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第1話 月下惨事

 『封印完了。』

遥か昔。


一人の悪魔が一人の魔帝と戦って封印された。

その悪魔はこう言った。


「君は、勘違いをしている。だから、いつか痛い目を見る。」


と。これに対し、魔帝は


「信憑性もないことを。」


と言った。


そして、現在。


魔帝は追い詰められていた。


5千年以上生きてきて一番の危機である。


そして悪魔はというと・・・

 自分、月下第2分隊隊長ロッキーは最近、困っていることがある。

それは、何かというと・・・


 「おっはよー!」


・・・少女が毎朝、大声で自分の部屋に入ってくるんですよね・・・

えっ?何?羨ましいって?

いやいや、そりゃ確かにうれし・・・

って違う違う!

考えてみてよ?毎朝、自分の部屋に女子が入ってくるんだよ?

あっでも抱き着いてくるからいっか・・・じゃなくて!

君たちはこの子が何者なのか知らないからいいけどさ?

この子って、まー・・あれなんだけどさ?

 「ロッキー、なんで元気ないの?もしかして・・・」

そう!察してくれ!君が来てるから元気ないんだ!

頼む!察して明日から来ないでくれ・・・

 「風邪?」

 『・・・』

・・・ですよね。知ってました。

しょーがない。直接言うしかないか。

 「あのな。カベルネ、俺は朝は限界まで寝ていたいタイプなんだ。

だから、こうやって君が毎朝起こしに来ると、そりゃ体調も悪く・・」


目の前を見ると、カベルネが今にも泣きだしそうな顔になってる。

 「わ、私のことが嫌いですか?」

 「い、いやっ?そんなことないし、むしろ好き・・」

 「本当ですかっ?!」


あーあ。言っちゃたよ・・今日も。

一体どうすればいいんだか・・

いや、でも実際すんごい可愛いし・・///


 おっと言うのを忘れていた。

彼女の名前は、カベルネ。自分の第2分隊の参謀だ。


というか、彼女と会ったのも1週間前ぐらいなんだが?

 まぁ、本当のことを言うか・・

彼女は“孤独(ロン)の(ベ)悪魔(―ル)”とかつてよばれていた悪魔本人なんだけどなぁ・・・

 “孤独の悪魔”を知らないだろ?君たちは。

でもいいさ。ここでは言わない。


で、なんでそんなのと会ったって?

そうだなー・・・

1週間前に封印されてたから解放してあげた・・みたいな?


と言うわけで、今日も一日頑張って行きますか・・・


 ◆◇◆

月下の隊員は基本、各自が、宿舎に部屋を持っている。けれど、上官級になると自分の比較的広い部屋をもつことができるんだよね。

 うぅ・・・

この広い部屋を手に入れるまでに何か月かかったことか・・・

あっ、ちなみにカベルネは五日で広い部屋だったかな?

そうそう、あと上官は毎朝、本部に出勤しないといけないからそれも面倒なんだよなぁ・・・

 こんなことを毎朝、思いながら着替えながら考えてるけど、そろそろ慣れるべきかなぁ・・・

 ちなみになんですけど、安心してください。

 ちゃんとカベルネは外に出してますから。

(嘘じゃないよぉ・・・)

・・・10分後

 「カベルネー準備終わったぞー」

 「もう、遅―い・・!」

部屋から出ると、早く出発したそうにしているカベルネが待っていた。

 「あれ?ロッキー。右手に何持ってるの?」

右手・・?あぁ。この本のことかな?昨日遅くまで読んでたけど、中身がすごい難しくて、読むのに時間がかかってるんだよね・・・

 「これは、天上記といってね、昔の月下の構成員の一人が、この世のすべてを知っている天界という存在について言及した貴重な文書南なんだ。」

 「ふーん・・・」

 この時、カベルネはなぜか、微妙な顔をしていた。なんなんだろうか?・・・

 「それよりもさ、今日の仕事って何なの?」

 「えーと・・・何だったけな?」

しまった!昨日、天上記を読みすぎてたせいで、今日の仕事を忘れてた・・・何だったけ・・・?

 「うーん・・・」

 「ロッキー・・ひょっとして知らな・・」

 「うわぁぁ!!知ってるから知ってるから・・」

えーと。昨日の仕事が、あれだったから・・・でも昨日、それは完全に終わって・・・あー!もうどうでもいい!

