第三十二話――魔王城への道と最強の戦艦
アメリカの荒廃した大地を進みながら、俺は考えていた。
――俺の中の魔物は何なのか。
ゼファルドは言った。
「魔王に直接会ったお前だからこそ、お前の中の魔物は適合した」と。
記憶の奥底にある、かすかな違和感。
俺は、本当に「魔王に会ったことがある」のか?
「……考え込んでるな、布藤」
ガルヴェスが言った。
「お前、最近おかしいぞ。戦いのたびに、より魔物じみてきてる」
ナタリアも頷く。
「あなたの魔力の流れ……普通じゃないわ」
俺の身体は、すでに限界を超えつつあるのかもしれない。
だが、それを確かめる時間はない。
俺たちは魔王のいる空中要塞「魔王城」へ行かなければならない。
「問題は、どうやって空を飛ぶかだな……」
魔王城は雲の遥か上、地上からでは手が届かない場所にある。
「大和の噂が本当なら…」
「大和?」
俺は耳を疑った。
「そんなもんが、本当にあるのか?」
ナタリアが頷く。
「記録によれば、かつて世界連合軍が極秘裏に開発していた戦艦よ。
魔力機関を搭載し、どんな敵にも撃墜されないとされていた」
「だが戦争は負けた。その大和はどこにある?」
ガルヴェスが腕を組む。
「沈んだか、奪われたか……だが、もし今も存在するなら、魔王城に行く唯一の手段かもしれねぇな」
そうだ。
もし「大和」を手に入れれば、魔王城へ乗り込むことができる。
「問題は、どこにあるかだな」
「調べるしかないわね」
俺たちは情報を集めることにした。
そして同時に、俺の中でくすぶり続ける疑問があった。
――なぜジョニーは、魔王に直接殺されたのか?
あの日、世界が終わる瞬間。
なぜ、ジョニーはわざわざ魔王の手によって殺されなければならなかったのか?
もしそれが偶然でないのなら……
「……全ての答えは、魔王の元にある」
大和を探し、魔王城へ行く。
そこで、すべての謎を解き明かす。




