第七話――新たな仲間と疑惑の釘
ヴェル=ザルヴァを討った俺たちは、次の四天王が待つダンジョンへ向かう前に、廃墟と化した街で休息を取ることにした。
戦闘の疲労もあるが、もう一つ理由がある。
「お前ら、派手にやったな」
廃ビルの屋上、俺たちの前に立つ一人の女。黒いボディスーツの上に軽装のコートを羽織り、背中には長弓を背負っている。
「……誰だ?」
俺が警戒しながら問いかけると、女はふっと笑った。
「名乗るほどの者じゃないが……強いて言うなら、《黒影の狩人》ナタリアってとこか」
ナタリア――どこかで聞いた名前だ。
「お前らの戦いを見てた。ヴェル=ザルヴァを倒すとは、大したもんだよ」
ガルヴェスが腕を組み、ニヤリと笑う。
「だったら、お前もモンスター狩りに興味があるクチか?」
「まぁね。私も魔王には因縁があってね」
ナタリアは壁に寄りかかりながら、じっと俺を見つめた。
「……で、アンタは何者なんだ?」
「……何が言いたい?」
「アンタ、魔王のことにやたら詳しいよな?」
その瞬間、空気が変わった。
「確かに俺たちが行くべきダンジョンの場所、四天王の能力、果ては魔王の居場所まで……」
ガルヴェスがそういった瞬間、ナタリアが目を細める。
「そう、まるで最初から知っていたみたいね」
「……」
俺は口をつぐんだ。
「おいおい……こいつ、まさか魔王側の人間じゃねぇだろうな?」
ガルヴェスが冗談めかして言うが、その声には僅かな警戒が滲んでいた。
「お前たちが何者だろうと関係ないが……私は魔王を討つことに興味がある。だけど、味方に謎が多いのは気に入らない」
ナタリアが鋭い目つきで俺を睨む。
「今ここでハッキリさせてもらうよ、アンタは一体……何者なんだ?」
ガルヴェスも俺の方を見ている。できれば話したくはなかったが仕方がない……か……