02話 話し合い
ちょっと早く着きすぎたかな…
時刻は八時六分。洸介の家から学校まで徒歩五分以内につくので遅刻はほぼない。逆に出る時間が速すぎると今の洸介のように時間を持て余して暇になってしまう。
こういうところもスマホでゲームしかできないのでつまらないと思っている。自分が悪いだけなのに。
「おっはよーこーちゃん」
「おはよ、しょーちゃん」
2ーDの教室に祥平が入って来た。やっと退屈が終わった洸介は少しテンションが上がった。
入って来て早速自分の机にバッグを置いて洸介のところにやって来た。一つ前の机から椅子を持ってきて洸介の机に向いて座った。
「昨日の話しようよ」
「夏休みはやっぱり楽しい事したいよな」
「だ・か・ら!僕は考えたわけ」
今日はなんだか自信満々の様子だ。いつもは少し適当な部分もあるのだが、今日は少し違う。なんでそんなに声がデカいんだとか思っていると祥平が口を開いた。
「なあ、夜の学校に行ってみない!?」
洸介はその言葉に目を大きくガン開いた。少し眠かったが、そんなの関係なく目が強制的に覚めてしまった。
「…いいね。そういうの待ってたよ」
「やっぱり!こういうこと好きだよな~こーちゃん」
今更だが、洸介は祥平のことを「こーちゃん」と、祥平は洸介のことを「しょーちゃん」と昔から呼んでいる。小学生からこの呼び方だった。それくらい昔から仲が良くお互いの好みも大体知っている。
「これ思いついたときめっちゃ脳汁出たわぁ」
「最高だよ本当に。どういう感じに行くの?」
「深夜零時から朝方六時まで探検だよ!学校の秘密という秘密を探しまくる!!」
何故だろう、今日の親友の口から出る言葉は全て面白そうに聞こえてくる。
今日は祥平は気分がノっている。故に面白い事が無限に思い浮かんでしまうのだ。洸介は祥平の案をとても気に入って、すぐ承諾した。
「君たち、それは良くないよ」
「ゲ…ミント会長…………」
「『ゲ』とは何だ『ゲ』とは」
後ろから声が聞こえてきた。振り返るとこの高校の生徒会長である福瀬民都だ。彼は成績優秀で頭の良さなら彼を超える者はいない、なんなら先生より頭がいいと言われているくらいの人だ。
生徒会長であるので、こういう話は聞いたらすぐやめろと忠告しなければいけない立場である。よって洸介と祥平は今さっき民都の標的に入ってしまった。このままずっと狙われるようになってしまったのだ。絶対的危機に陥ってしまった。
ここで面倒くさい奴に絡まれた…
うわーー最悪だよぉ折角のプランが………………
「…まあ、流石に入れないとは思うけどね」
「え、なんで?」
「夏休み中は夜の九時から全体に鍵がかかって入れないようになってる」
「…そうなのかよ……………」
二人は残念なお知らせを聞いてテンションが一気に下がった。生徒会長に目をつけられたらしばらく目を離してくれないので少しの校則違反も見逃してもらえなくなってしまうからだ。
もちろん見つかったら先生に情報が回るので退学に近づいてしまう。
二人は安静にやめることを考えた。
「でも、楽しそうだから止めはしないよ」
「…え、何故にWhy?」
「私も、青春は楽しみたいものだからな」
民都は二人の気持ちを理解してやるならなるべくバレないようにと言った。それを聞いた二人は目を輝かせて民都に土下座をして感謝を示した。
「ありがとうございます!」
「まじでありがとう!」
「いやいや、本当は良くないんだけどね…………………
特別に、だよ」
民都は少し声色を変えて言った。