第三十四話--運命の対峙
「――撃てェェェェェッ!!!」
俺の叫びと同時に、大和の砲塔が光を放つ。
巨大な魔力が収束し、波動砲が轟音とともに解き放たれた。
ドオオオオオオォォォォォン!!!!
まばゆい閃光が空を切り裂き、魔王城へ一直線に突き進む。
瞬間、空間そのものがねじれ、圧倒的な熱量と衝撃が炸裂した。
魔王城、直撃。
「……落ちるぞ」
ナタリアが呆然と呟いた。
空に浮かんでいた魔王城が、崩れ、砕け、地上へと墜落していく。
まるで天から堕とされた堕天使のように。
「今だ……!!」
俺たちは墜落する魔王城に向かって飛び込んだ。
これが――最後の戦いの始まりだった。
「……久しぶりだな、あの時の兵士よ」
魔王サタンは静かに言った。
崩れ落ちる魔王城の中心。
黒き玉座に腰掛ける魔王の赤い瞳が、俺を射抜く。
「覚えていたか……! ジョニーの仇を討ちに来た!」
俺は銃を構える。
「……ジョニー? お前の中にいるではないか?」
「な、ん……だと?」
脳裏に走るノイズ。
俺の中の魔物が、激しく蠢く。
「そうか、お前は知らなかったか」
魔王は淡々と告げる。
「奴の本当の名は――ルシファー。私、サタンの息子だ」
何を言っている……?
ジョニーが……魔王の息子……?
「じゃあ、なんで殺した!!」
怒りが燃え上がる。
だが、魔王は微笑を崩さず言った。
「奴は堕天した。お前の妹に恋をしたからな」
「――――ッ!!」
心臓が凍る。
「だが、お前の妹は戦争で死んだ」
魔王の言葉が、俺の中に重くのしかかる。
すべてが、絡み合い、混ざり合う。
この戦いの意味とは。
俺の中の魔物の正体とは。
そして――ジョニー(ルシファー)の想いとは。
「さあ、続けよう。これは、"家族"の問題だ」
魔王サタンが、立ち上がる。
俺の銃が、震えた。




