間話 猿の恩返し
間話にしてもいいのかと思いましたが、UPしました!
薪のがひと段落つき、後少しで年を越そうとしている。そして、いつものように鍛錬をしている。ちょっとだけさぼり気味だったけどね。
「えい!やー!と!」
やっぱり、寒いこの季節に体動かすのはとても気持ちが良いなあ!それに冷えた全身がぽかぽかしてきて、今でも走りたくなるような開放感がある。
前世ではスポーツというスポーツはしてこなかったので、最初寺で教えてもらったときは見事に散々だった。それが今、楽しむまで一応振れるようになった。が、周りと比べてみるとかなり貧弱で、俺には力があまりないことを知った。寺では褒められていたが、それは井の中の蛙であった。だからこそ、槍働だけでは無く頭を使う事で出世しようと思った。
わーー!
ん?清洲城の方がさわがしいぞ!どうしたんやろう?もしかして、敵が攻めてきた?
とりあえず城の方から来た者に聞いてみよう。
「そこの貴様、この騒動は何事ですか?」
「切腹事案が発生したんだよ!信長様は大変激怒なされているようだ!それしか、知らん!」
「教えて頂きありがとうございます!」
まじか!
信長様がここまでお怒りになるって、その人何したんだろう?まさか間者とかではないよな。しかし、間者ごときでこんなに大騒ぎになるものかな?ならんな。そういう時は秘密裏に処理が行われる事が多いからな。
こっそり、入って調べよう!
凄い人だかりだ。見る限り、二十人から三十人はいる。俺は背が低いのでどうなっているか分からないが、聞いてみよう。
「某はもう既に限界だったのです!殿の茶坊主に妻からもらったこうがいを馬鹿にされるのが!」
「黙れ!我慢ならんという感情だけで人を斬るのは言語道断!この年末年始に近いこの時期に何をしておる?この場で腹を切れ!」
「はい、分かり申した!」
え!まじで、ここで斬ってしまうの?
思い出してごらん、この光景を〜♪(見◯×6夜◯×3)
あ!怒られているのはもしかして、かぶき者-前田利家か!続きを見よう。
「殿!それだけはおやめ頂きたい!前田殿は将来有望な若者です!この柴田権六の顔に免じてお許し頂きたい!」
「この森三左もこの通りである!お許し頂きたい!」
「うむ、そうか…。この二人の熱意に免じて、命は取らん。犬この城から出ていけ!分かったか!」
「はっ!」
前田様、城を出て行くということは即ち一文無しになるということか。これはきついな。それに昨年祝言を挙げたばかりだと聞く。生活が儘ならぬことになって、飢え死にになんてこともあり得る。助けよう!しかし、信長様が追放の命を下した以上、関わった者は同罪とみなされる可能性が大いにある。源七に頼むのもいいが、これ以上は働かせられん。
やっぱ、俺が行くしかないか!
それに、柴田様や森様の声をはじめてこんな間近で聞いた!さすがは武士だと思わせる迫力があった。改めて、戦国時代に来たと思わせる。この機に乗じて顔を売るのも良いな!
信長様が奥へ行ったな。丁度死角だ。
決行だ!
「森様!お待ちください!」
「なんだ?」
「俺の名は木下藤吉郎と言います!此度の件でお話がしたく声をかけました!詳細については城下の飯屋でお話をと思います。俺が奢ります!」
「また今度に。」
「それは残念です。前田様をお助けしたお方とは思えません。一緒に考えたいと思ったのですが。何卒お願いします!」
「そこまで言うなら、行こうではないか。」
「ありがとうございます!」
結果、俺は柴田様や森様からお金を集める事ができた。俺が声をかけたのは森様なのに、なぜ柴田様がと思うかもしれないが、森様が誘ったからだ。柴田様はどう思っているか分からんが。飯屋の席で、俺は正直にこれからの前田様をお助けしたいと言った。その昔、前田様に助けてもらったことに恩を返したいとも。そしたら、渋々であるが認めてもらい、俺が代表として支援することになった。柴田様や森様が大々的に動くと目立ってしまうので、身分の低い俺が最適だという判断だ。お金をどうしようと思っていたから、ありがたかった。
明くる日
前田様の動向が掴めたので、行くことにした。
「ご無礼つかまつる!前田様はいらっしゃいますか?お届けものです!」
「なんでしょうか?」
女の方が出て来た。おそらくこの方が有名なまつ様であろう。
「俺は織田の殿のもとで働かさせて頂いています木下藤吉郎と言います。」
「私は前田利家が妻、まつです。どの様な要件で。」
要件は先述べた通りであるが、まつ様は大変お優し方であった。大変喜んでいた。しばらく話し込んでいると、前田様が帰ってきた。
もう一度、前田様に話をするとしよう。
「前田様、ここにお届けしたのは、前田様に潰れてもらったら織田がどうなってしまうか分からないからです。俺は織田家に欠かせない人だと思っています。だからこそ、柴田様や森様が案じられ、俺が届けた次第です。それと俺は前田様に恩を返さなければいけません。俺がここ尾張で商人していた頃、盗賊から守ってくれた事があります。それに対し報わなければと思って、志願しました。」
「木下、ありがとう!助かった!よろしくな!」
喜んでくれて嬉しいわ。ここまで来たのも前田様のお陰でもあるからな。
今日も読んで頂きありがとうございますm(__)m
度々、真也は出世欲を見せる時があります!作者である私にしてみれば、すごいなと思います。