表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

序章 はじめましてと驚き

全体的にゆる〜い物語です。

主人公最強ではありません。

アジアンだったりエスニックっぽい世界をなんとなく勢いだけで書いてみました。

楽しんで頂ければ幸いです。

 気付いたら、真っ白な空間にいた。


「はい?」


  上も下も、地平の先も、見渡す限りが白い、現実には到底あり得ない景色。しかも、足場がないのだ。水の中にいる様な感じだ。俺、浮遊している。


「夢、かな?」


  じゃなきゃおかしい。場所もおかしいが、それ以上に俺自身がおかしい。

  俺は至って普通の人間だ。間違っても空中浮遊なんて人外じみた技、行使出来ない。


「いや、夢ではないぞ?」


  そんな俺の独り言に、穏和そうな老人の声が否定する。

  慌てて声の主を探すが、見つからない。


  キィーー…


  軋む様な音が背後から聞こえてきたので振り向けば、何もなかった筈の白いだけの空間に、突如として木製の扉が現れた。洋風の扉ではなく、古民家などでよく見かけるような引き戸だ。


  俺は少し躊躇ったが、ここに居てもどうしようもなさそうだし、何より変わった夢だと思い、思い切ってその扉に手をかけた。と言っても、開ける時はやはり緊張してゆっくり開けたが。


「おう、ここじゃよ。ほれ、こっちに来なさい」


  中に入ると、畳の良い匂いがした。それから、煎餅の香ばしい香りも。


  そこは六畳くらいの大きさの和室になっており、先ほど声をかけてくれたのは七十半ばか、それ以上の歳をしたであろう爺さんだった。灰色と黒を基調とした、ゆったりとした和服に身をつつんでおり、部屋の中央にあるちゃぶ台の側で腰掛けていた。

  壁は淡い黄土色の土壁で、部屋に渡された梁はどっしりとしており、正面にある床の間には網カゴ風の花瓶に白を基調とした花々が存在を主張過ぎることもなく、控えめな装いで活けられていた。

  俺から見て右手側が縁側に続いているのか、壁一面に障子戸があり、左手側は丸い形をした格子窓があった。小春日和の柔らかな日差しが、丸い格子窓を通して部屋に入る。


「えっと、お邪魔します?」


  いきなり和室に繋がってるとは思わず、困惑気味になる。俺、靴履いたままだよな? やっぱり、入るならちゃんと脱がないとなダメだよな?


「はは、何、そのまま入ってくれて構わんよ」


  そう言って、爺さんはこちらへ、と柔和な表情で手招きする。神は真っ白で髭も長い。水墨画で描かれている仙人を思わせるような風貌だ。


  とりあえず、あまり爺さんを待たせても悪いので、促されるまま爺さんの元へ。靴も一応脱ごうと思って足元を見れば、いつの間にか素足だった。白い空間にいた時は履いてたよな? 脱いだ記憶はないのだが、考えても仕方ないだろう。


「はじめまして、三嶋綱紀みしま こうき君だね?」


  確認する爺さんの言葉に、「はい」と頷く。


「折角来たのじゃし、まぁ、お茶でも飲みなさい」


  そう言って温かいお茶と、お茶受けのおかきなどを用意してくれた。ありがたく受け取る俺を見ながら、爺さんは話を続ける。この時点で綱紀が入ってきた引き戸は消えていたが、綱紀は気づいていない。


「まず、君には先に言っておかねばならない。

  三嶋君、君は既に死んでいる」


  いきなりのセリフに思わずお茶を吹いてしまった。人様から出されたお茶を吹き出すなんて行儀が悪いと思うだろうが、この場合不可効力だ。言葉も出ない俺を余所に、爺さんは更に続ける。


「更にな、キリ番を踏んでいるから異世界にオプション付きで転生可能じゃ」


「はぁあ!?」


  驚きのあまり思わず立ち上がりかけ、ちゃぶ台の上のお茶受けや急須をひっくり返してしまった。更に自分の声とは思えないようなけったいな声まであげてしまった。


「まぁ、ちゃんと説明するから落ち着きなさい」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