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タイトル未定  作者: ケロい人
世界放浪編
13/13

第2話

ノ「そろそろ作者のストックがピンチだという情報を掴んだぞ」

ア「一人でもこんな駄作を読んでくれる読者様がいるんです。寝る間も惜しんでがんばれ!」

ノ「いる・・・のか?」

ヴァ「寒くなってきました。みなさん健康には気をつけてくださいね」

「ん、ん・・・」

僕が目を覚ましたのは夕日が今にも沈もうとしている頃だった。

つい先ほど(?)まで感じていた喉の渇きはだいぶマシになっていた。

くしゅんっ!

ちょっと寒い。

あれだけ動いて汗をかいた後にこんな野ざらしの場所で寝てたのなら身体が冷え切ってしまうのも当然か。

ん?

動いた?

そんな激しい運動をした覚えは・・・ないよね?

あ~、でも結構歩き回っていたような気がする。

どうだったっけ・・・思い出せない。

そういえば最後に誰か・・・人を見たような。

辺りを見回すと何かが落ちているのに気付く。

ずいぶん痛んでいるナイフが数本。

それに・・・血?まだ乾ききっていないのを見ると少なくとも昨日のものと言う事は無いだろう。

あれ・・・なんでそんなこと分かるんだ?

ん?そのまま流しちゃっていたけどなんでこんなところに?

そもそもここどこ?

ってそんなこと考えてる場合じゃない。

ここは安全じゃあないみたいだし・・・っと、念のためにナイフを一本だけもらっていく。

「何も無いよりはいいよね?こんなところじゃ何があってもおかしくないんだし」

少し歩くと、荷馬車が目に付いた。

あ・・・あれは毎月うちの村に行商にきていた商人さんの馬だ。

無駄に目立つ黄色いベアの刺繍が見え、核心を持つ。

そもそもこの辺りに来る馬車なんて数えるほどしかないんだし間違いないだろう。

もしかすると帰り・・・なのかな?

いつの間に来てたんだろう。

そういえばうちの収穫祭にあわせて商売にくるって言ってたっけ。

ウチみたいな娯楽の少ない田舎だとこう言うイベント事ではみんなつい財布の紐が緩むからね。

そんなことを考えている間にもうそこまで近づいていた。

「すいませ~ん、村まで・・・はおこがましいか。今晩だけでもご一緒させて」

って誰もいない。

そういえばさっきの血痕・・・まさか盗賊に襲われた?

この辺りに盗賊なんているはず、いや後にしよう。

盗賊に襲われたんだとしたら荷馬車に手をつけないはずが無い。

商隊のみんなが見当たらないってことは・・・つまりそういうことだろう。

なら・・・どこかに潜んでいる?

見張りも置かずに?

不自然なことが多すぎる。

と、視界で何かが動いたのが見えた。

っ!!??

僕は先ほどのナイフをそちらに向ける。

「ひっ」

か細い悲鳴が聞こえる。

女の子・・・それも

「子供?」

目を凝らすとそこには縮こまり身を震わせる小さな女の子の姿があった。

おかしいな・・・この商隊にこんな小さな女の子いたっけ?

娘さんもそれなりに大きくなってきた・・・とは言っていたけどまだ3歳にも満たないから行商の際はまだ町で留守番してるって言ってたような。

そんなことより初対面で悲鳴を上げられるなんて・・・ショックだ。

もしかして盗賊の仲間と勘違いされてる?

