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転生?立身出世物語  作者: 大人の薯蕷
織田家士官編
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第十話

今月二話目です!

結果、勝った。

大勝利である。


俺自身、結果は分かりきってたので約束された確かな勝利であったが、やっぱり嬉しい。戦場にて荷駄隊の伍長として出陣し初陣で勝ちを収めるのはなんとも言えない格別な感じだ。だが、勝って兜の緒を締めよだ。まだ戦は終わってはいない。俺の班はもう既に帰り支度は終わっているので、他を手伝う事としよう。


「何かすることありませんか?」


ざわ…

ざわ…


ん?なんか騒めき出したぞ。その発生源を辿ると、本陣あたりで新たな動きがあったそうだ。もうそろそろ帰るのかな?早く帰ってゆっくりしたいんやけどな。とにかく眠い。


ん?今から宗主様から直々にお話?


「えーー!」


まさかこんな所で顔を拝見できるとは思いもんせんかった。かなり後ろらへんにいるから見えるか分からんけど。


ちらりと見たが、色白で目がキリッとしたおっさんだった。理知的な戦上手な印象に見えた。一瞬見間違えたかと思ったが、これは現実だ。戦国時代に来て良かったと思える瞬間だ。


総大将である宗主様が、


「えいえい!!」


鬨の声をかけると、


「「「おーーーー!!」」」


と思わず周りの熱気に当てられ叫んでしまった。これぞまさに戦やな。時代劇とかで見たことあるけど、実際に体験すると思わず叫んでしまうのも納得だ。


しかし、この戦で壊滅し俺の故郷である尾張が窮地に陥ったのも事実だ。西を確実に攻めようとしている最中での出来事にこれだ。立て直すには相当な時間がかかるだろう。


戦している中で、


「〇〇を打ち取ったぞ!」


「△△様が討ち取られた!」


と様々な戦果が聞こえ、混戦になっている事を理解していた。実際、拮抗している様であった。この状況に敵方のあの有名な七本槍な方々が確信したのであろうか、それに風穴を開けようとその一人が本陣めがけてまるで鬼のように一騎当千してきた。俺の四半町先まで来ていたのを見た時は死を覚悟したね。迫力が段違いにすごかった。俺のいた軍は三段構えの中の真ん中の後方であったので、ここまで来るとは思いもしなかった。が、それを宗主様は見越してたのであろう。側面から宗主様の伏兵が現れ、奥深くまで進軍してしまった織田を挟み撃ちにして、大打撃を食らわした。正直な所、なんて事してくれているんだと思ったね。だって、一段目は松平軍、二段目は宗主様側の外様軍、三段目は宗主様の軍というような構成であったため、実質宗主様は痛くも痒くも無い結果だ。益々、困窮していくよ。ため息したくなるし、これから仕事が増えるかと思うと何のために村から出たのか分からなくなる。それに故郷の情勢も心配だ。


嬉しいは嬉しいけど、何だろうね。俺は宗主様側の外様にいるからこの国の人よりかは良い暮らしはしているけど、俺の故郷との国境付近の人は青田刈りなどをしてようやく食い扶持を繋いでいる状態だ。なんか何もできない俺が情けなくなってしまうよ。


「みんなが笑顔で、食う物に困らない世の中ができたら、良いんやけどな!このご時世、そんな余裕も無いに等しい。やっぱあの御仁しかおらんのか?」


「そんな世の中、来るわけない!」


突然、荷駄隊の先輩が話しかけてきた。後半の部分は聞こえなかったようで安心だ。


まぁ、先輩の言う通りだ。応仁の乱から始まった戦乱は益々混迷を極めている。また、戦乱の世に慣れてしまった世代が多くなってしまった今、おさめようとする頭すらない。いるはいるんだけど、それは畿内だけだ。俺は平和な世界から来たので、客観的な視点から見ることができるが、この時代の人の考えはどうなのかはわからないので聞いてみよう。


「なぜ、そう思われるのですか?」


「お前も知っての通り、応仁の乱からこの状況が続いている。それに加えて、冷夏による米の凶作がある。人はこれに対処しようとするので精一杯だ。わしも何にもない世の中があれば、見てみたいよ!近所の子が亡くなったときはどんだけ思ったか…」


「確かに…」


聞いてみたけど、これしか返せなかった俺に苛立ちを覚えた。俺は自分勝手な行動しかできなかったこれまでの所業に何と言えば良いか。今までを振り返ってみると、見返すとか昇進さえすれば良いということしか考えてこなかった。これではいけない。昇進するのは活躍する上で付き物だとして考えるにしても、その上で一人でも多くの人が幸せになれるようにする事が必要だ。それは甘いと言われるかもしれないが、そうするしか手はないと思う。


「俺が大きくなったら、そんな世の中作ったるわ!」


「何と!大言壮語を言って。若いうちはそうでないとね〜。頑張れや。」


馬鹿にしたような物言いで先輩は見ていたが、若者らしく前を向いて歩んで行こう。戦から沢山のことを学んだ。それは一部でしかないかもしれない。だが、苦しい事があったとしても乗り越え、恩返ししていこう。

作者である私も本作を書いていく中で、考えさせられる事が多くありました。真也と共に成長している気がしています。

今日も読んで頂きありがとうございますm(__)m

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