日常1
太陽の光が部屋に射し込んできた。少年は目をこすりながら寝ぼけ眼で布団の中から出た。
「ふぁ〜。朝かぁ。さてじいちゃんが起きる前にご飯作らないと!」
トテトテとドアを開け外に出てぐいーっと背伸びして食料保存庫の中を物色する。
(んーなに作ろうかなー。じいちゃんもいい年だし朝から重いものは嫌だろし、、)
「よしっ!クアドラの卵と昨日採ったダルシャの出汁スープと腸詰めの焼き物でいいか!」
メニューを決めた少年、マルク=フェンストはどんどん作っていった。作り始めてしばらくすると
「おー美味しそうな匂いじゃな。マルクおはようさん。」
「あ、じいちゃんおはよー!もうちょっとでできるから待っててね!」
マルクはそう言って机に朝食を並べていった。机の上が出来上がった食事でいっぱいになりマルクも席に着いた。
「そんじゃ!ローザ神よ。大いなる父と母に感謝を込めて。」
そう言って2人は食事に取り掛かった。
「そうじゃ。マルクよ。お前さんは冒険者ギルドの登録はまだじゃったかの?」
「うん、、僕まだ13だから2年待たないとできないんだよ。」
そういってマルクは落ち込んだ。何故ならこの世界には魔法があり、魔力量が多ければ6歳から12歳の間魔法学校に行き、その後卒業証書を見せればすぐに冒険者になれる仕組みがあった。
だがマルクは6歳の時に両親と学校の試験に行く途中に魔物に襲われそれどころではなかったのだ。
「そうじゃったの。ふむ。それならわしがこの残り2年で魔法を教えてやろう。」
「え、ほんと!?じいちゃんが教えてくれるの?じいちゃんって魔法使えたの?」
「わしも魔法は使えるのぉ。まぁ剣術はからっきしなんじゃが、、」
「やったー!!じいちゃんよろしくお願いします!」
なぜじいちゃんが今更魔法が使えるとか教えてくれる気になったかはわからないが嬉しすぎてそれどころではなかった。
じいちゃんは本当の祖父ではない。シリウス=フェンストといい6歳の時両親と魔物に襲われた時に気絶していた僕を助けて引き取ってくれたらしい。残念ながら両親は他界してしまったが両親に勝るとも劣らない愛情をくれたじいちゃんが大好きだった。
(うーむ。魔力量ならアモンの都の第1級冒険者の上を行く子なんじゃが。ぶっちゃけどう育てていいかわからんかってここまで来てしまったのじゃがのう。なんかすごい良い子に育ってしまってどうしよう。)
実はシリウスはアモンの都(世界一冒険者が集まる町)のトップランカーだった。だが強さ、羨望、尊敬に全く興味がなく森の中でゆっくり生活しようと思い隠居したただの引きこもり思案の爺さんだった。
「それじゃあご飯の片付けが終わったら裏においでマルク。」
「わかった!あ、じいちゃん。ご飯食べた後すぐ動くと調子悪くなっちゃうからちょっと休憩しててね!」
(この孫わしのこと心配しすぎじゃろ。ま、まぁわしがトップランカーだったの知らんし教えてないから仕方ないんじゃが。良い子すぎて外に出して騙されたりしないかわしが心配になってきおったわ、、)
シリウスは嬉しいのだがどこかモヤモヤしながら裏庭に向かった。
マルクはウキウキしながら裏庭に向かいシリウスを探した。
「じーちゃん!来たよー!!」
「おー。それじゃあ始めるかのう。まずは魔力制御じゃ。まぁ見ておれ。」
シリウスは右手→左手→右足→左足→全身の順番で魔力を浸透させ一体化させていった。
「今わしは魔力を身体に順番に浸透させ全身を魔力で覆っておる状態じゃ。わかるか?」
「うん!順番も見てたし綺麗だなーと思った!」
シリウスは背筋が冷えた。何故なら普通他人と魔物の魔力は見えない。そしてそれを感知するのは生まれ持った才能で努力しても身に付かない。自分の魔力は自分の身体の一部なので感じることはできる。だがマルクは感知どころか知覚までしていた。
(こ、これはすごいとか天才とかでは収まる範囲ではないのぉ。今のトップランカーでも同じことをできるやつはおるまい。マルクが破壊、殺戮などに興味ある子でなくて良かったわい。)
「とまぁこんな感じに身体に薄く膜をはる感じで一体化させれば一流じゃ。何回も繰り返してやればマルクならできるじゃろ。」
「わかった!やってみるね!」
マルクは興奮しながら自分の手足に魔力を流し始めた。
(あれ?流しすぎた?身体から溢れちゃってるよ。あ、そうか薄く膜を貼ろうとするからか。皮膚と同じ感覚で流せば、、)
マルクの周りに魔力を感じていたシリウスだったがちょっとしたら感じなくなった。
「ん?できんかったか?まぁ繰り返しやってみる、、、」
シリウスは自分の感知を疑った。何故なら魔力が全く感知できなくなったからだ。万物が行動を起こすとき魔力は漏れるなり動こうとする方向に滲み出てしまうものだ。
だがマルクからはそれが一切ない。人という存在すらも感知できないほど魔力が感知できないのだ。
「あれ?これできてないの?皮膚の下にもう一枚皮膚ができたってイメージして魔力を纏わせたつもりだったんだけど、、」
「マルクや。この木を思いっきりその状態で殴ってみよ。」
マルクは頷き木を殴った。ドコーーンという派手な音の中木は粉々になった。
「「・・・・・」」
ついに二人共無言になった。
こんな感じのゆる〜い小説なのでおかしいとことかありましたらガンガン文句ください笑
読んでいただきありがとうございます!