「あっ、僕は・・・」

誤解を解こうと少女に手を伸ばす。

「静かにしてますから。こっちに・・・こっちに来ないで!」

少女は悲鳴を上げ拒絶を示す。

よほど酷い目にあったんだろうか。

でもこんな小さな子供が盗賊に襲われたのなら・・・これくらい怯えていても当然か。

「また明日、明るくなってからもう一度来るから。そのとき落ち着いてお話しようか」

なるべく優しい声で言う。

僕の言葉は彼女の耳に届いただろうか。

でももう暗いことだし明日にしよう。

明るくなってからならもう少しまともに話が出来るかもしれない。

僕は荷馬車から降りるべく回れ右する。

すると馬車の出入り口の陰、丁度入り口からは死角になっていた辺りにまとめられた荷物の中に全身を覆えるほどのサイズのローブを見つける。

悪いとは思いながらも僕はそれを借りることにす。

驚いたことに大きさはほぼぴったりだった。

その後僕は馬車のすぐ近くで火を起こし睡魔と闘う長い一夜を過ごすことになるのだった。



翌朝、太陽がのぼり明るくなってきた頃僕は行動を開始する。

大それた事をするわけじゃない。

お腹が減った。

それだけだ。

例の少女とも話をしないといけないけど、まずはご飯だよね。

彼女もまだ何も食べてないはずだし。

僕は朝食の準備に取り掛かった。

といっても食材は荷馬車から拝借したい、こんなところじゃ作れるものも限られている。

見つけたパンとハムを熱して挟んだだけだ。


僕が彼女の元に向かうとすでに彼女は目を覚ましていて、今は僕を警戒するように見ている。

昨日は暗くて気付かなかったが、彼女はまだ10にも満たない子供といったところだろう。

左右に分けた黒い髪と青い瞳特徴的だ。

後5年もすれば多くを虜にする立派な女性レディになるに違いない。

苦笑しながらも僕は彼女の分の食事を差し出し、自分のものに手をつける。

しかし、彼女は手をつけようとしない。

いきなり現れた見ず知らずの男のだしてきた食事にそうそう手を出さないか。

小さいのになかなかしっかりしている。

僕はどうしたものかと悩んでいるとーーぐぅ~ーーっとお腹のなる音が聞こえた。

彼女に目を向けると顔を少し赤くして俯いている。

「はははっ、何も変なものは入ってないから安心してほしいな。僕は君と少しお話がしたいだけだしね」

彼女はこちらを覗うように見つめてくる。

あっ、そうか。

僕はいま全身を隠すようローブを羽織っている。

怪しさ全快だよね。

僕はローブのフードになっている部分を外し、彼女に顔が見えるようにする。

昨晩の間に顔も洗っているし強面ってわけでもないし・・・すこしでも警戒を解いてくれればいいんだけど。

「大丈夫だから・・・ね?」

彼女は尚も固い表情のままも、食事を口にする。

彼女が食事を追える頃を見計らって僕は話を始める。

「僕の名前はウィル。君は?」

まずは自己紹介からだ。円滑なコミュニケーションには自己紹介が必須だ。そうだよね?

「・・・・・エリー・・・・・です」

耳を澄ましてなんとか聞き取れるってくらいの小さな声で彼女は答える。

「そっか、エリーちゃんって言うのか。えっと・・・辛い所悪いんだけど何があったか話してくれないかな。僕は昨日この荷馬車を見つけたばかりで何が何だか分からないんだ」

彼女は僕を、僕の心を見透かすかのように見つめ続ける。

ちょっと気まずいけど・・・目をそらすのはマズいよね。

すこしして、彼女は話し始める。

それは拙いながらも丁寧な説明で

「・・・・・・・・・・・・・・・。

そっか、そんなことが・・・。大変だったんだね」

僕は彼女の頭をなるべく優しく撫でる。

彼女は一度大きくびくっと震えたものの僕の手振り払うことは無かった。

僕は彼女を撫でながら今聞いたことを考えを巡らせる。

なんでも彼女は新しくこの商隊に参加した一家だそうで、行商先の村に着いたはいいが村は何かに荒らされた後で、報告のため急ぎ町に帰るところだったそうだ。

そこを運悪く盗賊団に襲われ一網打尽。動揺していた護衛も隙を疲れてみんな殺されてしまい、商隊は放り出され、彼女だけ連れ去られてきたのだとか。盗賊団は僕が顔を出した日の朝姿を見せただけでそれ以降ばったりだったとのこと。

その場で商隊が皆殺しにされなかったのは・・・魔物の目をそちらに向けるためか。

そして、一番高く売れそうなーー幼い奴隷はその筋では高値で取引されているらしいーー彼女だけを攫ってきた。

盗賊団の姿が見えないのは・・・僕が目覚めたときに見たあれかな。

仲間割れでもあったのか、それとも魔物に襲われたのか。

それにしても行商隊に参加したばかりでその先が無くなっていて、その上盗賊に襲われるなんて・・・酷い話だ。

・・・・・・・・・・・・・・。

ん?

村が荒らされていた?

なにか、何か大切なことを忘れている気がする。

喉元まで出ているのに後一歩が思い出せない。

嫌な予感がする。

一度村に急いで帰ったほうが良いきがする。

「エリーちゃん、僕は一度僕の村に帰ろうと思う。そこまで僕を一緒させてもらえないかな。村に着いたら、父さんたちに相談してエリーちゃんを元の村に、この商隊さん達の元に送り届けてもらえるよう頼んでみるよ。ここで何もしないよりは何倍も良いと思うんだけどどうかな?」

僕は彼女に話を持ちかける。こんな場所に一人放っておくことなんて出来ないし・・・村まで結構距離がありそうだから僕も助かる。

僕の提案にすこし悩む素振りを見せるも彼女はうなずく。

すこしして、僕達は村を目指して荷馬車を進めるのだった。

エリーちゃんは強い子!

こんなことがあっても生きる意思を捨てません。

子供でここまで強い意志をもっているなんてすごいことですね。

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