第十三話
二日連続でUPしました^_^
あはは、完全に一人身になってしまった。当然のことだが、見送りも無く一人で旅立つことになってしまったわ。良い加減ぐずぐずしている場合ではないことは分かっているが、寂しい。足取りも重いし。
と思っていた時もありました!
なんと!仲良くしていた商人が手下を人材として派遣してくれたのだ。これには驚きました。下手したら村八にされてもおかしくない事だからだ。これは本当に助かった。この商人にとって、俺に対する手向けなんだろうな。
「本当に大丈夫なのか?源七よ。今からでも遅くはないよ。」
「何度も言っている通り、なんの問題もありません。むしろ感謝しているのです。この国中が悲壮にくれている時、貴方様は様々なお話をしてみんなを笑顔にしてくれました。おらもその一人です。それが原動力となって、町がより活気が出てきました!」
「そんな事言われると、涙がでてきそうになる。もう出てるか。なんか嬉しいわ!ありがとうな!」
「そんな貴方様だからこそ、おらはついて行こうと思ったのです!実は、最初に言い出したのはおらです!ついていくことを。」
「そ、そうなんだ!あの主人に無理やり行かされたと思っていたわ。そのことで頭一杯だったからな…」
「だから心配はご無用です!今から行く貴方様の故郷に行くことが楽しみで仕方ありません!」
めっちゃ良い笑顔で言ってきたよ。もう本当に人好きな顔をしよって!これだからこの国の人は嫌いになれないんだよ!
それよりも、この国にある関所を素早く通れるように手配までしてくれたことに感激だ。
いざ、城から出て行こうとしたときに気付いた。関所を通るにはどうしようと。そんなこと頭になかった。そういうこともあって、ますます悲壮にくれていたのだが。
いよいよ、目の前に運命の関所だ。どのように源七が対処してくれるのかなと見ていたが、あっさりと通してくれた。
「源七、どんな手妻を使った?関所通るのだって、お金が膨大にいるよ!」
「おらが商人であることを忘れないでもらいたいよ。そこらへんの行商人と違って、正規の商人だからです。頭良いのにちょっと抜けてるところありますね。」
「そうか!てか、一言余計だ!」
小者として働いていた時も、源七は生意気な口を聞いてきた。ほんまに可愛い奴だ。
そんなことをしているうちに、故郷の国まで関所が後二つになった。やっと帰れると思うとわくわくものだ。国に近づいていくと、なんかきな臭い感じがした。戦が終わった直後のような、そんな気配だ。この時期になんかあったかな?んー…、あ!それだ!
赤塚の戦いだ!
あの御仁と戦った山口教継・教吉親子が居城とする鳴海城が近くにあるんやった。前世の感覚からでも今いる刈谷から鳴海はさほど遠くは離れてはいない。この時期の故郷の国は荒れに荒れていたんだった!修羅の国化としていた時期だった!ボケとったわ!
そうなると、尾張の関所は結構な厳重警戒を敷いている可能性が大だ。商人だからといって、甘い判断をしていたら、間者が入り放題になってしまう。鳴海までの関所は大丈夫だとしても警戒の緒は緩んでないはずだ。
「うわー!どうしよう?」
「どうしたんですか?」
「ちょっと迂闊なことしてしまったみたいだな。尾張側からきた人の話を盗み聞きしたんだけど、戦が近頃あったみたいなんだよ。無事に目的地までたどり着けるかなとね。」
「大丈夫です!寧ろ私の方が怪しまれるでしょう。言葉も違いますし。尾張側の関所は木下様にお任せします!」
それもそうだった!
まぁ、どうにかなるでしょう!ネタもあるしね。
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やった!何事もなく、村に着いた!
最初の関所は少し時間かかったけど、後はドライブスルーのように機械的な感じで怒涛の速さで行けた。
ここからが勝負だ!
あの男はいないな。まずこれが一番大切だ。あの男に会いたくもない。さあ行ってみよう!
「ただいま〜!」
「お!おみゃ、久しぶりだがね!元気にしとったか?」
この言葉遣い、久々だよ。わずかな時間しかおらんかったけど、家に帰ってきたという気持ちだ。
「はい、元気にしてました!様々な所で小者として奉公に出て、楽しく過ごしていました!あの男はどこに?」
「あいつか…。どっかほっつき歩いとるわ!仕事もせんと。もうすぐ帰ってくる刻だ。さっさとせい!」
「分かった!また来るからな!」
かかと一緒にいた弟ともう少し触れ合いたかったけど、また今度だ。俺を見て、弟が恐れなかったことだけでも重層だ。かっこ良い俺を見せるためにも頑張らな!
作者である私自身が、本作の時の尾張国が荒れに荒れている事を失念してました!迂闊だった!尾張側の関所に関しては、ご都合主義なところもあり、読んで頂いている皆様には突っ込まれること甚だ多いことと思います。
さて帰ってきた真也ですが、これからの活躍にどうぞご期待ください!