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放物線を描いて着地した

またまた読書からの素敵な感想が届きました!✨✨✨✨✨


「いや~ん、にゃんにゃん。三日月龍ってイカすじゃん。にゃんにゃん。あはん、うふん、えへん、おほ~ん」(佐々木うん子さん22歳)「マジで三日月探偵事務所で勤めたい。募集してれば履歴書をパン治羅ビルに送るから」(山之内ぶっぺ子さん34歳)「三日月龍の穏やかな1面とキレる1面にワシのハートは奪われちったわい。どわっははは」(三上イワさん89歳)ありがとうございます!


※架空の感想です。佐々木うん子さん、山之内ぶっぺ子さん、三上イワさんは実際しません。


それでは「三日月探偵事務所」の始まり、始まり~♪

 「はじめまして。川上英隆さん、英隆さんと呼ばせて頂きます」と俺は柔らかい物腰で謙虚に言った。

 

 「駄目だ。妻以外に英隆と呼ばれるのは不愉快だ!」川上英隆は威圧的な態度で偉そうに俺を見下して言った。面倒くさいね。

 

 「じゃあ、何と呼んだらよろしいでしょうか?」

 

 「英隆将軍様と呼べよ」ほら来た、厄介でしょう? このタイプの人間は傲慢で意固地で頭が固くなった奴らばかりなんだよ。常に持ち上げなければ気分が乗らないんだ。

 

 「分かりました。では英隆将軍様」

 

 「ちょっとあんた、やっぱり、英隆皇帝様と呼び直せよ。わかったか?」

 

 「分かりました。ではもう一度、英隆皇帝様」

 

 「悪いがキング英隆様と読んで欲しい。すべての富は私の物だからな。私こそが真のキングに相応しい。キング英隆様だ!」

 

 「おい!!!!」俺は怒鳴ってから目の前にある小さなテーブルを蹴りあげた。テーブルは勢いよく綺麗な放物線を描いて宙を舞い上がりベッドの上に上手く着地した。

 

 「な、なんだよ?」英隆は腰を浮かせてメガネを掛け直した。目が宙を泳いでいた。

 

 「何か飲みませんか? 喉が渇きません?」と俺はにこやかに言った。

 

 「えっ!? そ、そ、そうだな、とり、とり、とりあえず、じゃあ、年代物のワインかシャンパンを飲みたいな。安物はゴミだから犬か猫に飲ませろよ。高級品、ブランド物以外なら、いらんからな」と気力を持ち直した英隆は胸を張って傲慢な態度で言った。

 

 「牛乳でいいですね?」と俺は英隆の目を睨んで念を押すように言った。

 

「えっ!? 牛乳? ま、まあ、無農薬、オーガニックの牛乳なら飲めるんだがね」英隆は大したことのない威厳を取り戻そうと躍起になっていた。

 

俺は立ち上がって台所に行き冷蔵庫を開けた。牛乳はなかった。スポーツドリンクが5本、オレンジジュースが10本、ビールが5本あった。

 

 俺はオレンジジュースを2本取り出して部屋に戻った。

 

 川上英隆は俺に警戒した視線を送り続けていた。

 

「どうぞ」と俺は言って小さなテーブルを元の位置に戻してからオレンジジュースを置いた。

 

「牛乳は? オーガニックの牛乳だよ」と英隆は言ってオレンジジュースのペットボトルを手に持ってラベルを寄り目で見ていた。

 

「どうぞ」と俺は繰り返した。

 

「まあ、いいだろう」と英隆は言ってオレンジジュースを飲んだ。

 

「添加物だらけの甘いオレンジジュースだな。こういう飲み物は誰が飲むんだ?  一般人はこんなマズイオレンジジュースを好むのか? 一般人は貧乏食なんだな」と英隆は言ってオレンジジュースを見つめた。

 

「おい!!!!」と俺は強い口調で言って目を見開いたまま英隆を睨み付けた。俺は小さなテーブルを強めに蹴りあげた。時が止まったかのような美しい放物線を描く小さなテーブルの行き先は、またしても運よくベッドの上に無事に着地した。

 

「それ止めてよ。蹴ったりしないで。もう止して。そ、そうだわな。せっ、せっかく頂いたわけだし」英隆はダサいネクタイでメガネを拭きながら言った。

 

「では、キング英隆さんだったかな、キング英隆様だ」

 

「いやいや、もうさ、もうね、もう普通に、ねっ、ねっ、普通に英隆さんで良いよ」

 

「了解。英隆さん、赤い封筒に入った機密書類について詳しく教えて頂きたい」

 

「青柳景子や青柳グループについて書かれた物とだけしか言えない」

 

「英隆さん、機密書類を紛失した場合、今後の事業についてや、青柳一族に対して大いに差し障りがありますか?」

 

「あるね」

 

「と言いますと?」

 

「三日月さん、間違いなく青柳一族は抹殺されるだろうね。ライバルや足を引っ張る連中らが喜ぶに違いない」川上英隆は冷や汗をネクタイで拭っていた。

 

「英隆さんが機密書類を持っているんですか?」

 

「私は持っていない。赤い封筒に入った機密書類なんて目立ちすぎるだろう? 大体、青柳一族にいる私自身が機密書類を盗んだり紛失させるなんて愚かな真似はできんよ。青柳一族の存亡に関わるとなれば尚更ね」


 川上英隆は真実を口にしていると思う。必死さがあるし、口角にカエルみたいな泡と唾を溜めながら話しているからね。俺の推理では川上英隆はシロだ。もちろん、用心マークを付けたシロだ。疑っているという気持ちだけは常に残しておく。

 

「普通の金庫か、隠し金庫、銀行の貸金庫に機密書類を入れていればこんな事にはならなかった」と英隆は小声でぶつくさ言っていた。

 

「英隆さん、秘書の田崎富男さんは機密書類の存在を御存知なんですかね?」俺は剃り忘れた無精髭を撫でながら言った。

 

「どうだろうか。知っているかも知れないし、知らないかも知れない。田崎は私に仕えて20年近くにもなる。何かの時に赤い封筒の機密書類について思わず話したかもしれないし。う~ん、ちょっと分からないな。本来なら私が口を滑らせて機密書類の存在を第3者に話してはいけないからね」英隆は腕を組ながら足元を見つめて体を揺らしていた。定かでない記憶を呼び戻さなければマズイ展開になるかもしれないと考えているのか。

 

「分かりました。もう結構です。次は秘書の田崎富男さんに話を聞きます。隣室に行って田崎富男さんを呼んできてください」と俺は言って立ち上がりオレンジジュースを飲み干した。

 

 「わかった」とキング英隆様は俺にペコペコ頭を下げて隣室に行った。


ありがとうございます!また更新したいなぁ。キング英隆は嫌みな奴でしたよね。次は秘書の田崎富男の事情聴取となります。限りなく青柳一族に近い存在。果たしてどんな話が聞けるのか?次回の「三日月探偵事務所」を御期待ください!

読んでくれてどうもありがとうございました!三日月龍をヨロシクお願いします。「三日月探偵事務所」の続きが読みたい、面白そうだなぁ、と思いましたら、下の広告のあとに5つの星のマークを【★★★★★】に染めてくれたら大変嬉しいです。凄く励みになります。どうぞ宜しくお願い致します。

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