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二十五話――冥葬螺旋陣

冥葬螺旋陣めいそうらせんじん」。


ベルゼルガの足元から黒き渦が広がり、空間を引き裂く重力のように、塔全体を飲み込もうとしていた。


天井から滴る黒光が逆流し、塔そのものが呪いの核となっていく。


「……こいつ、塔ごと消し飛ばす気かよ!」


「冥府に引きずり込むつもりね……!」


ナタリアが歯を食いしばり、結界を展開するも、重圧でひび割れていく。


ガルヴェスは前に出た。


「なら、こっちも奥の手だ」


剣を地面に突き立て、右腕の封印を解除する。


「――《雷喰ノ刻印》、解放」


腕が黒く染まり、魔雷が迸る。


「よし、俺も行くぜ!」


俺は二丁拳銃を背中に戻し、腰から取り出すのは――黒き短剣。


「……使うのか、布藤」


「こいつは嫌いだけどな……一瞬で決める」


――俺の中の“魔物”が目を覚ます。


視界が滲み、血の味が口内に広がる。右目が赤く光り、脳内にノイズが走った。


「布藤、限界は超えるな……帰ってこいよ」


「ああ。終わらせて、帰るだけだ」


ナタリアは光の槍を構え、三人がベルゼルガに向けて一斉に突撃する。


ベルゼルガが咆哮する。


「消え去れえええええええええええええッッ!!!!」


渦巻く冥黒のエネルギーが、塔の天井を吹き飛ばす。


だが――その中心に、光が走る。


「《雷鳴崩山》ッッ!!!」


ガルヴェスの剣が鎖を打ち砕き、ベルゼルガの動きが止まる!


「《光槍・転生》!」


ナタリアの一撃が鎧の胸元に深く突き刺さる!


そして――


「《魔喰・零ノ牙》……」


俺はベルゼルガの頭上に跳躍し、短剣に“魔の力”を込める。


空間が割れ、周囲の魔物が蒸発するほどの圧。


「終わりだ、ベルゼルガァァァァァァァッッ!!!!」


渾身の突きで、短剣がベルゼルガの頭蓋に直撃。


ズドォンッッ!!!


衝撃で塔全体が傾き、漆黒の巨体が音もなく崩れ落ちた。


「……ッ、ガァ……ハッ……」


魔の力が俺の体を蝕むが、なんとか踏みとどまる。


ベルゼルガの体は徐々に崩れ、黒き霧となって消えていく。


『……見事だ……我を倒すとはな……だが、魔王の御許に至るには……まだ……』


声が消え、静寂が訪れた。


ナタリアとガルヴェスが近づき、俺を支える。


「やったな」


「ああ…なんとかな…」


天井が崩れ、黒い光が止んだ。


「行こう、次へ。まだ終わりじゃねぇ」


「……次は、誰だ?」


俺達は、黄金郷(エルドラド)へと向かう…


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