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「よかろう!この娘、魔王レナードがいただこう!」



ざわめく王宮、青ざめる王家の人達、倒れている警備兵、私を抱えている黒髪で、全身黒いマントの三白眼さん。空気はこの魔王さんが乱入してくるまでと180度くるっと変わってしまった。

私はなんでこうなったんだろうなあと思いつつ、少しワクワクしてたり。だってこれは、まさしくロマンの香り!



「はい!ルデア家令嬢かつ星界王宮"閃き係"、フランカ・ルデア。全力で魔界に協力します!ひゃっはー!おてて洗って待ってな王家様方のやろう!!」


「恐らく手ではなく首だと思いますよ」


「今のナシ!!首洗って待ってな!」


「本当に令嬢ですか?」



私がびしっと敬礼しつつそう叫ぶと、集まっていた王家の方々から、恥知らず!とか裏切り者!とか聞こえてきた。

知りませんなと鼻で笑ったあと、懐から取り出したべとべとスライム鉄砲を放って阿鼻叫喚を生み出していたら、魔王さんに、「いいぞ、我はこういうアホが大好きだ」と言って撫でてもらった。

うん、ちゃんと褒めてもらえるだけやっぱ魔界の方10000倍いいじゃんとなってたり。へへ、ほっぺが緩みます。



「では行こうか、……あー、フ、フ…」


「レナード様、この人間はフランカ・ルデアです」


「おおう長いな!?全く、人間ってのは無駄に名字をつけたがるもんだ。よおし、お前は今日からフランだ、いいな!」


「分かりました魔王レナード様!で、どうやって魔界に行くんで」


「…ちょっと、あまり動かないでください。風圧で四肢がもげても知りませんよ」


「え」



瞬間、王宮の屋根をぶち破って、青く煌めく鱗を持った大きな竜が飛び込んできた。世界で一番大きいと言われる王宮に負けず劣らずのサイズに、貴族さんたちが泡を吹いて倒れこんでしまう。今まで散々馬鹿にされてきたのでちょっとすっきり。ふはは!どうだ見たかー!何もしてないけどなー!!


布団を作ったら15人は安眠できそうな広さの羽が動く度、風圧で風耐性を持たない兵士が飛んでいって、ああ、かっこいい…!


しかも、あの大きさ、鱗の煌めき、伝承通りのあの姿は…!



「ドラゴン…!!」


「おお見たかシロウ、こいつにびびらなかった奴は久しぶりだ。ノルも喜んでいる」


「…レナード様、この人誰が結界張って守ってやってんだと思ってるんですかね。めちゃくちゃ目を輝かせてジタバタしてくるんですが」


「ハハハ!可愛いものじゃないか。我は星界がこういう人間だけならもっと仲良く出来ると思うんだがなあ。…さて、星界の奴らの馬鹿ヅラも拝んだことだし、良い拾い物もしたことだし!帰るとしようか。ではな、王宮の人間共!また」



戦場で。



ニタリと、その笑みは余りにも悪魔的で、魔王的で、今ので王家の騎士様(笑)が気を失っていた。


ちょっとスカッとしながら、三白眼さんに手伝ってもらいながら初めて乗せてもらったドラゴンの背中。

ふむ、ちょっと硬いけど、とても安定した乗り心地…。

よろしくお願いしますと撫でてみたら地面を揺らすような声が聞こえた。…よ、喜んでいるとしよう!うん!


私は既に王宮なんかどうでもいい、と。魔界にだけ意識が行っていて。

ぶわりとドラゴンが空に舞い上がった時、私は思い出したようにこう叫んだ。眼下には、今まで私の脳みそを頼りにするばっかりで麦1粒分も褒めてくれなかった王子様達や騎士様、何故か目の敵にされていたお姫様が青ざめていて。



「私フランカ・ルデア!星界の悪いところを魔界から滅ぼすんでー!!よろしくお願いしまーす!!」


ああ、皆の顔が面白い!




**

残された王宮では、悲鳴があちらこちらからあがっていた。

壊れた天井、倒れている兵士、混乱する王家の者達。

突如とした魔王の襲来、宣言。ルデア家の「脳」が星界から持ち出されたこと。全てが星界王家以来初のことであった。


国王は、ひとり玉座で青ざめてこう言ったと言う。



「…ッ、なんたることか、なんたることか!!まさか、閃きのルデア家と魔王が手を組むなど…!!このままでは星界が滅んでしまう…!」



これは、私フランカ・ルデアと魔王さんと愉快な仲間達で、いっぺん腐りきった星界のお偉いさん方を綺麗にするお話だ。

モットー?「善人にはパンを、悪人にはグーパンを」です!

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