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第二十三話――黒き塔の死闘
黒き塔の内部は、まるで異世界のようだった。
黒曜石の壁には紫色の魔力が脈打ち、天井からは黒い光が滴り落ちている。
空気は異様なほど冷たく、魔物の瘴気が充満していた。
「……さて、出迎えはどうなるか」
ガルヴェスが剣を肩に担ぎ、前を睨む。
その時――
ズン……ズン……ズン……!!
大地が揺れ、空間が歪んだ。
塔の奥から、巨大な影がゆっくりと現れる。
「フフフ……よくぞ来た」
四天王の一角、冥府の災禍・ベルゼルガ。
漆黒の鎧をまとい、無数の鎖を引きずる巨漢。
顔は骸骨のように歪み、禍々しい眼光が俺たちを射抜く。
「貴様らがこの地に足を踏み入れた時から、貴様らの死は決まっていたのだ……!」
ベルゼルガが鎖を振るうと、空間が裂け、無数の魔物が溢れ出す。
牙を剥く獣、宙を漂う亡霊、巨体を持つゴーレム――まさに地獄絵図だった。
「……いいねぇ、四天王らしい派手な歓迎だ」
俺は二丁拳銃を構え、魔力を込める。
「なら、俺たちも全力で応えてやるぜ!」
ナタリアの手には青白い魔力の刃が輝き、ガルヴェスの剣が稲妻を帯びる。
「行くぞ!」
戦いの幕が開けた――。