第四十三話
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降りて来た諸侯の処理も済んだ事だし、まだ上の後始末は終わっていないので論功は先だと思う。お城はほとんど出来上がっているのに近い状態だ。それらは同時進行で進められている。
そう言えば、この後にお市の方の浅井家へ嫁ぐんだよな。今まで奇妙丸様の子守をしている時に度々会ったことあるんだけど、現代人の感覚から見ても綺麗だったな〜!お話しした感じ好感触だったから大丈夫だ。
「しかしだな、姫様が浅井に嫁ぐとなるのは少しばかり寂しいな〜」
「兄じゃ、まだこんな事言っていたのか。町の方で僅かながら噂になっているよ!」
「そうか…、てかなぜ噂になっているのだ?まあ良い。なんかあったか?」
まじか。史実を知っているばかりに悩んでしまって考えているのが広まってしまったわけだな。俺としてはお市の方に対して恋感情は抱いてはいない。むしろ、信長様の妹であるので高嶺の花だと思っているし、家格に合わない。
「今から木下家の与力として働いてもらう者を紹介するよ。連れて来ただけだから。」
「分かった。」
誰やろな〜!楽しみだ。
「わしの名は加藤光泰と申します。あの稲葉山にて軍勢に加わった者です。この度はお取り直し頂きありがとうございます!」
「それがしの名は仙石久秀と申します!槍働で木下様をお守りする所存でございます!」
おっと、かなりマイナーな武将とかなり問題児な武将が来たー!加藤殿は後々に有能な子を見出してくれるような気がする。が、仙石殿は見るからに猪タイプだと分かるし、何しでかすか冷や冷やする。
「加藤殿、仙石殿、これからもよろしくお願いします。俺は武士としての心構えを日々学んでいる。至らぬ所もあると思うが、よろしく頼む!」
「頭をお上げください!この加藤、全身全霊頑張る所存です!」
「そうですぞ!戦での人払いはお任せください!」
よかった〜!この頃、与力だけど人が増えすぎて管理が行き届いていない感がある。この前はどこから連れて来たのか堀尾殿が山内一豊を紹介したものだから驚いたよ。山内殿は俺の直参にして欲しいと言っていたけど、ただでさえ厳しい家中の経済状況が悪化する可能性があるので、とりあえずは与力という形で許してもらった。俺の万が一の時の保障にもなる。なぜ直参に?と聞いたら、親父の仇だからと言っていたな。
この話はここで置いておくとして、実際問題これからの行動には気をつける必要がある。織田家に入って十数年でここまで大きくなったら、周りの方々には警戒されるのは必須だ。これは大変だ。信長様がいる限り大丈夫だろうけど…。
「ありがとう!では、加藤殿は俺に、仙石殿は小一郎に、お願いします!仙石殿、申し訳ない!小一郎の側で守って欲しいんだ!俺と小一郎は一心同体の様なものだからな!」
「「はっ!」」
小一郎と言うと、恥ずかしがっていた。
束の間の休憩を堪能していると使者が、
「これから評定が行われますので、至急お集まりください!」
と言って来た。
いよいよか。楽しみ半分怖さ半分だな。美濃攻めでは寝る間を惜しんで俺なりにやったつもりだ。これらが報われると嬉しいな。
よし、運命の評定に着いた!
俺は本当に末端の末端なので、後ろの方にいつも座っている。だから、そこに座ろうとしたら、柴田様が、
「今日は後ろではなく前の方で座れ。」
とにやにや顔で言われた。
それに対して、素直に返事したけど、もうバレバレですよ。柴田様。俺に何か良い事があると暗に示しているから。
「皆の者、この度の論功行賞及びこれからの方針を言い渡す!」
はじまった!なんだか、急に楽しみがいっぱいになって来た!見渡すと、重臣の方や俺の様な末端の者達も目を輝かせていた。誰だって給料が貰えるとすると興奮するものだ。ちなみに、今の織田家の給料は主に土地や銭や名刀だけど、近頃は茶器が入りつつあった。これも先を見据えての事だ。俺には分かる。
次々に言い渡されていく。中には思わぬ加増に喜んでいる者、淡々と受け取っている者、加増に納得いか無さそうな者、それぞれが一喜一憂している。なんとも楽しそうだ。ほとんどの方は呼ばれているのにも関わらず、俺は一向に呼ばれない。忘れられているのか?
「木下殿!」
「木下殿!呼ばれているぞ!」
ハッ!俺呼ばれている!大事なことやのにボーッとしとった!あかんあかん!
てか、信長様めっちゃ怒っとる!
「ハゲネズミきちんとせい!」
「申し訳ありません!」
「さて、ハゲネズミの論功を伝える。美濃攻めでの調略や斎藤家の切り崩しにより、多大な能力を発揮した。よって、侍大将として評定の末席に上げる。励め!」
「はっ!ありがとうございます!これからも織田家の御為、働きます!皆様方ご指導のほどよろしくお願いします!」
「早速だが、入ってくれ。」
「はい!」
めっちゃ緊張するわ。いよいよ表舞台に出ることになるな。ここまで来れて本当によかった。侍大将にと言われた時、俺を知っている方以外嫌な目を向けて来た。まるで避けるかの様な。これが怖くなかったと言われると嘘になる。まあ、なんとなるさ!
「評定をはじめる。」
お、はじまった!
「まずはじめに皆に見せるものがある。」
信長様が紙を持った!あの場面が来るか!戦国時代に来て見たかったものであるから、これだけでも幸せだ。
そして、紙を裁判所から出て来た弁護士並みに見せつけた。
そこには、
<天下布武>
その四文字だ。
「その文字を胸によく刻み、励め!これを印にも使うとする!」
「「「はっ!」」」
これから信長様の天下布武が始まるんだ。信長様が天下を取るその日まで俺は死ぬ気でやってやろうじゃないか!
真也、感動です。
ほとんどこのために頑張ったと言っても過言ではないでしょう。私はよくやったと褒めてあげたいです。
今日も読んで頂きありがとうございます^_^