第十七話
UPしました!
「すみません!藤吉郎さんはいますか?」
「どうしました?俺が木下藤吉郎です。」
「唐突で申し訳ないのですが、助けてほしいんです。紹介を忘れてました。織田様の城で勤めている小者です。上の方から節約しろと言われているのですが、どこをどうすべきなのかが分からなくて。」
「んー、そうか。俺はとある家で居候させてもらって小者として働いていたのだが、その気持ちも分からんでもない。明日、商人としてその城に行くので、一品注文をお願いします!」
「安いものでも良いですか?」
「良いよ!これにて、手を打ちましょう。」
織田様か、ちょっと無理難題押し付けすぎではないだろうか。確かに、人・時間が足りないことは十分理解できる。そして、尾張がギリギリの所まで追い詰められていることも分かる。だが、それではいけない。小者には雇用権がなく、何かと制限が大きいからな。ま、今回は相当危険な仕事になりそうだな。
ここが俺の腕の見せ所だ!
この便利屋も実は最初この運送屋内で反発もあったけど、なんとかやっていけている。ちなみに、この便利屋の長は俺だ。便利屋が浸透するまでは多くの時間は必要なかった。何と言っても、この頃は戦続きで、とにかく人が足りなかったからだ。最初に多かったのは、戦における荷駄の運送だ。俺達の運送屋の機動性に目を付けたかもしれないけど、不利になればこれも商売だから霧散してしまった事もあった。以前から川並衆自体同様のことをしていたけど頻度は低かった。だから、ここまで浸透するのにやっとの思いで漕ぎ着けた。
「源七、明日城へ行くわ!その為のお酒用意してくれ。」
「はい!いっ、ん?城へ行くのですよね?」
「そうだ!」
「ま、待ってください!なぜ、危険を冒してまで!」
「俺は昔から困っている人を見つけたら放って置けないタチだからな。今の話聞いてたよな?」
源七はやれやれ顔になっているな。いつも苦労かけてごめん。いつかは返す。
「よし、行きましょうか!」
「「おう!」」
城へは少数精鋭で行くこととした。大人数で行くと、迷惑だしそれに不審極まりないからだ。それに小者といえども面目は大切だ。そんなことで潰してしまったら、関係性がぶち壊しだ。
そして、運命の城に到着だ。
「おーい、来たぞ!」
「お待ちしておりました!」
にこやかに歓迎してくれたけど、こんなおっ広げで良いのか?
「しかし、こんな部外者をこんな内部まで良いのか?俺だったから良かったものの、こんな事、上の方々は許さんと思う。信頼してくれるのにどれだけかかったか…」
「分かっていますが、特に解決法を編み出すのがこの学のないわしらには無理です!仕事場はこの裏にあります。」
「ゆっくり見させてもらうよ!」
俺が働いてきた城よりめっちゃ豪勢やな!裏手というのに、そんなにジメジメした感じではない。きちんと整理整頓ができているし、何よりも城に隙がないのはわかる。こんな所で当時の城観察する事ができるようになるとは。
としている場合ではない。
向こうに無駄に山積みされた薪があるな。よく見てみると、上が新品なのに対して、下の奥の方にもはや化石かと言い間違えそうなジメ薪がある。これでは無駄が出て仕様がないし、ジメ薪を使おうと思っても満足には使えないだろうな。つまり、単純な事ができてない。
そして、この城の小者に薪に関する収支の帳面を見させてもらったが、中々ひどい。俺は事前に薪の相場を調べた。その相場より約五割ほど高く、その点からでもこの城のお金を減らしかねない。
前者においては、先出しシステムでなんとかできる。だが、後者と融合せねば結局は無駄足になってしまうだろう。例えば、薪の購入に関しては一年毎に一般競争入札をして、補充は足りなかったらその入札額で逐次するというものだ。時間はかかるだろう。しかし、それをするには俺のような他人が口を挟んで良い問題ではないということは確かだ。もしそんな事したら、無礼打ちになって、最悪あの世へさよならだ。
「悩みを首を覚悟で打ち解けてきてくれたことは、貴様達の主君への忠誠が確かであることは俺には分かった。が、部外者である俺が動いてはならぬものだとも分かった。だから、解決法が書かれた文を後日届けさせようと思うので、今この城の小者達が欲しいものと一緒に届けよう。」
「ありがとうございます!助かりました!」
「それに後ろにある荷物の中に、昨日の頼み物と少しのお酒があるので、この後楽しんだらどうだ?」
「「ありがとうございます!」」
よし!この仕事は終わりだ!
今日は時間があるから、村にも寄ってこうか。弟にも会いに行こうかな。あの男には会いたくないが、畑仕事のお手伝いも兼ねて行こうと思う。どうなっているかな?
着いた!お土産も買ってるから、家に入ろっと。
「ただいま!」
あの男はいないようだ。良かった。
「なんでこんな時に帰ってくる?この村でも評判になっているよ。おみゃの商い。」
「嬉しいね!弟、兄の顔覚えているか?学の方は楽しいか?」
「うん、楽しいよ!ありがとう!兄じゃ!」
ほんまにかわいいわ!このまま真っ直ぐに育ってくれよ!この兄のような人生は俺だけで良いからな!
次回予告
ある人は歓喜し、ある人は困惑し、ある人は非道になるの巻でございます。
明日もみてくださいね〜^_^♪
\じゃんけんぽん/
*某アニメ風のパロディを書いてみました