とその時、心の中のロッキーに天使が舞い降りる。

 『今日の仕事は、特にないんじゃないの。』

あぁ。何て救われてるだろう・・・って、この声は・・・


 ◆◇◆

「ロッキーく~ん・・・どういうことかなぁ?」

「すいません、すいません、すいません・・・」

「あっ。おはようございます!月下帝花さん。」

「おはよー・・カベルネちゃん。」

・・・今、自分が土下座している前には、セーラー服を着ているが、中身はそれと全く持って裏腹な少女がいる。そう、その少女こそが、この月下の最上位存在、月下帝花だ。

 で、何をされているかというと・・・

 「君さぁ・・あれだけ帰るときに、『いやー明日は何も仕事がないですねー・・。そうだ、一緒に酒でも飲みに行きませんか?』って自分から誘ってたよね?」

 「はい・・・」

 「で、約束は?」

 「すいません!では、今から行きましょう!!」

 ひっ冷汗が止まらないよぉ・・・

 「・・・私もいい?」

 「まぁ・・帝花様がいいなら・・」

 「全然、いいけど?」

 「わかりました!では行きましょう!!」

 「・・・やったー!ロッキーと酒飲みだあー!」

 ・・・・だれか、俺を助けてください・・・


 ◆◇◆ 

「で、・・・天上記を読んで何か分かったことあった?」

今は、月下の中でも有数のバーで帝花様とカベルネと一緒に飲んでいた。カベルネはあくまでも、オマケとしてついてきただけなので、店主と一緒に話しながら、酒を飲みまくっていた。

(勿論、全額、俺の奢りらしいです。って言いたいところなんだけど、どうやら店の店主が、上官ならタダでいいとのこと。やったね。)

 「いやー、それがですね・・・話が抽象すぎてちょっとわかりにくいんですよ・・・例えば、“記述師”についての話も『彼女には、秘密はない。ありのままを記すのみだ。』だけだし・・・」

 「そうなんだ・・・」

目の前のセーラー服の上官は、ワインを一口飲むと

 「・・・天上記の作者は、月下家の一人、月下壮麗なんだけど、彼女自身は、突如失踪したんだ。」

 「・・・失踪?」

 ・・・どういうことだ?月下家って基本的に、失踪とかはしないはずなんじゃ?・・・

 「うん。お連れの目を盗んで突如、消え去ったんだよね。」

 「・・・それは、不思議ですね。」

 とその時、突然、一人の少女が自分に抱き着いてきたのである。その姿は、長い赤い髪で可憐な顔。つぶらな瞳・・・

 いやーなんて可愛い子なんだ・・・じゃないっ!!

 「おい!カベルネ!俺は、今は上官と話してるんだからやめろ!」

 「えへーへーろっきー・・・」

 「まさか・・お前、酒に弱いのか?!」

 「よわくなんかな・・ヒック」

・・・ぜった~いに誰がどう見ても、弱いだろ。

 「ふふっ。元“孤独の悪魔”だとは思えないね。」

 「・・・“孤独の悪魔”ってそんなに厄介な存在だったんですか?」

 「・・・まぁね。一応言っとくけど、“孤独の悪魔”を封印したのは私たち当時の月下じゃないんだよ。」

 それは、初耳だ。てっきり帝花様が封印したのかとおもってたけど・・

 「じゃあ誰が封印したんですか?」

 「“ラスアバ”」

 『?』

 「そーだよ~わたしはねぇ~らすあばとかいうやろうにふういんされたんだよ~」

この話を俺に抱き着きながら聞いてたであろうカベルネが突如しゃべり始めた。

 「おい、初耳だぞ。」

 「だっていってらかったも~ん!」

 そこまで、言い終えるとカベルネは俺の膝元で寝始めた。

 「・・・まだまだ俺が知らないことがありそうだな・・」

 「まぁそのうち聞いていけばいいんじゃないの?」


結局、そのあと追加で5時間話した後、帝花様と別れた。

 「・・・よっこらせ。」

やれやれ、迷惑が掛かるやつだな・・・

俺だってちょっと酔いが回ってきてるのに・・・

 「ロマン姉ちゃん・・・」

 「ん?なんか言ったか?カベルネ。」

背負ったカベルネを見ても、寝ているだけだった。

 「明日から戦場か。しばらく大変そうだな。」


                          



初めての投稿になります。何卒宜しくお願い致します。批判の声もしっかりと受け止めますので。

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