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転生?立身出世物語  作者: 大人の薯蕷
織田家士官編
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第十九話

UPしました!

本当に、織田家はブラック企業だ。確かにそう思った。


馬飼の先輩に聞いたのだが、いつ信長様が戦やどこかへお出かけになるか分からないから、二六時中馬の世話をやり続けなければならないらしい。前、小者として働いていた時はまずなかった。時間はきっちりと決められていたからな。織田家から見たら、なんと古風な戦い方だと思われるかもしれないが、これが普通なのである。織田がいや信長様が異常なのだ。


馬を磨くのは、慣れていたから良かったものの、慌ただしさはこの上ない。最初の一週間は馬とのコミュニケーションをとることから始めたので、中々進まず叱られたこともあった。今ではよく懐いてくれているので素早く尚且つ気持ち良いかは知らないけどなぜか磨くことを求めてくるようになった。その時、馬は発情しているのか如く接してくるので少しうんざりすることもある。


「よし!終わったぞ!って、やめろ!次の子もやらねばならぬから!」


ブルル


て、鳴いているけどごめんよ。仕方ないんだ。


今日は薪に関することを勘定方と台所奉行も含めた節減の会に参加しなければならない日だ。表向きは勘定方が長であるが、実際の所は俺が委任を受ける形で指揮を執っているのが実情である。こうややこしい形になったのは、信長様のせいだ。初っ端から俺を長としようとしたのだ。はじめて信長様に面会した時の最後の笑みがこういう事かと思ったね。これはまずいと思ったよ。下手したらというか下手しなくても首だ。これを受けるか受けないかで、俺の目利きをしようと思ってやった事だと分かってはいた。俺にはバレバレだ。が、周りの殆どの人はその目論見を知らない。本当に嫌がらせが過ぎる!その時の顔は明らかに遊んでいるという感じでだった。


「この度は、お集まりいただきありがとうございます。何か不備などがございましたら、今後の参考などにさせていただきますので、どしどしお願いします。」


「さて、木下よ。」


「はい、なんでしょう。」


「台所奉行としては、半年間、薪の無駄遣いの徹底に努めてみた。すると、分かった事がある。商人らが持ってくる薪がいかに無駄かが分かった。それに、多い月でもこんだけしか使わないのなら、これを基準にして常に蓄えておくと良いという事だろう?」


「はい、そうです。一月ごとに余剰分を数え、一月の最大値からその余剰分を引き、その分を商人に発注すれば良いのです。そうすれば、薪が腐る事なく、常に新鮮な薪が使えると思います。」


俺は、前世での栄養士の母が言っていたことが印象に残っている。昔の病院などの一部の施設では調味料の賞味期限が長いからといって、大量に仕入れていたようだ。そうすると、結果的に賞味期限切れの調味料が多発した。すごく無駄に廃棄してしまったようだ。だから、一月に使う暫定の量を決め、そこから一月ごとに発注したら、賞味期限切れが見事に減ったそうだ。そこをヒントにして俺は改善しようと思う。


「そこで疑問に思うんだが、良いか?」


勘定の人がその案に引っかかりがあるようだ。


「はい、どうぞ。」


「勘定方として、その事を商人たちに伝えるにはどうしたら良いのか?」


「問題はそこが肝心なところですね。だからこそ、一年契約をして、その商人に対して特別感を与える事によって、大まかな問題は解決しようと思います。それにより、そのたった一枚の証文を貰おうと商人たちが切磋琢磨します。その結果、より領内に活気ができ、発展していく事に繋がるでしょう。その際、気をつけなければならないのが、商人同士の抗争が起きる可能性です。それが起きぬように、入札日時やその場所を伝えずに粛々と行う必要がありますし、その期間の監視は必須です。」


言ってみれば、契約式一般競争入札をするということだ。ちょっと時代を先取りしすぎたかなと思う。が、経済を活性化させるのなら、多少の競争があれば良い。やがてそれが一種のイベントになると思う。それが季節の風物詩となって、領内を咲かせることができる。かのマグロで有名なすし屋のように。当分、今の所は薪限定にする。特異性を持たせるためでもある。


「…以上のように、進めていきたいと思います。何か不便なところを発見しましたら、いつでもどこでも駆けつけます!」


「皆さん、木下、これでよろしいかな?…後は個々で詰めるとして、これにて終了!解散!ちょっと、木下良いか?」


「はい。」


なんだろう?めっちゃ怖いな。


「木下、お主が長になるつもりはないか?わしとしては、お主の働きぶりを見て、そう思ったのじゃ。」


ここで、こう来るか!多分だけど、信長様から俺に対してのおちょくりだと思う。それをさせられている長、本当に申し訳ない。今の俺の身分は本当に不安定なもので、一つ何か起こせば致命傷になりかねない。


「すみませんが、今の俺の力では全くと言っても良いほど、ここまではできません。貴様がうまく調整して頂いるので、この会の方々が付いていっていると言っても過言ではありません。本当に助かっています。今日もありがとうございます!」


「そうか。分かった。呼び止めてすまぬ。」


正直なところ、ここで騒動にはなりたくない。出世するまでは、このスタイルでやり抜こうと思う。


さてと、薪に関しては、節約の効果が現れるのはもうちょっと先になりそうだから、気長に待とう。体制の構築や普及には時間がかかり、混乱が起きる事を容易に想像できる。これは人間の性というものだ。こればかりは仕方ない。これにて動き出したが、成功することができるか心配になってきた。


「まだまだ甘いところがあるから、協力し合って高めていかなあかんな。」


〜〜〜〜〜〜


その裏で


「これが成功すれば、すごい事になりますね。」


「…うむ。」


縁側で何やら楽しげに話している男女がいた。

この話に対してめっちゃツッコミ所満載だと思います。何か良いアイデアがあれば、受け付けます!参考にさせていただきます!


契約式一般競争入札は私の造語です。悪しからず。


今日も読んで頂きありがとうございますm(__)m

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