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転生?立身出世物語  作者: 大人の薯蕷
織田家士官編
26/48

第二十四話

UPしました!

清洲城


城内はいつにもなく異様な雰囲気であった。

乳白色の夜明けが夜の闇を溶かしつつある。これは何かの予兆か。


「殿!申し上げます!丸根砦、鷲津砦、今川に攻められているよしにございます!以上!」


「……」


「殿!申し上げます!善照寺砦の佐久間様、援軍要請をということにございます!以上!」


「うむ。帰蝶、準備致せ!」


「はい!」


帰蝶と呼ばれた女子は鼓を持ち、演奏し始めた。帰蝶は今は亡き斎藤道三の愛娘であり、未亡人であるが織田信長に嫁いだ。今では織田信長の最大の理解者である。


「人間五十年〜、下天のうちをくらぶれば〜、(省略)…よし!陣触れをせ!」


鼓に合わせるかのように織田信長は神妙な面持ちで、心を落ち着かせる様に舞っていく。心ゆくまで堪能したのだろうか、決心がついたようだ。これからの織田はどうなっていくのであろう。これは、誰にも分からなかった。たった一人を除いては。


〜〜〜〜〜〜


うおー!もうすぐだ!運命のあの戦が今始まる!俺は既に準備万端だ。出るだけになっている。


「木下の頭、今準備して何なる?うちと今川では役者が違うわ!行っても命無駄にするだけだ!」


「いーや、俺は殿が勝つと信じておる。俺は下賤の身てありながらも殿に拾われ、ここまで来れた。皆も同じであろう?殿が危機的な時に助けなくて何になる。ここで殿に心意気を見せなくてどうする。俺は行くぞ!」


「それもそうじゃな!」


「そうだ!そうだ!」


ぶぉぉぉお


「ほら、陣触れが出た!お前ら行くぞ!」


「「「おーー!」」」


皆の士気も上々だ。俺は足軽頭の一人であるが、殿に信頼されているため、比較的自由にさせてもらっている。足軽頭として戦場で皆を率いている。


そういえば、この戦いが始まる前、熱田社に参拝するんやった!信長様に置いてけぼりにならんよういかなあかん!


「準備終わったか?殿についていけば間違いはない!今、殿が城から出た。走れ!」


日本の馬は平野向きではないので、実に遅い。だから、なんとか俺でもついていける。必死に走ろう!必死に走ろう!


としているうちに、熱田社についた。俺達の組はどの組よりも早くついた方だ。この時代の人からすれば熱田社は大きい部類に入るかもしれないが、俺は普通の神社に見える。だが、不思議な感覚だ。なぜか、戦に勝てるという高揚感を熱田の神様から与えてもらっている気がする。柔らかい粉のような白っぽい陽のあたりがそう感じさせているのか。


「殿から直々の言葉である!心して聞け!」


「今、織田は危機的な状況だ!だかしかし、勝てる気がするのだ!このように集まったお主らがいるからだ!」


キーーーン


「熱田社の神様も勝てると仰せである!戦に勝とうぞ!えいえい!」


「「「おーーー!」」」


「ついて来い!」


信長様のカリスマ性はすごいな。不安に思っているであろう将兵達にユーモアを交えながら、闘魂を注入している。先の俺の掛け声なんか、これと比べると天と地の差がある。頑張らねば!


どんどん戦場に近づいているような気がする。戦独特の焦げた匂いが漂ってきた。緊張してきたわ!まず、丹下砦に入るようだな。


俺の組の結束を固めるためにも檄を飛ばしつつ、確認しよう。


「お前ら、絶対に勝てると信じよ!ここで今川を通してしまったら、親兄弟どうなるか分からん。だからこそ、明日のために戦うのだ!小さな声で頑張るぞ!」


「「「おーーー!(小声)」」」


向こうの方から武将が来た!やべ!騒ぎすぎたかな。


「意気がるのは良いが、もう少し大人しくせよ!」


「申し訳ありません!ここでまず檄を飛ばさなければ、何のために戦をするのか俺達足軽には分かりません。そうせねば、戦どころではなくなると思い、やってしまいました!俺はこの猿のような面のごとく落ち着きはありません。誠に申し訳ありません!」


「「「わはは〜」」」


周りが和やかになって良かった!ってか、信長様が出て来た。


「もう良いではないか。ハゲネズミ励め!」


「はっ!」


「さて、善照寺砦に行くぞ!」


このような砦の移動は二回した。最後の移動はとても命がけだったな。だって、敵陣から丸見えだからだ。しかし、その時丁度雨あられが降り出した。ゲリラ豪雨的に。運が良かったな。


そんなこんなで、熱田社の大宮司様が敵陣に突っ走して討ち死にしたと聞いた時、なかなかすごい御仁もいたものだと感心した。そして、情報があった通りに兵を進めていくと、俺達は小高い崖の上に立っており、崖を降りた少し奥に今川の本陣らしきものが見えた。お!これが今川のか…。


十年ほど前は今川の一員として織田と戦っていたが、分かってはいたけど逆になるとはな。ここにあの領主様がいなければ良いのだが。しかし、そんな女々しい考えは今は捨てよう。尾張の財産を守るために!


「我らが狙うは今川治部の首ただ一つ!正面からぶち当たれ!進めー!」


「「「おーーー!」」」


「お前ら!よしゃ行くぞ!」


雨が降りしきる中、俺達は飛び出した。

真也の活躍は如何に!


今日も読んで頂きありがとうございますm(__)m

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