第1話「収穫祭(フェスト)」
プロローグで力尽きた作者です。
もうちょっとがんばります!
ここはインハルテ領。その中でも都市を遠く離れた小さな人間の農村。
その日の村は活気に溢れていた。
収穫祭。
作物の無事の収穫を精霊様に感謝を捧げる日。
そして僕ことウィルフレド=ズィーベンの誕生日でもある。
ズィーベンの名は人間の貴族の一家だ。
最初に生み出された人間を祖に強く力を引いた家系。
アインツ、ツヴァイ、ドライ、フィア、アハト、ノイン、ズィーベン、ツヴァンティッヒ。
元は10貴族だったらしいが、国の衝突や災害、後継者の死去により消えていったそうだ。
今日は朝早くから家族-うちは両親と兄、妹の5人家族だ-で収穫祭の準備をしていた。
貴族とはいっても昔の話。うちはとっくに落ちぶれ今となっては人口50人にも満たない小さな村が2.3ある首都から遠く離れた田舎の弱小領主だ。
僕のことなんかおいておいて話を戻そう。
この村では収穫祭といってもそれほど盛大に行う訳ではない。
広場に集まって、村総出で食べ物や酒を持ち寄って精霊様に感謝をささげる。
子供の僕たちにしたらちょっと豪華な食事ができる村のパーティー。
母さんなんかは、「用は・・・村を挙げての飲み会」と毎年めんどくさがってる。
不信心ではあるけど・・・うん、村の女の人は総出で料理の準備があるもんね。しかたないね。
都市のほうでは、近くの村もすべて集まって収穫祭を祝うとか。
そうそう、こんな小さな村だから、僕の誕生日なんかも村総出で祝ってくれる。
・・・・・・・・。
うん、収穫祭で酔っ払ったみんなに弄くられるだけなんだけど。
去年は村の酔っ払いオヤジ集団全員から頬ずりされたなあ。
うん、やめておこう。心の毒だ。
まあ・・・普通のプレゼントだってもらえるんだけどね。
今年は飲んでる集団には近づかないでおこう。
好意なのは分かるけど・・・ね。僕、こう見えてナイーブなんだ。
気付けば日も暮れ、収穫祭も終わりを迎えようとしたとき
カーン、カーーン、カーーーン
と、非常事態を告げる鐘が鳴る。
一瞬で広場に緊張が走るのが分かる。
「ねえ、父さん・・・何があったの?」
僕は恐怖に駆られ父にすがり付く。
「大丈夫だよウィル。小さな村だけど、ここの守りは堅いからね。魔物や、ちょっとした盗賊くらいならなんとかなる・・・か・・・ら」
と、そこで父の声が途切れる。
すでに広場まで敵が侵入していたのだから。
それも、魔物でも盗賊でもない、組織的な動きをする何かが。
鐘の音が鳴ってすぐに広場は血に濡れた全身鎧の騎士達に囲まれていたんだから。
「バカな!?収穫祭ではあったが村には警備を十分に置いていたんだぞ。」
すると騎士たちの後ろから男が進み出てニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべ語りかける。
「これが堕落しきったインハルテと我々帝国の勇士との差ですよ」
男は笑いながらこちらに向けて何かを放り投げる。
「ひっ」
周りからか細い悲鳴が聞こえる。
僕が男の投げたものに目を向けると・・・そこには村の守備隊の隊長だった男の首があった。
「あ・・・、ああ・・・」
僕は先ほどから震えが止まらない。
しかし、それ以上に何も声をかけてくれない父に縋るように・・・。
見上げた先に父の首はなかった。
後ろからケラケラと甲高い笑い声が聞こえる。
恐る恐ると後ろを向くとそこには
「お探しのものはこちらかな~。落ちこぼれのズィーベン家のお坊ちゃん。くっ、くくく、ははははははははは」
堪えられなくなったとばかりに高らかに笑う。
彼の手には何かがある。何か。先ほどまで僕に笑いかけていた父の絶望に染まった表情の頭が。
「あ・・・、はは。はははは。ははははははははは」
「くっ・・・くくく。ははは。ヒャハハハハハハハ」
僕は壊れた人形のように涙を流しながら笑い、彼はそれを楽しむかのように高らかに笑う。
そして彼は告げる。
「さて皆さん、今日からこの村は私、帝国の人体強化実験場と成ります。抵抗したい方は頑張って下さい。ただし・・・簡単には死なせてあげませんけどね。ヒヒ・・・ヒャハハハハハハ。」
圧倒的だった。魔法を使おうとするものはその詠唱を終える前に首が飛ばされた。
詠唱の時間を稼ごうにも今の彼らは武器がない。
持っていても守り刀であり、力の差は定かであった。
その日、インハルテの端にある小さな村が地図から消えた。
名前がヒドい・・・だって?
思いつかなかったんですorz




