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人工衛星Ⅰ
ある日、星の上に「未知の光点」が現れた。
それは恒星でも流星でもなく、観測装置のすべてに同じ周期で信号を返した。
やがて、複数の光点が地球外の軌道を描くように並び、
学者たちは即座に気づいた。──これは“衛星”だ、と。
重力、慣性、反射波の特性-------
どの観測値をとっても、それは明らかに「人間の造ったもの」だった。
しかしこの惑星の歴史には、宇宙進出の記録など存在しない。
工学も通信も、最新の技術をもってしてもまだ大気圏の外を知らないのだ。
夜になると、光点は空を横切り、数秒おきにまたたいた。
地上の研究者は、その信号が何かを“測っている”と推定した。
だが、何を基準に、誰のために。
解析不能なデータが毎夜届き、理論だけが積み重ねられていった。
高空のさらに上、肉眼では届かぬところで、
異世界から転移してきた人工衛星群が、正確に周回を続ける。
まるでこの星を、いつかの地球のように監視し、観測しているかのように。
科学者たちはつぶやいた。いや考えた。──
「宇宙のどこかで、私たちは既に観測されていたのかもしれない」
生き物たちだけいや人が、理由のない不安に震えていた。




