第三十六話――ラグナロクフェイズ
魔王サタンが、ゆっくりと腕を広げる。
燃え上がる魔力の奔流。
崩壊する城。
砕ける大地。
「たとえ私を倒しても、戦争で傷ついたこの星は、戻らないぞ!」
嘲笑する魔王に、ガルヴェスが鼻で笑った。
「知るか!」
ナタリアが、鋭い視線で空を見上げる。
「待って……何かくる!」
――ドォォォンッ!!!
突如として、大地が揺れた。
ただの地震じゃない。
何か……とんでもないものが近づいている。
魔王は、目を細める。
「やはり"地球リセット"が来るか……」
その言葉に、嫌な予感がした。
「地球リセット……?」
魔王は冷たく笑う。
「この世界は、もう限界なのだよ。戦争とダンジョンによる破壊……そして、この魔力過剰の世界は、"地球そのもの"を狂わせた」
その瞬間、空に裂け目が生じた。
黒い嵐。
吹き荒れる魔力の奔流。
地球そのものが――悲鳴を上げている。
「……それよりもよそ見をするな?貴様らは私が倒すのだからな…」
魔王の両手に、紅蓮の炎が渦巻く。
俺は拳を握りしめた。
「……行くぞ、ジョニー!」
体の奥底から、熱い何かが込み上げる。
俺とジョニー、魔物と人間が完全に同調する――
魔王は不敵に笑った。
「最後に楽しめそうだ」
俺は二丁拳銃を構える。
「これが俺たちの終点! "ラグナロクフェイズ"だ!!」
最後の戦いが、今始まる。




