第四話――魔王四天王、死をもたらす者
俺とガルヴェスは、廃墟と化した都市を進んでいた。モンスターどもが巣食うこの世界で、生き抜くために戦うのは当然だが、俺たちの目的は明確だった。
“赤き眼の魔王”を討ち、この世界を救う。
だが、その魔王のもとに辿り着くには、まず四つのダンジョンを制覇しなければならない。そこを支配しているのが、魔王の側近――魔王四天王と呼ばれる存在だ。
「この先か……」
俺たちは廃ビルの屋上から、遠くに広がる巨大な城塞を見下ろしていた。周囲には無数の異形のモンスターがうごめき、まるで地獄のような光景だった。
「これが魔王四天王の一人が支配するダンジョンか……どんな奴が待ってるんだ?」
ガルヴェスが肩に担いだ黒鉄の剣を軽く振る。
「情報によれば、ここにいるのは“四天王の一角”――“死をもたらす者”ヴェル=ザルヴァだ」
「死をもたらす者、ねぇ……そそる名前じゃねぇか」
俺は《ヘルハウンズ》を抜き、魔力を込める。
「奴を倒し、ダンジョンを潰す。まずは一つ目の砦を落とすぞ」
「おうよ、派手にやろうぜ!」
ダンジョン内部――黒き死の間
ダンジョンの中は、静寂に包まれていた。いや、違う……これは死の気配だ。
「……妙だな」
「ああ、モンスターどもがいねぇ」
ダンジョンに入った瞬間から、俺たちは何者にも襲われていない。通常なら襲いかかってくるはずの魔物がいないのは、不自然すぎる。
そして、その理由はすぐにわかった。
――ギィ……ン……
不気味な音とともに、暗闇から何かが現れた。
「……っ!」
現れたのは、無数の骸骨兵士たち。黒い霧をまとった骸骨の軍勢が、音もなくこちらを見つめていた。そして、その軍勢の奥に、一人の男が座っていた。
「貴様らが新たな供物か……」
闇の王座に腰掛けたその男は、痩せ細った体に黒いローブをまとい、銀色の仮面をつけていた。
「……お前がヴェル=ザルヴァか?」
「如何にも。我が名は**“死をもたらす者”ヴェル=ザルヴァ**。このダンジョンを支配する者……そして、死そのものだ」
ヴェル=ザルヴァが手を掲げると、骸骨の軍勢が一斉に動き出す。
「クク……貴様らはもう死んでいるのだ……」
「……生憎だが、まだ死ぬ気はねぇよ!」
俺は《ヘルハウンズ》を構え、炎弾を装填した。
「行くぞ、ガルヴェス!」
「おうよ!!」
こうして、俺たちと魔王四天王の戦いが始まった――。




