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俺は腹が減っている

最新作の7話が完成しました!是非読んでくださいね!仕事をしている時のCOOLな三日月龍、リラックスしきっている時の優しい三日月龍をヨロシクね!

 俺はパン治羅(チラ)ビルの5階にある三日月探偵事務所のソファーに仰向けになってボンヤリと天井を眺めていた。開けていた窓から迷い混んだ紋白蝶(モンシロチョウ)が今から20年前の扇風機の風に合わせて優雅に飛んでいた。


 この扇風機のタフさには参るね。20年だぜ、20年。20歳の扇風機。大学2年生の扇風機。首振りが故障しているけどざっくばらんに20年間も真剣に回り続けてきた扇風機だ。俺が子供の頃に母親が買ってくれた扇風機だ。今更だけど扇風機に名前を付けてあげようかな。

 

 ブルーベリーだ。そうだ、ブルーベリー色の扇風機だからブルーベリーだ。ブルーベリーに決定です。今日から君はブルーベリーだぜ。ヨロシクな。あはははは。これからも暑い夏にはブルーベリーだからな。ブルーベリーよ、頑張って回り続けてくれよ。あと10年は回ってくれよな。ヘタすりゃ扇風機って30年はもつらしいからさ、長生きしてくれよな、頼むぜブルーベリー。あははははは。

 

 そういえばだ、俺の中古車は9万キロも走っているのにビクともしない。学生の頃に20万円で買った外国車の水色のワーゲンだ。名前は買った当初に「すみれ」と名付けた。すみれの奴、じゃじゃ馬なんだぜ。フフフフ。可愛い愛車さ。車は女みたいな所がある。優しくしないと全く動かないし言うことを聞いてくれないからね。

 

 すみれと喧嘩しながらドライブしたこともある。すみれとは色んな場所に遠出したものさ。年代物の車にはアンバランスだけど最新のオーディオを設置しているんだ。ドライブには音楽が欠かせないからね。ロック、ジャズ、レゲエ、ブルースを鳴らしているよ。

 

 何度か俺の婆ちゃんを助手席に乗せた時には参ったよ。「龍、これを流せ」と婆ちゃんが俺に渡したカセットテープには童謡が30曲もあったのさ。さすがにあの時は参ったね。婆ちゃん、ずっと歌いっぱなしだしさ。聞いているうちに俺の心も幼くなっていくしさ。運転中の俺は5歳くらいにまで戻っていたと思う。やたらとアイスクリーム、わたあめ、チョコレート、イチゴパフェが食べたくなって仕方がなかったからね。


 あの時は何故だか甘えた口調にもなったね。不思議だったなぁ。甘えた口調のまま婆ちゃんと難しい大人の会話をしたりさ。「婆ちゃん、来月の選挙は誰に入れまちゅか?」「龍、教えないよ」「俺もおちえなぁーい」とか「婆ちゃん、ジョンの労働階級の英雄はディランっぽい歌でちゅよね。アコースティックだからリアルな感触が凄く堪らないでちゅ。マイナーコードが上手くいった素晴らしい歌でちゅ。ディランを超えた曲だと思いまちゅよ」「龍、一体何の話だか分からないねぇ」「あはははは。ごめんなちゃ~い。許してちょん」ってな具合さ。ドライブに童謡は合わないぜ。あはははは。

 

 ヤバい。眠くなってくると何に対しても無防備になって話が浮かんでくるよな。扇風機に話掛けたり、車に話し掛けたりする奴は俺くらいかもな。あはははは。 

 

 初仕事は上出来だったな。まだ解決はしていないけども限りなく解決の日は近い。青柳景子、川上英隆、青柳マチ子、田崎富男。この4人の誰かに答えがあるはずだ。既に俺は尻尾を掴んでいる。後は要点を絞っていけば良いだけさ。

 

 問題は青柳マチ子だ。会いたくない。会いたくないのに会わなきゃいけない。今日中に会えれば幾らか気が楽になったはずなのに。あのイカれたバカ娘め。男嫌いという話は本当らしい。通行人に男がいるだけで、駆け寄ってビンタをしたり、水を掛けたり、卵を投げ付けたり、木刀で見ず知らずの男の後頭部を殴った事もあって警察沙汰になったんだ。青柳グループが事件を揉み消したから表には一切出ていない。俺はある情報筋、情報網から聞いてマチ子木刀事件を知っていた。


 マチ子は酷い暴言を吐いて高笑いをするみたいだしさ。狂気の沙汰だね。ヤバい女は恐ろしいよ。ブラックホールみたいだからね。危険に近付きたくないのに危険が近付いてくるのが探偵の仕事でもある。覚悟はしているさ、しているけどヤバい女は特にヤバい。会いたくない、本当に会いたくない。いつにない葛藤だ。やるしかない。俺は三日月龍。私立探偵なんだからさ。フッフフフフ。

 

 

 俺は緊張感から開放されて一気に眠ってしまった。

 

 

 目覚めた時には辺りが真っ暗だった。壁に掛かった時計の側まで行って時間を見た。午後10時を回ったところだ。俺の携帯はこの事務所の何処かにある。探さないといけないな。2日も使用していないとさすがにマズイ。俺は電気を点けて、あくびをしながら冷蔵庫に行き麦茶を取り出してコップに注ぎ一気に飲むと「グベェーッ」とお腹が鳴った。腹へったな。近所にある24時間営業のダイナーに行こうか。スマホは何処か? 「たぶん、ここだ!」と俺は叫んでソファーの間をまさぐった。あっさり見つかった。ラッキー。あはははは。よし、ダイナーに行くか。

 

 俺はエレベーターで1階に降りるとダイナーまで歩くことにした。優しい夜風だ。俺は今日1日の仕事について考えながら歩いていた。


 「うん? なんだ?」後ろから人が近付いてくる気配がした。俺は気付かないフリをして歩く事にした。探偵を尾行するなんて実に気に食わないね。俺は少し腹が立ってきた。腹が減っているのでイラつきも出始めてきた。俺は腹が減って腹が立ってイラついていた。

 

 

ありがとうございました!

またおいでね!✨✨✨✨✨

(><*)ノ~~~~~


読んでくれてどうもありがとうございました!三日月龍をヨロシクお願いします。「三日月探偵事務所」の続きが読みたい、面白そうだなぁ、と思いましたら、下の広告のあとに5つの星のマークを【★★★★★】に染めてくれたら大変嬉しいです。凄く励みになります。どうぞ宜しくお願い致します。

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