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ぷろろーぐ
赤い。
取り合えず、赤い。
ぼくの自慢の白地のコンバースがもはや、黒地と言ってもいい程に染まる程度には。
床上浸水と言われてもいい位にビショビショな程度には。
赤く濡れてる。
古めかしい廃ビルの一室。
ぼく以外にもう一人。
部屋を赤くした張本人。
白い大きめのTシャツに裸足。髪の毛は最早ネタとしか言い様のないほど鮮やかなグリーン。
眉毛も睫毛もグリーンなものだから、違和感は通常運転中だ。
「あひひひひひひふひ。与四郎クン。貴様は人を殺したことがあるかえ?」
自前らしい真っ赤な瞳をギョロリと床
からぼくに向けて言った。
姿は異常であれば、彼女は顔つきも異常だ。
人形のように美しい。
目を向けられたぼくはぞっとした。
ぼくに向けられた運命は、二つ。
今ここであっけなく死ぬか、
今ここであっけなく殺されるか、
まぁ、なにをしてもぼくは死なないのだけれど。