第三十九話
UPしました!
この旗揚げ効果はものすごかった。
動揺が目に見えるようだった。
稲葉山城から斎藤龍興の軍が来た事もあったけど、改修工事をしている最中の時より少なかった。おそらく、民の流出がひっきりなしにあるからだと思う。いや、そうだ。そのために尾張発祥として解決屋をやっていたからな。
あれからしばらく経って、年を越したけど何もない。永禄十年になった。それに越したものはないが、洲俣砦の兵が今か今かと待っているので抑えるのも大変だ。来たる最終決戦の為の準備をしているから大人しくして欲しいところだ。だが、相手にとっては眠れぬ日々を過ごしてもらわなければならないし、そうでは無いと困る。結果的には、これは役に立っている。
「浅野殿、堀尾殿、斎藤勢はどうだ?」
「木下様、相手は弱気になっています!これで、ねねに自慢できますね!」
「浅野殿、油断大敵です!木下様、西美濃においては大丈夫だと思われます。それと、絵図は随時更新しています。」
よし、後は西美濃衆は今民と洲俣砦の雁字搦めになっているから、動けないと見た。
今だな。俺の新年の挨拶に行く機会は。代理として小一郎に行かせたけど、本人が行かなければ謀反を疑われかねない。新年になってから一月は過ぎている。
「今から殿へ新年の挨拶して行くから、洲俣の警備頼んだ!そのついでに蜂須賀殿の顔見せもする。」
「お気をつけて!」
「木下様、お気をつけて!絵図を確認する時に美濃で聞いた話ですが、木下様は解決屋を作った人で優しい人だ、という噂が広がっているようですがどうしましょう。」
ん?なんだってー!
誰だ?この噂を流したのは?これはまずい。これは敵の策略で、離間の策だ。俺がまずこの愚かなものを流さないというより流させない。敵地において評判が良くなるという事は美濃の地を統治しようとしていると思われるかもしれない。そして、横取りするつもりだと。信長様はこの噂に関してはスルーすると思うが、周りはこれを許さない。
これは是が非でも挨拶に行かなければ事態が悪化する。
「堀尾殿、良くやってくれた!大手柄に相当するぞ!ありがとうな!調べる時に、それとなくこう言っておいて!それをしたのは殿の願いを形にしただけだと。その噂を利用する。」
「分かりました!ありがとうございます!」
危なかった〜!危機一髪どころの騒ぎでは無いわ!城主になるってこんなにも大変だったとは思いもんせんかったわ。
「蜂須賀殿、今から殿へ新年の挨拶しに行くから準備お願いします!」
「分かった!お土産たくさん持って行くわ!」
「それが良い!」
久しぶりの小牧だ。
なんというか、視線が痛い。言葉には表わせないけど、嫉妬や恨めしや無表情などが混ざったような感情が突き刺さっている。めっちゃ逃げ出したい。が、目的があるから堂々としていく必要がある。
「お前さま、お帰りなさい!」
「お!ねね、ただいま帰った!大事無いか?」
「はい。ですが、お前さま。女子のところへ通っているようですが、どうですか?」
え!そうなことあったっけ?あれかー!何誤解してくれてますの。あれはあれだ、怖がりの子を見て見ぬふりは出来んかったから、一晩過ごしただけだ!誰がこれを知らせたんだ?黙っておこうと思っていたのに!
「すまん!人助けとして一晩過ごしただけだ!本当だ!」
「一晩?何もやましい事はしていませんか?」
「してない!信じてくれー!」
面前でまさかの土下座だ。情けない。史実の秀吉のような女好きでは無いのに、なんで?
「分かりました。信じますよ。」
良かった!
「ありがとう!ねね大好きだ!」
そう言って抱擁しようと思ったが、拒否された。
この情けない姿を見せて、あらゆる伝聞を吹っ飛ばそうとしているのは分かるけどさ、もうちょっとやり方を変えてくれないかな。これではただの女好きの変態になってしまう。
「お前さま、呼ばれましたよ。」
「行ってくるね!」
面会の場に着いた。
信長様に城下での騒ぎは絶対殿に伝わっているはずだ。どうしたら良い?
「面をあげよ!」
「はっ!」
「おもしろい絵見せてもらったぞ。ねねに尻を敷かれているのではないか!あはは〜」
「情けない姿を見せてしまい、申し訳ありません!改めまして、新年おめでとうございます!美濃の攻略のためにより一層精進していく所存です!」
バレていたというより、現場を見ていたか!恥ずかしい!信長様…、この笑いは止まらないのね。
側にいた丹羽様が、
「殿、木下殿を虐めてはヘソを曲げてしまいますよ。」
と言ってくれたので、信長様の笑いは治ったようだ。
「ハゲネズミ、大義である。あの旗揚げは効果覿面であったな。これからも励め!」
「はい!」
「どうする?」
どうする?もうこの短い言葉慣れた!恐らくは洲俣での進捗状況と美濃の調略はどうだ?という事と、攻略の方策を聞きたいんだろうな。
「洲俣の状況は静寂であり良好です!それとともに、美濃の調略は順調です。西美濃三人衆はもう少ししたら、靡くでしょう。その靡いた時が稲葉山城への攻めどきです。俺達は城の裏手から攻め、兵糧や武器庫を中心に焼き討ちしていこうと画策しています。その根拠がこの絵図です。城の形状を調べました。」
「うむ。よく調べた!よくやったな!そうせい!」
「ありがとうございます!」
計画通りだ!後は本丸崩すだけだな!
「時が来るまで暫し待て!」
「はい!それでは砦の方に向かわせていただきます!」
蜂須賀殿を待ってから戻らないと危ないから、少しはゆっくりして行こう!
〜〜〜〜〜〜
「五郎左、ハゲネズミはどんな事があっても必ずやり抜くな!」
「そうですね。あの清洲の石垣の改修から早十二年。どんな事も笑顔で楽しそうにしています。」
「ああ、もうすぐだ。」
真也、思えば良い歳だな!
作者である私もふと思った。
今日も読んで頂きありがとうございます^_^