第四十四話
お待ちの皆様、遅くなり申し訳ありません!
国家試験も落ち着き、新生活も慣れて来ました。有言実行を胸に、週一・二回をペースに書いていこうと思います!
今後ともよろしくお願いしますm(__)m
永禄十一年正月、信長様はこの地を岐阜と改めた。この宣言には天下布武以上の衝撃が家中で走った。この時代の常識としては地名を変えるのは帝しかいないとされているからだ。それを犯すということはどういう事か皆さんに想像に任せるとする。
今、俺は何をしているのかというと、お市の方の浅井家へのお見送りの警護を担当することになったので、その道中にいる。警護といってもただ先頭を歩いているだけである。俺としてはこの婚儀に反対する者が襲撃してくると思っていたのだが、そんな様子が見る事がないのでホッとしている。それほど浅井家当主の長政が家臣の統制を取れ抑えられているということの裏返しだ。今のところだけど。
このお見送り自体他の者がやるはずであったが、俺がすることになってしまった。なってしまった経緯を思い出すたびに馬鹿なことをしてしまったと反省するばかり。
「は〜。」
「どうしたのです?藤吉郎?」
「姫様、なんでもありません!少しばかり心配で…」
話しかけてくれたのはお市様だ。この様に下賤の身であるおれに心遣いができる優しいお方である。
「そんなことは心配せずともよろしい。この市がいる限り大事はありません!それよりも藤吉郎、ねねを大切にしなさい!いつも文で嘆いてましたよ。全く!」
「それはすみません!分かりました!おっ!小谷城が見えてきましたよ!」
「そうですね!ここでお別れの様ですね…」
「はい、そうですね。」
前を見ると浅井家のお迎えがいる。そろそろか。史実の様な悲劇をさせないためにも阻止できるように頑張ろう。それが俺の全ての人を幸せにするということにつながるから。
「浅井家の皆様方、織田家随一の姫様をお頼み申す!」
「相分かった!」
「姫様、お元気で!」
俺達は二手に分かれ、一方は小谷へもう一方である俺は岐阜へ帰路へ着く。祝言行きたかったな。微笑みながら小谷城に向かって行ったお市様。誠に綺麗である。
さて、このお見送りの経緯を説明しようと思う。
それはいつものように信長様に呼ばれたときだった…
〜〜〜〜〜〜
「ハゲネズミ、市井で噂になっておるが、どうだ?」
はーい、いつものどうだ?をいただきました!ま、市井で噂になっているのは、言わずもがなお市様のことであろう。それについて問い質したいということだな。
「殿、はっきりと言いますが宜しいでしょうか?」
「よい。」
許可は出た。
よし!深呼吸だ。
いざ!
「俺が思いますに、浅井家との同盟は諸刃の剣のような気がします。同盟内容を少し拝見させていただいたのですが、朝倉のは少し解せません。」
「どういうことだ?」
「浅井は現当主から見て祖父の代に朝倉に多くの恩がある事ご存知の事と思います。それが今も変わらずある様で、先代当主が中心の朝倉派と織田に是非とも付きたい現当主派に浅井家は別れている様です。ですから、万が一あったとすれば、姫様はどうなるか…。」
「そんな事、分かっておるわ!だが、これが一番良い選択だ。もしそうなればそこまでの人間ということだ!分かったか?」
「はっ!」
めっちゃ怖っ!
はじめてこんなに言われた。それにしても、この言動はちょっといただけない。天下布武を志す者として多少の差し引きは必要だと思うけど、この考えは後に遺恨を残すきっかけになる。どうにかせんとな。
信長様がやろうとしていることが他の者より分かるという利点を生かして、亀裂を埋めよう!
それらは俺にしかできない事だな。
「そんなら確かめろ!本当は北伊勢の攻略だが、そこに行け!」
〜〜〜〜〜〜
という様になってしまった。めっちゃ悔しい。本当に阿保だ。北伊勢にて武功をあげる良い機会であったのにな!
しかし、よくよく考えてみると、信長様の配慮だったのかもしれん。この度の美濃攻めで大きく躍進した俺はそれはもう嫉妬を通り越して怨嗟の的になっている。男のなんちゃらは根深いというし。北伊勢から外すことでその溜飲を下げるつもりだろうな。これは俺の勝手な思いだが、そうしか考えられん。
それにしてもね〜。
隣にいる方、誰かどうにかして欲しい。ずうっと俺に話しかけてきてちょっと鬱陶しい。岐阜から走って来た様で息が荒い。
「なんだ!」
「おっと!申し訳ございません!」
「加藤殿か。きつく言い過ぎた。」
「お客人が藤吉郎!と呼び捨てにして今にも小競り合いが起きそうなんですよ!木下様、どうにかして下さい!名は松下何某と…」
お!
来たか!
久しぶり過ぎて少し緊張して来た!松下様は今では自称急成長の新鋭な俺でも武士とは何かを教えてくれた師匠というべきお方だ。丁重にもてなさなければ!
というより…
ちょっと早ない!
後岐阜まで二里。速く走れてもこの団体且つ殿からの与力がいる状況だ。まずい!正直、なんの先触れも無く来るのは松下様にしてみれば珍しい事だ。何があったのだろうか。俺が考えられることとしては三河と遠江の国境辺りで小競り合いが激しくなって来つつあるから、それが激化する前にトンズラという訳か。
とりあえずは、加藤殿に言伝を頼もうか。
「もう訳ないが、岐阜へ戻りねねにおもてなしの物を準備させ、ねねと共にお相手をお願いできないだろうか。そして、ここに文を二通認めておいたのでねねと松下様にお願いします。なるべく速く戻るつもりだが、こればかりは仕方ない。お願いだ!」
「分かりました。この加藤、立派にお役目を果たしてご覧に入れましょう!」
「よし!行け!」
「はっ!」
こりゃ、ねねに怒られる。どう言い訳したら良いか、浮かばん。それより早よ行かな!
「よし、皆の者、俺の私用で申し訳ありませんがちょっと急ぐ事となる。この木下藤吉郎について参れ!後日、みんなと姫様ご祝言お祝いの会と称してどっか飲みに行こう!」
「「「おー!」」」
真也よ、この選択で良いのか?
これではこの方の怒りをおさめることができない!
次回、俺死す←嘘?
デュエルスタンバイ!