第五話――死をもたらす者との戦い
「グオオオオオオ!!」
骸骨の軍勢が一斉に襲いかかってきた。剣や槍を振りかざし、ガチャガチャと不気味な音を立てながら迫ってくる。
「うるせぇんだよ、骨どもが!」
俺は《ヘルハウンズ》のトリガーを引いた。
「《フレイム・バレット》!」
火炎弾が骸骨兵の群れへと撃ち込まれる。爆発的な炎が広がり、骨の体が次々と燃え上がった。しかし――
「……チッ、まだ動くのかよ」
炎に包まれながらも、骸骨どもは倒れずに向かってくる。ヴェル=ザルヴァが黒い霧の魔法を使い、何度でも蘇らせているのだ。
「クク……無駄だ。死した兵は何度でも蘇る……」
「なら、一発で粉々にすればいいだけだろ!」
ガルヴェスが黒鉄の剣を大上段に構え、魔力を込める。
「《ヘヴィ・スラッシュ》!!」
轟音とともに剣が振り下ろされると、衝撃波が広がり、骸骨兵たちが一気に粉砕された。黒い霧が立ち込めるが、今回は再生しない。
「ほう……なかなかやるな」
ヴェル=ザルヴァがゆっくりと立ち上がる。その身体から黒い魔力が溢れ、空間が歪んでいく。
「だが、我が“真なる死”に耐えられるか?」
次の瞬間、周囲の空気が重くなった。いや、命そのものが奪われていく感覚だ。
「これは……!」
「来るぞ、気をつけろ!」
ヴェル=ザルヴァが手を掲げると、巨大な黒い魔法陣が浮かび上がった。
「《デス・ドミネーション》」
禍々しい魔力が膨れ上がり、闇の波動が俺たちを飲み込もうとする――!
「っ……ふざけんな!!」
俺は瞬時に魔力を集中させ、《ヘルハウンズ》に全エネルギーを込めた。
「《ライトニング・ストーム》!」
雷撃弾を連続で発射する。稲妻が黒い魔法陣に直撃し、魔力をかき乱す。
「……ほう?」
ヴェル=ザルヴァがわずかに驚いた表情を見せたが、すぐに余裕の笑みを浮かべた。
「貴様、なかなかやるな……だが、これで終わりだ」
ヴェル=ザルヴァが両手を広げると、背後に巨大な死神の幻影が現れた。
「――《ネクロ・レクイエム》」
死神が鎌を振り上げた瞬間、俺たちの周囲の空間が暗黒に包まれ、全ての音が消えた。
「……っ!!」
体が動かない。まるで生命そのものを支配されるかのような感覚。
「これが“死”だ……安心しろ。痛みは一瞬だ」
ヴェル=ザルヴァの声が響く。
――だが、俺はここで終わるつもりはねぇ。
「ガルヴェス、やれるか?」
「……当然だ」
ガルヴェスの黒鉄の剣が、淡く光を帯び始めた。
「お前の弾で、俺に道を作れ」
俺はニヤリと笑い、銃を構える。
「――任せろ!」
全てを賭けた、反撃の一撃が始まる――!




