番外編「I(アイ)」
以前でてきた機械強化実験を受けたノイラートに付き従う少女I。
その雑すぎたの設定を保管するストーリーです。
編集に5時間近くかかったよ。
疲れた。。。
私の名前はI。
帝国の機械強化兵であり、ノイラート様のお世話を命じられた彼直属の駒。
私が私として生まれたのはつい数日前。
生まれて間もない私がノイラート様の、それも直属だなんてこの身に余る名誉なことだ。
なんでも今回の作戦において出来た兵で、ノイラート様が気に入ったものがあれば、一体だけノイラート様のものとして国に認められるのだとか。
なかでも私は特別らしく、魔器を埋め込まれてなおマナを扱えたためにノイラート様に見初められたそうだ。
この条件があったからこそ今回の作戦に参加したとノイラート様からは覗っている。
さて、数日前に生まれたばかりの私がなぜ帝国についてこれだけ詳しいのか少しだけ話しておこうと思う。
私達機械化強化兵は、生まれたときからある程度の知識を持っている。
なんでもすぐにでも戦えるように、ある程度の情報は埋め込む電子頭脳に最初から刻まれているらしい。
この電子頭脳と言うのは絶大な力を持つ機械強化兵をコントロールするための、言わば首輪だ。
少しでも命令に逆らえばこの電子頭脳が脳を焼き切るのだとか。
電子頭脳は埋め込んだ人間の脳を刻まれた情報通り上書きし、特定の記憶を持つ兵に作り変える。
また、その際にその身体のもつリミッターなどもすべて外してしまうらしい。
つまり、電子頭脳を埋め込むだけで超人が出来上がりってわけ。
でもリミッターが外れた状態で全力を出したら、力に耐え切れずにすぐに身体が崩壊になる。
そこで生まれたのがこの機械強化。肉体を機械に作り変えることで生身では耐えることの出来ない負荷に耐える強靭な身体を得ることができる。
動力には魔器と呼ばれる帝国の最新の武器が使われている。
これは固体によって異なるけど、私達はそれにより生きているし、その力をある程度扱える。
っと、少し脱線したかな。
とにかくこの電子頭脳のおかげで私達は生まれながらにある程度の知識を持っている。
中でも私は、ノイラート様の直属と言うことで目覚めてすぐに追加で情報を刻まれた。
そして今日、この数日間戦闘訓練を受け続けていた私に新しい任務が与えられた。
今回の実験で生まれた種族こそ違えど私の兄弟となり得る者たちの世話である。
私が任せられたのは、ノイラート様が期待を寄せる二人。
一人は、合成獣として数多くの細胞を移植されているのに未だに人間であり続ける少年。
もう一人は電子頭脳の上書きに抵抗し続ける少年。電子頭脳の上書きに耐える例は今まで無かったらしく貴重なサンプルなのだとか。
まあ、管理といっても一日二回、彼らに食事を運び生死と肉体の変化を確認するだけなのだけど。
私が彼らの担当について数日がたった頃、合成獣の少年のほうに変化があった。
今まで人間だった身体のいたるところに変化が現れだしたのだ。
小さな角が生え、背中の辺りにコウモリのような翼ができていた。さらに身体の一部に鱗のようなものが出ている。口元には牙だって見え隠れしていた。
急ぎ報告を行うと、すぐにノイラート様に一部の騎士の立会いの元、彼の調査が行われることになった。
彼は研究室に運び込む間にもその身体を急激に変化させていて、すでに人間とは遠く離れた姿に身を落としていた。
そして実験室に着き、調査も終わりを迎えようとした頃、彼は急に暴れだしたのだ。
騎士たちが押さえつけようとするもそれを簡単に振りのける。
研究者たちの話を聞いていた限りだと、なんでも今まで与えてきた魔物の細胞が今になって急に活発化し、今までの合成獣とは比べ物にならない力を持ちつつあるのだとか。
と、騎士を振りのけた合成獣はあろうことかノイラート様に襲いかかろうと飛び掛ってくる。
「I、お前の実力一度見ておこう」
私はノイラート様の許可が聞こえると同時に躊躇も手加減もなく合成獣の腹をこの腕で貫き、地面に叩きつける。
「この程度直に回復するだろう。牢に戻しておけ」
そう言い残しノイラート様はその場を後にした。
合成獣の暴走の翌日には、すでに合成獣たる少年の傷はだいぶ塞がっていた。
残っているのは体中の小さな傷と、私のあけた腹部の穴。それもたった一日で半分近くまでその大きさを縮めている。
驚くべきは、その力より再生能力ってことかしら。
それよりも今日はもう一人の少年に複数の処置を施す複合強化実験を行うらしい。今日も昨日と同じで、ノイラート様、騎士様を交えて行われるらしい。
左腕を除くの全身に機械強化を施し肉体の強度を上げ、その左腕には魔物の、いや、先日の合成獣の細胞を移植。合成獣の細胞が安定する前に、魔血を一滴。
その後別室に拘束し、様子を観察する。
結果だけを言うと、合成獣の細胞が魔血を取り込むという衝撃の結果に終わった。
一滴だけだったとはいえ魔血が取り込まれた。
その事実は長年携わってきた研究者たちにさえ強い衝撃を与える異例の結果だったのだから。
急ぎ彼の血を採取し調べるとさらに一つの事実が分かった。
機械強化で区切ったはずの左腕の合成獣細胞が全身を侵食していたのだ。
その強過ぎる細胞は彼を形作る境界線をも崩そうとしている。
彼は持ってあと10日。
それも戦闘に参加せずここに引きこもっていてだ。
戦闘に参加して、身体に不可をかけ続けようものならすぐに限界を迎え、その身を文字通り無くしてしまうだろう。
それゆえ、実験としては最高傑作、しかし戦闘に参加できない使えない欠品として欠作と呼ばれることになった。
この翌日、彼は自身に移植された細胞の持ち主たる合成獣の少年を殺そうとし、隔離される事となる。
そして、私の担当する二人の少年の処置が終了したとして次なる命令を与えられる。
現在ノイラート様のいらっしゃるこの村への侵入者の警戒。
なんでも近いうちに獣人が襲撃を掛けてくる可能性が高いのだとか。
もしかしたらもっと面白いものさえ・・・と焦がれるように笑っていた事が印象的だった。
あの方も何かに焦がれたりするんだ。
私はノイラート様に選んでいただいたのだ、期待を裏切らないよう全力を尽くそう。
目を閉じ自身の契約精霊である風の中級精霊と感覚を同調させる。
彼女を見つめる精霊の物悲しい瞳に気付くことなく。
それから数日がたち、私の警戒網に何かがかかる。獣人だ。数は、15・・・16・・・17、全部で20。
それとまだ確認は出来ないけど、私のこちらに向かってすごい速さで近づく強い存在感を感じる。
マナが大きいわけでも、別の力に干渉されているでも無いと言うのに空気が震えている。
これがノイラート様の仰られていた面白いもの、竜だろう。
私はそれを伝えるため急ぎ主人の元へ向かうのだった。
私は今、自分の愚かさに猛省している。
報告を急ぐあまりノイラート様の部屋に入り、あまつさえ会話の邪魔をしてしまった。
「申し訳ありません」
主人の邪魔をするなど言語道断。
不良品として破棄されても文句は言えない。
死を覚悟する私にノイラート様はお叱り一つでお許しくださった。
続いて報告を促される。
私は侵入者が近づいていることをお伝えする。
するとノイラート様は少し考える素振りを見せ、私に命令する。
「お前は騎士団に付き獣人の相手をしろ。可能であれば捕獲しておけ。最悪死体でもかまわん。捕まえ次第戻って来い。俺は調停者かもしれない者に興味がある。では行け」
私はノイラート様に顔を向けるとその意図を理解する。
名誉挽回のチャンスを与えられているのだと。
私は自分のミスを取り返すべく、全力を持って戦いに赴くのだった。
読み直してて思った。
これ・・・本編に普通に埋め込めたんじゃない?
そんなこと言ったってもう遅い;;
もっと全体を把握してストーリーを作れていたら番外編なんてなかった!!
精進しますorz