二十四話――鎖の中で
ベルゼルガの鎖が唸りを上げ、地を裂いた。
巨大な魔物たちが咆哮し、こちらに殺到してくる。
「来るぞッ!!」
俺は一気に跳躍し、空中で二丁拳銃を旋回させる。
「《双影乱舞》ッ!!」
魔力弾が雨のように降り注ぎ、魔物たちを次々と穿つ。しかし、それでも止まらない――まるで無限湧きのように湧き上がる魔物の群れ!
「こっちもやるしかねぇな!」
ガルヴェスが地面を踏み砕き、前線へ飛び出す。稲妻をまとった剣が振り下ろされ、雷鳴が塔の中に轟いた。
「《雷迅裂空》!」
青白い閃光が魔物を一掃し、その残骸を吹き飛ばす。
ナタリアもまた魔力を集中させる。瞳が淡く光り、地面に魔方陣を描く。
「《魔力制圧領域――白の結界》!」
展開された結界が、亡霊系の魔物たちを焼き尽くしていく。
「ほぉ……この程度の雑魚では、揺るがぬか」
ベルゼルガが笑い、足を一歩踏み出しただけで、空間がひしゃげる。
「ならば、この鎖で貴様らの命脈を断ち切る!」
ベルゼルガが鎖を振り回すと、それは蛇のように空間を泳ぎ、こちらを襲ってきた!
「チッ、あの鎖、魔力を喰ってくるぞ!」
俺が避けた瞬間、地面に当たった鎖が魔力を吸収し、黒く焼け焦がした。
「当たればただじゃ済まねぇ……!」
「なら、当たらなきゃいいのよ!!」
ナタリアが身を翻し、魔力刃を放つ。
「《深淵貫穿・オルトロス》!!」
双刃がベルゼルガの鎧に突き刺さる――が、キィィィン!と甲高い金属音と共に、弾かれた!
「無駄だ。この冥鎧は、死を纏いし絶対防壁。貴様らの攻撃など届かぬ!」
「じゃあ、叩き割ればいい!」
ガルヴェスがベルゼルガの懐に飛び込み、剣を構える。
「《超雷式・轟覇一閃》ッッ!!」
全魔力を込めた一撃が、ベルゼルガの腹部へ直撃――!
ドゴォォォンッ!!!
爆音と閃光、砕けた壁が塔の中に降り注ぐ!
ベルゼルガの体が一瞬よろめく……!
「……クク、面白い。やはり貴様ら、只者ではないな」
ベルゼルガの鎖がさらに太く膨れ、彼の周囲に竜のように巻きついた。
「では……《冥葬螺旋陣》……で、全てを終わらせよう」
塔全体が震え、闇が渦を巻く――!
「来るぞ、こいつ本気だ!」
俺は二丁拳銃を構え直し、ナタリアとガルヴェスに目配せをする。
「次の一撃で、決める!」
三人が一斉に駆け出す。
――決戦の一撃が、今、塔を揺るがす。




