第六話――死神を断つ剣弾
「――行くぞ、ガルヴェス!!」
俺は《ヘルハウンズ》を構え、魔力を最大まで込める。銃身が蒼白い光を帯び、空気がビリビリと震えた。
「《ハイ・ライトニングバースト》!!」
雷撃弾を一斉に撃ち放つ。
蒼白い閃光が暗闇を切り裂き、ヴェル=ザルヴァの術式に直撃する。空間を支配していた死の波動がかき乱され、闇が一瞬だけ揺らいだ。
「……ほう。まだ抗うか?」
ヴェル=ザルヴァが余裕の表情を崩さない。だが、今ので隙は作った。
「今だ、ガルヴェス!!」
「――《黒鉄爆砕斬》!!!」
ガルヴェスが全身の魔力を込めた大剣を振り下ろす。剣から放たれた黒い斬撃が、死神の幻影を真正面から切り裂いた。闇が吹き飛び、死神の鎌が砕け散る。
「なっ……!? 貴様らごときが……!!」
ヴェル=ザルヴァの動きが止まる。
「決めるぞ……!」
俺は《ヘルハウンズ》を逆手に構え、最後の弾を込める。
「――《ペネトレイト・バレット》!!」
極限まで圧縮した魔力弾が、雷光を纏ってヴェル=ザルヴァの胸を撃ち抜いた。
「がっ……!?」
黒い霧が彼の体から噴き出し、崩壊が始まる。
「ば、馬鹿な……この私が……こんな……!」
ヴェル=ザルヴァの体が闇に溶けるように消えていく。
「貴様ら……この先に待つのは、さらなる絶望だぞ……」
最後の言葉を残し、ヴェル=ザルヴァは消滅した。
魔王四天王の一角、“死をもたらす者”はここに討ち取られた。
戦いの後
ガルヴェスが大剣を地面に突き刺し、荒い息を吐く。
「……やれやれ、しんどい相手だったな」
「お前、よくあんなデカい剣を振り回せるな」
俺も銃をホルスターに戻しながら、苦笑する。
「だが、一つ目の砦は落とした。残るはあと三つ……そして魔王だ」
ガルヴェスがニヤリと笑う。
「この調子で四天王をぶっ倒して、魔王の首を獲りに行くぞ」
「ああ――戦いを終わらせるためにな」
こうして、俺たちは次なる戦場へ向かう。
魔王を討つ、その日まで――。




