第一話
宜しくお願いしますm(__)m
A県某所。
「今回の模試、全然あかんわ〜!」
と、嘆いているのは、俺、県内では5本の指に入る進学校に通う梅田真也16歳です。ちょっときもいか…。まぁ〜、得意科目社会全般で苦手科目英語の一般的な高校生です。得意っちゃ得意なんやろうけど、とあることになると寝ることも食べることも忘れてしまう。それは、城に関することだ。
「模試の結果次第で夏休みの安寧の日々が決まるというのにな〜!行きたかった城跡があったのにな〜!はぁ〜、仕方ないわ〜!つべこべ言わずやるしかないわー」
今回は勉強してなかったから自業自得だ。中々人生とは上手くいかないものだ。でも、上手くいく人生も俺としてはつまらんし。
?
「なんやこれ…」
そこになぜ寺があるんやろ?ある筈のないのにな。これでも、冒険部兼歴史部だ。疑問が膨らむばかりだけど一歩足を踏み出そう。ちょっと怖いけどな。寺の雰囲気としてはなんか落ち着く感じがするし、不思議な感じもするな。
「建築様式も古そうやけど、なんかちゃうわ〜」
「ん?」
15m先にある木の下に落武者らしき人が倒れている。不審人物であるにも関わらず、思わず助けに行こうと体が動いた。無意識に動いたので、内心驚いた。
「死んどる⁉︎どうしたらええ!…これは…、この甲冑は戦国時代の様式のようやな!どう説明したらええ?」
助けに呼びに行こうとしたが、“ここに落武者らしき人がいて、倒れとる!”などと現実離れした言葉を発して、大人達が信用してくれるかは未知数である。だから、携帯電話で呼ぼうとしたが、圏外となっている。絶望した。どう動いても、分からないことばかりだ。この時、落武者の刀が、いや、落武者全身が光りだした。
「うわ〜〜〜〜」
真也が気づいた瞬間、光は全身を覆い、その場から真也は消えていった。
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頭めっちゃボーとするし、なんかえらいな。周囲のすすり泣く声が聞こえてくるから目を覚まさんとな。
んー…、焦点が定まらんな。てか、ここはどこや。
それよりもほっぺが痛い。耐えきれない程痛いし、痛部を少し触れて確認しよう。ふむリンパ腺の所が腫れているようだな。これはおたふく風邪かな。把握のためにふと周囲を見回そう。男の人一人、女の人二人、女の人に抱かれている赤子がいるな。
一人の女の人が、
「おみゃー、良かった!ワシの大事なおみゃーがいなくなると思うと心が張り裂けそうだっただぎゃ!」
と言って水を飲ませてくれた。そして、もう一人の女の子が、
「弟、良かった!本当に良かった!」
と、涙を流しながら喜んでいた。一体全体何が起こっているのやろうな。冷静に四人の服装や家を見てみると、時代劇で見る様な出で立ちだな。今更であるが、体が小さくなっているのに気付いたわ…。えー!
歴史小説殆ど読み込んで、最近は小読を読もうに手を出し始めていたところなんやけど、その矢先にまさか自分の身に起こるとは思いもしないわ。もうびっくりだ。
周りから聞こえて来る声にデジャブが。言葉遣いがばあちゃんにそっくりやな。不思議な安心感に抱きしめられているような感じだ。
なんか急激に眠くなってきたわ。この体の病気のせいやな。
ウトウトしていると、男の人が突然殴りかかって来た。
「おみゃなんか死んどりゃ良かったんだら!この面で生きやがって!」
と、罵詈雑言を浴びせて来たので流石に頭にきたわ。飛びかかろうか。が、この体では無理があるな。だから、睨み返して意思を伝えようかな。それも泥沼化しそうと感じるので止めようか。何も出来ず悔しいけど。
その冷静な態度が気に食わなかったのか、男の人は外に出ていった。女の人が駆け寄って来て、
「おみゃ大丈夫か?ゆっくり治せばいいんだぎゃ。」
薄っすら気づいている方いるかも…
えらい=疲れた・だるい という意味です。お間違えのないように!!