレる。バレたらゆきに殺される。
でも…
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。ここで待ってて。」
あの男がゆきにそう伝えた後、こっちに歩いてきた。
やっべ、バレたんじゃねぇ!?とりあえず一旦撤退だ。
「おい、お前。」
話しかけるなぁ!大丈夫、イヤホンしてるから聞こえないふりしよう。
「聞こえてるんだろ、なんか用か?」
流石に返事しないといけないか、とりあえず誤魔化すしかないよね。
「久しぶりじゃん!最近どうよ?」
1ミリも知らないけど知り合いのふりをすることにした。
「だれ?」
「幼なじみの田中太郎だよ、覚えてないのか?」
そうだ、俺は君の幼なじみの田中太郎だ。
あたしのことを忘れたなんてひどいわ…
まあ、俺も覚えてないけどね。
「いやっ、幼なじみいないんだけど…」
そうですよね…幼なじみの田中太郎いるわけないよね…
考えろ、俺…いい言い訳とかないのか…
…思いついた!
「あの、お姉ちゃんの彼氏ですか?」
そうだ、ゆきの弟のふりをして彼氏ですかって聞いたらいいんだ。
彼がゆきの弟だった場合、困惑するんだろう。
仮に、仮にだぞ、彼がゆきの彼氏だった場合、弟である俺に自己紹介でもするだろう…
これでこの男の正体が分かる。天才か、俺?
「へぇー、ゆっきーって弟いるんだ…初めまして、彼氏のひろとです、よろしく。」
えっ?かっ、彼氏?
俺以外の男が?
…
「よっ、よろしく。あっ、ちょっと用事がぁ、またね。」
もういやだ、知りたくないことを知っちまった…走って帰ろう。
その後、俺は部屋にこもってひたすらゲームしてた。
これ確実に寝取られたよね…
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「ひろと遅い!」
「ごめん、そういえばさっきゆっきーの弟に会ったよ。」
「なにそれ、弟なら目の前にいるじゃん(笑)」
「せやな、じゃあカラオケに行くか。」
「ごめん、あれまだ終わってないからパスで。許して!」
「はいはい、分かったよ、お姉ちゃん。買い出しも終わったし帰ろうか。」
「うん!」
(さっきの人お姉ちゃんの彼氏だったよね…
絶対に許さない…
お姉ちゃんだけは渡さないからな…)
お金が欲しい、諭吉がほじぃ