可愛ければポンコツでも好きになってくれますか-1-
最近初めて友たちと水族館に行きました、どこが楽しかったのか上手く説明できないけど素敵な体験でした。
「来ちゃったね、ホテル」
「…」
「すごい濡れてるじゃん、脱いじゃおうよ」
「…」
なんだこの状況…なんで俺とゆきはラブホにいるんだぁあぁあ!!
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事の発端は、一日前にさかのぼる。
もう12時か、そろそろ寝るか。寝る前にゆきがくれた誕プレでも眺めよ。
ハート型の箱、それにハート型のチョコ、どれもピンクか赤色で出来ている。
このピンクのチョコは多分ルビーチョコかな、ルビィチョコの特徴はベリーのような酸味があることらしい。そして赤いやつは…うーん、着色料だな…なんか外国のカラフルな激まずキャンディーみたいな毒々しい色してて正直食欲あんま湧かない。あとで妹にも分けてやるか、惨めな非リアを救済してあげようではないか。
ハート型のチョコか…どんだけ俺のこと好きやねん、俺も好きだよゆき、チュッ…
「デュフデュフデュフフ」
「くそ兄貴キモい」
隣の部屋から急に罵倒が飛んできた、なんで聞こえるんだうちの妹よ。
壁そんなに薄くないはずだけどな、まあ隣の部屋だし聞こえても仕方ないか…待って
普段週一でセフレとヤってる時も妹にバレバレってコト!?
よく考えてみたら俺にセフレなんていなかったわ。
そんなどうでもいい妄想はさておき、せっかくチョコもらったし一つぐらい食べるか。
美味しそうなやつは最後まで残すタイプなので最初は体に悪そうな赤いチョコを食べることにした。
「カリッ、ムシャムシャムシャ、うえー」
なんか変なもの入ってる、おえっ…異物混入か、訴えてやる!法廷で会おう!
チョコの部分は普通に美味しかった、テンパリングがしっかりしててすごく良かったけど中に薄い何かが入ってた。
吐き出してよく見たら紙らしきものみたいだった…怖い、なんか呪われそう。
ニュースの記事でメンヘラはチョコに自分の爪を刻んで入れるとか、手編みのマフラーに自分の髪の毛を編み込むとか見たことあるやつなのか?
ゆき、メンヘラだったのか…方向性の違いで別れよう…
その特級呪物を堪能したあと、俺は中に入ってた紙を捨てようとしたところ、文字が書いてあることに気付いた。
「明日デート?」
どうやらデートのお誘いだった…いや、伝え方独特かよ。
ゆきがメンヘラじゃないことに安心を覚えてる同時に俺はある可能性に気付いた。
場所と時間が書いていない、これってもしかして全部食べないと教えてもらえないパターン?
なんかこう…独特やな…
その日俺は箱の中のチョコを全部食べて中の紙を一つ一つ取り出してデート詳細を確認した。
ごめんね我が妹、おめーのチョコねぇから。
「明日デート 6時 水族館前で 集合 チケット 予 約し たから 楽し み だね 」
なんか後半いらなくないか、無理やりチョコの数に合わせて余計なやつ入れてるやろ。
なんだかんだ水族館デートは初めてな気がする、こういう高校生っぽいデートも悪くないかもね…
あの、6時って書いてなかった?この時間の水族館開いてなくないか?
一応メッセージでゆきに聞くことにした。
「…」
返信が来ない、明日大丈夫かな…
悩んでも仕方ないと思い、とりあえず俺も寝ることにした。
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「…ゆき、あんまこういうこと言うのもなんだけど」
「どしたの?」
「営業時間10時からなんだが…ポンコツなの!???」
水族館前で待ち合わせしたものの肝心な水族館は普通に営業前だったという。
俺は昨日の夜なぜ鬼電しなかったことに後悔している、そうしなかったせいで今4時間も待たないといけなくなったのだ。
「ほら、早く会いたかったから!好きだから」
「好き言ったぐらいで許されると思うなよ…俺も好きだよゆき」
ネット民のように冷たい言葉を吐こうとしてたけどやっぱり俺には無理だった、可愛い彼女のことならなんでも許しちゃう男の心理を理解してくれ。
「時間まだ全然あるしとりあえずなんか食べよう、あたし奢るから」
「おけー、じゃあ俺が決めていい?」
頷いてくれた彼女だが、あとで後悔することになる。
知ってるか、この世で一番うまいものはなんなのか?トリュフ?キャビア?フォアグラ?否!
世界で一番美味なものは他人が奢ってくれた焼肉だ、これより美味しいものはないと俺は断言する。異論は決して認めん!
「焼肉行こう!高級なやつ」
「いや朝だけど」
「…」
そういえば朝だった、焼肉しか目にいなかったせいでそんな当たり前なことにすら気付かなかった、一生の不覚。
でも俺にはプランBがある。
「じゃあロンドンに行って優雅なブレックファーストでも食べようか」
「…」
「…チケットアプリで予約したらポイントもらえるらしいよ、俺のスマホで予約する?」
このプランならポイントまでもらえる、天才か俺?東大だ。
「……」
「…」
「……」
「すいませんしたー」
流石に俺でも無言の圧力に勝てなかった。
グッバイ、俺の日帰りロンドンの旅。
結局俺たちは適当に見つかったカフェで時間を潰しながらこのあとの予定を考えことになった。
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とある会話
「これとこれ、どっちの方がこの髪型に似合うと思う?ねえ、ひろと聞いてる?」
「ごめん、さっきなんて言った?」
「どっちの方が似合うと思う?」
「違う、もっと前」
「えー、明日デート行くとこから?聞いてないじゃん」
「明日どこに行くんだっけ?」
「前家族みんなで行ってた水族館」
「あー、そこか、いつ行くの?」
「明日6時、それより服の話、どっち」
「こっちかな…」
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結局来てしまった。
お姉ちゃんがデートするって言ったせいで全然寝れなくて結局ついてきちゃった。
やっぱりあいつのこと嫌いだわ、なんでお姉ちゃんとの楽しい楽しい休日を邪魔するのかな。
二人で楽しくラブラブデートできると思うなよ、お前はお姉ちゃんに相応しくない。
お姉ちゃんに相応しいのは年下でイケメンで名前がひろとじゃないとなぁ。
…水族館まだ開いてないんだけど、ポンコツかよあいつ!
そんなポンコツにお姉ちゃんを渡せない、お姉ちゃんを絶対取り戻すから!
昨日漢字○goというゲームをやってみたけどやっぱ外人には難しかった。
ジャパニーズカンジ、恐ルベーシ。