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似たもの夫婦

作者: てこ/ひかり

 「貴方達、何だか最近似てきたわね」


 夕方の散歩道、前を歩いていたお婆ちゃんにそんなことを言われた。隣にいた夫は「そうですか?」とでも言いたげに首を傾げてはいたが、その顔にはまんざらでもない笑みが浮かんでいた。その仕草に私もつい嬉しくなって笑みをこぼした。その日は二人手をつないで帰った。


 

 似たもの夫婦という言葉がある。


 確かに長い間一緒にいると、お互い似てくるのかもしれない。

 何気ない仕草であったり、口癖、趣味、食べ物の好みなど、良くも悪くも影響されてしまうものなのだろうか。そういえば出会った頃の彼はミステリドラマには全く興味無かったし、甘いものよりも塩辛いものが好きだった。今では私に付き合って「あの事件の犯人はきっと誰々だ」なんてよく議論している。たまの休みには一緒にスイーツを食べにお出かけしてくれるようにもなった。

 もちろん、彼が私に似てきたというなら、きっと私だってそうなのだろう。



 「ごはんだよー」


 私は、走ってきた彼に皿いっぱいのドッグフードを置いてあげた。テーブルの下で勢い良く食べ始める彼を、私は尻尾を振りながらしばらく見つめていた。彼曰く、いくら人間の姿に近づいたとはいえ、やはり家では四足歩行の方が落ち着くのだそうだ。

 

 このまま私も彼に似てきたら、いつか四足歩行になっちゃうのかな。夕食の後、最近生えてきた彼とお揃いの耳を撫でてもらいながら、私は試しに「わん」と鳴いてみた。


 

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