表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

記号(その物)case.x

記号がとある世界に転移した。

それは、意味の構造そのものだった。


ある朝、名もなきの世界に、

名も形も持たない「しるし」たちが漂いはじめた。

彼らの世界には、言葉も文字も存在していたが、

それらはあくまで“物事や概念を表すための道具”として穏やかに使われていた。


だが、転移してきた記号は違った。

それは何かを指し示すためではなく、

指し示すという行為そのものを拡張しようとした。

記号は、言葉と同様に意味を孕むよりも前に、

世界を“認識する”という行為の形式を塗り替えてしまった。


次第に、人々は見えるものすべてに

「何かを意味するかもしれない」という感覚を抱くようになった。

街路の形、波の動き、沈黙の間合い。

すべてが“何かの記号”でできているように思えた。


しかし、それを解読することは誰にもできなかった。

解釈の可能性ばかりが増殖し、

真の理解は遠のいていった。

解釈を求めることが、もはや宗教にも似た儀式となり、

世界は「読まれすぎること」によって、かえって沈黙した。


最後に残ったのは、

“読む”ことの形式だけだった。

そして意味は消え、ただ構造だけが残ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