第三十七話――因果の果て
魔王サタンは、激しく燃え盛る城の中心に立っていた。
奴の赤い瞳は、すべてを見透かすように俺たちを見据える。
「戦争の果てに、世界はこうなった。ダンジョンや魔力なんて結果論だ」
サタンの声は、冷たく響く。
「異界のゲートが開かれたのは、お前たち人間が戦争を続けたせいだ。私達が現れたのも、お前たちが引き金を引いたからに過ぎない」
地響きが響く。
瓦礫が崩れ落ちる。
サタンは、腕を広げ、皮肉げに笑った。
「私を倒したところで、世界は戻らん。戦争の炎は消えず、人間同士の争いも終わらない。お前たちは、自分たちの手でこの地球を滅ぼしたのだ」
俺は、静かに拳銃を構えた。
「だから何だってんだよ」
サタンの目が細められる。
「……何?」
ガルヴェスが拳を鳴らし、ナタリアが短剣を握りしめる。
「俺たちが戦ってるのは、そんな後ろ向きな話じゃねぇんだよ」
俺は歩を進める。
「過去がどうであれ、俺たちは未来を掴むために戦ってるんだ」
「愚かしい……」
サタンが炎を纏う。
「この世界はもうすぐ終わる。異界のゲートが崩れ、"地球リセット"が始まる……それでもお前たちは戦うというのか?」
俺は、二丁拳銃を構え、静かに息を吸った。
「戦うさ。最後までな」
――轟音。
――閃光。
――そして、最後の決戦が幕を開ける。




