第三十七話
UPしました!
いーや、長かった!
あれから何日か経った。
この間偵察に行った結果、堀尾殿からは城の形状はあまり変わってはなく、城が見放題の様相だったということが分かった。つまりは織田の進軍に手がかかりすぎて、本丸の稲葉山城に手が回っていないということだ。稲葉山城の役割としてのあたりを見渡せるというものが売りであるのに、その機能を活かせていないということも分かる。何もかもが後手になっている。
それと、浅野殿からは、竹中事件の時から考えるとくたびれ度が増しているという現状が見えたと言っていたな。城下も城同様に手が回っていないと分かるし、何よりも織田に攻められているのにも関わらず挙国一致していないのもここから理解できる。
これでは、あの商人たちが言った通りだ。というより、美濃の民も気づいているのであろうな。理屈では言い表せないけど、何か違うなと。
一先ず成功?かな?
「何がともあれ、二人とも良い働きしてくれてありがとうな!俺一人では何にもできん!」
「「ありがとうございます!」」
そう言えば…、と浅野殿が懐から書状を出してきた。なんだ?また信長様からの無茶振りか?俺は嫌だぞ!
「殿からです。小牧へ戻った時に託されました。」
と、渡された書状には何が書かれているのかな…、
えーー!
顔には出さんかったが、驚いた。こんなことあって良いのだろうか?他の家臣たちはどう思っているのだろうか?めっちゃ怖い!もう一回言うけど、めっちゃ怖い!なんてことしでかしてくれるのですか!?信長様!
そこには、
<洲俣の地を城に見立てるとする。その上、ハゲネズミにはそこの城主となってもらう。
織田尾張守>
と書かれていた。
これは悪い意味での効果絶大になりかねないが、やり抜くしかない。信長様の下知は絶対だ。
これはねねに報告せねばならない!あかん!やばい!なにこれ!
その前に皆にも報告せねば!
「な、二人とも、皆を広間に集めてくれ!大事な話がある!」
「「はっ!」」
その間に書き留めな!多分小一郎を通して伝わっていると思うが、俺からした方が良い。その方が伝わり方の重みが違う。
えーと、
<ねね、息災ですか。俺はねねに会えなくていつも寂しいです。早く帰って一緒にご飯食べたいですね。さて、この度洲俣の城主になったことをここにご報告します。文上で申し訳ありません。殿のために今まで以上頑張ります。日頃の感謝に小袖を送りました。ありがとう。皆様方にも宜しくお伝えください。
藤吉郎>
時間がないから、いつものような文は送れんけど、ごめんよ!本当に感謝しているからな!周りとの緩和の為に動いてくれている事は分かる。世話をかける俺でごめん!
「誰かある!」
「はっ!木下様、皆様方お集まりになられたようです!」
「分かった!この文、ねねにお願い!」
「分かりました!」
どう皆に言おうかな?まあ、普通に言えば良いか。
さてと、俺が最後か。
座るところやけに上座なんだけど、皆分かっているのかな?浅野殿の方を見ると、目をそらされた。言ったな!俺は常に下の方に座っているから、なんだか居心地が悪い。
「遅れたのと作業の邪魔をしてしまい申し訳ない。実は、織田の殿から大事な書状が届いた。それは貴様らにも関係ある事だから呼んだ次第だ。」
「もったいぶらずはよ話せ!」
蜂須賀様、そんな急かさんでください。俺だってサプライズな感じで動揺してるんだから!
「簡潔に言うと、俺がここの城主になったということだ。つまり、洲俣の地が城同様に扱われるということになる。」
「「「おっ!」」」
「まあ、そんなことか。わしは分かっていたよ。木下様の与力になれと言われた時から。頑張れ!」
「そうですよ!私達は木下様が商人であった時から認めているんですから!」
蜂須賀様、前野様、こんな温かい言葉もらったら俺泣いてしまう。実のところ、ここまでいくのに数多な困難があった。俺が元百姓であるから中々会ってくれない人もたくさんいたし、日に日に織田家中の嫉妬が大きくなっているしな。これには心折れそうなこともあったけど、成果を残したら認めてもらえる事を信じて頑張ってきた。この頑張りちょっとだけ報われたかな?
「「「おめでとうございます!」」」
「ありがとう!感極まって泣いてしまったわ!」
この集まっている時を利用して、これからの事を言おう!
「前野様、長良の港へ船置きに行ってもらえませんか?それと斎藤家の動きもお願いします!これはこれからの織田家にとって大変重要な事です。」
「はい、分かりました!」
そして、
「この頃、空模様が悪い日が続いていますし、万が一の時の為に備えておきたいから、洲俣の改修を行いたいと思います。あまり時がないので、十日以内にある程度は仕上げたいと思います。」
「木下様、ちょっと待て!」
「斎藤家に疑われたらどうする?」
「堀尾殿、そこは洲俣の地の不利が巻き起こす事態を話し、そして、それにおける斎藤家の不利を言えば、分かってもらえると思います。また、長雨に備えるという事は古今東西どこでもしています。例えば、甲斐の武田家では川の改修を行なっています。それと同じことです。」
「分かりました!そうします!どこでその報を受けたのですか?」
それはさすがに言えない。
前世の記憶があると言ったらそこでゲームオーバーだからな。
よし!これで一旦終わりとするか!
「日々の仕事できついこともあるかもしれないが、美濃攻めが終わったら、楽しもう!だが、警戒は厳にな!」
「「「おう!」」」
しかしな、人が足りないんだよな。小一郎を呼べたら良いんだけどな。
てか、浅野殿泣くな!
身内だからこそ嬉しいって、泣かせる言葉言ってくれるやん!いつもありがとうな。
伝説の始まりとなるか?
次回も楽しみに^_^
今日も読んで頂きありがとうございます!
ps)私は常に思っている。秀吉の洲俣の伝説を再現しようとする作家さんがちらほら見られるのだが、流行っているのだろうか。私もその一人なんだけどね。