第四十話
UPしました!
「兄じゃ、来たよ!」
「お、久しぶり!長秀、大丈夫か?俺が任した商人関係のは?」
「心配しないで!津島で出会った平野殿に任してある。その息子の権平が有能だから助かっている。覚えも早い!」
「そうか…。いよいよ始まる戦に向けて頑張ろう!」
「はい!」
平野?もしや、平野長泰のことか?こんな所で仕えるのは予想外だ。それがなぜに…?んー。あ!そうか!確か平野長泰の父は津島に滞在していたと前世で見た本に載っていたな。津島では、商人時代読み聞かせなどをして楽しませたり、信長様に仕える様になってからも三点組の事で色々と厄介になったよ。その関係か!分かったわ!ちょっと、感動だな。
「兄じゃ、それと堀尾殿が推していた中村殿も今日来たから!」
「分かった!槍働で有名な中村殿に会ってみたい!呼んできて!」
どんな人かな?ここにきて有名人ラッシュにめっちゃ心が踊っているよ!
「中村殿を連れてきたよ。」
「拙者、中村孫平次一氏と申します。これから、木下様の下で誠心誠意勤めますので宜しくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いする!俺は、元百姓だから武家のことなんぞ分からないに等しい。遠慮なく言って欲しい。来てくれて嬉しい!ありがとう!」
「はっ!」
見た感じ、無骨そうな雰囲気を醸し出しているが、きちんと礼儀はわきまえており、武士というのはこれだと思わせる。俺もこんな人の様になりたかったけど、残念ながら秀吉になってしまった。秀吉も良いんだけど、う〜ん。そう言えば、ここの世界に来てはじめて水辺に映し出された顔を見たときは、これって人間か?と思った。弟の小一郎は普通なのに。
「中村殿、確か堀尾殿とは知己であったな。これからは彼と一緒に行動してください。」
「はい、分かり申した!彼とは腐れ縁の様なものですが。」
「ま、仲良くな!」
よし、対面は成功した様だ。緊張からか硬くなっていた様だけど。
だんだん、増えていくから大変だな。ほとんどが与力であるが、この軍の統率は俺であるからやる気を出させるためにも臣下と同じ様に接せねばならない。与力は信長様直参から派遣されてくるから、身分の低い出の俺は侮られない様にする必要がある。正直きつい。
「兄じゃ、分かっていると思うけど、近いうちに殿が出立されるから、それに合わせて出陣せよというお達しがあった。だから、きたよ!」
「いよいよ、出陣か!確かに、西美濃三人衆は既に内密に降りるということをほのめかしてきたから、もう少しだ!」
「そうだね!」
まだその段階であるから、罠の可能性を捨てきれん。その確証が欲しい。それが得られない限り、美濃へ行く事はできない。だが、いつでも攻められる様には準備はしてあるので、圧力にはなるだろう。
そうだ。前野殿にもうすぐ攻めることを伝えなければ!
「そこの貴様、前野殿にこの文を届けてくれないか?」
「はっ!」
しかし、この状況に興奮しているのか分からんけど、暑いな!残暑が甚だしい。何故、この時期になるまで、攻められなかったのか?去年に引き続き雨が激しく、攻めるに攻められなかった。だからだ。
「木下様!」
「あ、秀宗か。どうした?」
「あの引き抜きの話ですが、松下様親子は了承してくださいましたが、元の主人様はお断りしますという事です。それは決して木下様のことがという事ではなく、逐次情報をお届けしたいという事です!」
「分かった!ありがとう!松下様は美濃が終わったらと伝えよ!来るのはその半年以内にと。」
「はい!」
そうだよな〜!商人は下手に動いたら怪しまれる事甚だしい。また、この様に言ってくれているという事は将来に期待しているということだろう。そして、秀宗を側に置くことによって、中央との繋がりを図るという思惑もある。
この際、秀宗を解決屋の長にしよう。そうしたら、尾張と美濃で評判高い店を持っているということで堺や大津などに入り込みやすくなるだろう。最初は煙たがられる可能性があると思うが、殿や俺の評判を高めることができる。
「秀宗、今解決屋は俺が形式上長となっているが、全て任せることとする。」
「え!良いのですか?」
「うん!おそらく、美濃攻めが完了したら、即上洛となると思う。だから、その時のために堺などの繋ぎをつけるためだ。できればの話だか、先回りして欲しい。」
「分かった!頑張ります!」
「そうだ!解決屋のお前たち聞いてくれ!ここにいる秀宗が解決屋の長となって率いてもらうことになった!よろしく頼む!」
秀宗のためにも頭を下げて、お願いしよう。
「木下様、頭を上げてください!もう、ここにいる皆は木下様の部下の様なものですから、指示に従います!そして、三木殿をお支えしますよ!」
「解決屋総勢五十人、三木殿の長就任お祝い申し上げます!」
「「お祝い申し上げます!」」
「ありがとう!秀宗を頼む!」
これで完全に俺は武商分離して、これから迫り来る殿からの仕事に専念ができる。
ますます、楽しみになって来た!
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その数日後の早朝、小牧に西美濃三人衆から恭順の証文が届いた。その瞬間、尾張各地に陣触れが出て、勿論俺の居城洲俣にも来た。噂を聞いたところによると、あの竹中半兵衛は越前にいた様なのだが、親戚の安藤守就を頼り織田の臣下に付くようだ。
「よーし!これまでの成果がこれからの戦で問われることになる!俺について来てくれ!そうすればきっと良い未来が待っている!行くぞ!」
「「「おーー!」」」
真也、活躍できるかな?
真也は、なんと言いますか、これからの事も考えなければと思った様です。
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