第七話
UPしました♪
最近、頭に浮かんでは消えていく症候群が発病しているので、コンスタントになっています!
温かい目でお願いしますm(__)m
城へ向かう道中
「お主、忝い。」
突然、領主様が謝ってきた。目を出さんばかりに驚いたわ。何回かな?だから、無礼が有る無しに関わらず詫びよう。
「いやいや、こちらこそとんだご無礼を致しました!」
先程の名乗りの不甲斐なさに反省し、何されるか分からない恐怖感でばくばくだ。だが、領主様の言いたい事は違っていたようだ。
「先のか…。それは仕方のない事だ。誰でもあること。儂が言いたいのは、城下のことだ。」
この言葉に、大変器が大きいお方だと思ったし格好良いな。めっちゃありががたいな。忠誠を誓いたくなるお方だ。
それにしても周りのザワザワが気になるな。
その理由は分かる。周りの従者の方はとても違和感を感じていた。うん、何かが違っていると。分かる人には分かるのだが、さっきまで寺の小僧だった猿づらごときが領主様の横に並んで話を楽しんでいる。変に思わない方がおかしい。俺もそう思います。
内心ビクビクだよ。小者として仕えるにしてもこれじゃなぁ。これからが思いやられるわ。
城では小さくなって、きちんと雑務をこなしていかなければ、あかんな!嫉妬は回避せなあかん!周りとの衝突を避けよう。
それに気付かないのか気付いていてもスルーしているのか、領主様は話し続けているようだ。そもそも許可を出したのは領主様だ。と自己擁護してみる。
「戦続きで、城下も領内も気分が下がっておった。だが、お主がはじめた読み聞かせとやらのおかげでちょっと活気が戻った様だ。」
「どうしたものかと悩んでいたが…、良かったわい!」
それに対し、「いやいや」「それ程でも」と恐縮しておこう。こりごりや。
領主様は試す様な口振りで、
「なぜ、この業をしたのか?」
と聞いてきた。
この俺になんという事を聞いてくれるんだ。俺の心を見ようとしているんやろうな。人生を左右しかねない事柄だな。寺での会見の如く緊張するが、言葉を選んで粗相ないように言おう。
「私は、この領内が戦によって段々気が下がっているのは、寺のお遣いで知っておりました。だが、それではいけないと思いました。この日ノ本には、笑う門には福来るという言葉があります。私自身笑うことが好きだから、読み聞かせをしようと思いました。」
領主様は満足そうに頷きながら聞き、呟いた。
「そうか…。笑いは体は疲れるが、心は軽くなろう。」
それは領主様が自身の心に確かめている様だった。
なんか、間違えた?と、不安になっていたが、とんだ間違いであった。
「儂の代わりに城下へ出て、今まで通りにしろ。そして、花を咲かしてみせろ!」
お願いと言わんばかりに言ってきたのだ。
心が踊り出しそうになったわ。快く受けよう。笑顔いっぱいで答えてしまった。恥ずかしい。
そして、遂に城へ到着した。
身分上小者であるので、当たり前だが領主様と別れるのは当然だな。家臣の人に今後働く場所や住む場所を教えてもらったが、予想通りだな。馬の餌やりと庭の手入れが基本的な仕事であったし、住む場所も馬小屋同然のところだ。
当然そうだと思ってたわ。いくら気に入られていても、所詮は小者だ。
よし決めたぞ!一回でもいいから城に上がらせてもらえる様になろう!!そして、バカにしていた奴らを見返そう。
が、現実は甘くない。忘れていた、うん忘れていた。自分のつらを。
「コンチクショー!」
と叫ぶ日は遠くはない。
というか、初日に言われた。
「猿づら如きの来る場所でないわ!」
「山へ帰ったら良いわ!!」
これにカチンと来たが、耐えよう。
これは失態だ。何回も言うが、現在のつらを忘れていた。ベソをかきたいくらいだ。が、なんとかなる精神で心を安定させよう。
一番よく効く笑いながらおどけてみせるのを見せて、溜飲下げさせて引っ込んでもらおうか。
「猿づら如きが申し訳ございません!ウキー!!」
芸し終わったが、他の小者は溜飲を下げた様だ。バカにした様に笑ってるな。はー。
寺でも同様な事があったので、こんな事で構っているのでは身が持たないな。だから、改めてこいつらにもいつか見返してやろう。
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