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情弱なもので何一つ進展しないまま、早7年。



どうも、私です。死んだと思ったら死んでなかった私です。

天国でキャッキャウフフを夢見ていたのに、問答無用でニューゲームをスタートさせられ人生シャトルラン中の私です。


ちくしょう、なんというブラックな所業をしやがるのですか。

輪廻転生の担当者は許さない・・・絶対にだ・・・。

生え際2cm後退しろ!完全にハゲるんじゃない、絶妙に愉快にハゲろ!!



そんなこんなでスペマチョになるべく筋トレをしながら、無事に7歳になりました。

あ、名前は『セラフィナ』でございます。フィーナでもセラさんでもお好きにお呼びください。


今後ともよしなに。


ちなみに、麗しのお母様の名前はメレク。名前の響きも麗しいですね。

で、父のヒゲ・・・あ、間違えました・・・ヒゲの父はヘルエムだそうです。・・・あーっと、トッテモステキデスー。



しかし、残念ながら私や両親の名前から思い浮かぶゲームはございませんでした。

この世界には魔法は存在しないようですので、RPG設定では無いと思われます。そうなると、乙女ゲームか育成ゲームなんでしょうけれども。

正直なところ、私はスペマチョ専門の病的やりこみプレイヤーだったもので、ソッチ系のゲームには明るくないのです。無念です。


恐らく、乙女ゲームのプロだったならすぐに『あ!これはもしや、あのゲームでは!?』と察することができたのでしょうけど、私はまったくピンとくることなく筋トレに精を出す日々を過ごしてまいりました。

まだ筋トレの成果は出ておりませんが、後1,2年もすれば私の腹筋も6どころか8つに割れることでしょう。楽しみです。


そういえば、異世界転生を自覚してしばらくは、ゲーム世界としか考えていませんでしたが、漫画世界やら小説世界やらアニメ世界やら候補はまだまだありましたよね。

でも、可能性ばかりが広がるだけで私の所持している知識は広がることは無く、結論から言えば思い当たる設定はございませんでした。

ただただ、私が無知無能であるということが証明されただけです。泣ける・・・。



こうして何ひとつ判明することのないまま、私は世界設定のヒントを見逃さないように気を付けながらマッチョになるべく筋トレをしていたわけですけど、ついに運命の歯車が回り始めたのです。



ある日、家族団らんの夕食の席にて父が言ったのです。


「養子を迎えようと思う」


相談を装っておりましたが、その言い方は決定事項の報告なのではなかろうか?と思いながらも、私は特に口を挟むことはしなかった。

ただ、お母様が反対したら私も断固拒否するつもりでありましたが。

その肝心のお母様は、おっとりと微笑みながら頬に手を当てて小首を傾げた。


「まぁ、何処のお子様なんですの?」


ふむ。いまのところ拒否ではないようである。

ならば私も静観してその子供の事情とやらを聞こうではないか。

よろしい、話したまえ。ヒゲ・・・じゃなかった父よ。


「先週、ナレルの葬式があっただろう」


「ご夫婦そろって事故でなんて、おいたわしかったわよね」


憂い顔のお母様も素敵です。・・・じゃなくて、私は会ったことは無いがナレルさんは父のお爺様の弟の孫だったはず。

父のハトコになるのでしょうか。まだまだ働き盛りの年齢なのですが、先週、奥様と一緒に事故で突然にお亡くなりになってしまった方です。


「そのナレルの息子なんだが」


「確か、ナレル様のお兄様に引き取られたと聞きましたが?」


はい。私もそう聞いた覚えがあります。

突然に両親を失って独りぼっちで伯父の家に引き取られるなんて、会ったことも無い遠い親戚の少年のことながら、ほんのり同情したことを覚えております。

私にもその程度の優しさはあるのです。


「それが、あまり上手くいってないという話を聞いてなぁ」


「あらまぁ」


「ほら。ナレルの細君は異国の、しかも平民のお嬢さんだったろう?ナレルの兄上は血統至上主義なところがあったから、な」


「ああ、そういう・・・」


如何ともしがたい他所様の家庭内事情に、お母様は憂鬱気に眉を寄せて溜め息を吐いた。

いますよねぇ、そういう人。

百歩譲って王族だとか一子相伝の秘術がある一族だとかいうなら流れる血に拘るのもわかりますが、いち貴族が何を高尚様ぶっているのやら。

全身に流れる血をコンソメスープにでもしてから出直してきてくださいな。

そしたら、私も貴方様の血を崇め奉ってさしあげますわ。


それで、つまり。

血統を重んじるその兄上とやらが両親を事故で無くして天涯孤独になった少年との関係を上手に築くことが出来ていないということですね。

なるほど。それで我が家との養子縁組ですか。


「そういう事情なのでしたら、私といたしましても賛成でございますわ」


そうしてお母様は聖母の微笑みをうかべたのです。

さすがです、お母様。なんと慈愛に満ちた対応なのでしょう。素晴らしいです。

そして、父よ。そういった事態を見て見ぬふりをせず首を突っ込んでお節介を焼くところ、嫌いではないです。

ええ、普段はヒゲのことを父と呼んだりしてますが、ちゃんと尊敬をしているのですよ。



こうして、満場一致で我が家に新たな家族が増えることと相成りましたのでございます。




【まったくストーリーに抵触しない設定】


セラさんにとっての前世の感覚。

社会人になって小学校の入学当時を思い出すようなもの。

あの頃の私はあんな奴だったなぁ。うふふ。的なニュアンス。

今世の精神に前世の精神ドーン!ってのじゃなくて、前世の思考に成長と共に今世の思考が加えられてくような・・・、グラデーション進化な感じ。




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