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第二十話――戦争の記憶

新潟を離れ、船は北の海を進む。


波の音に混じって、俺の頭の中に“ある記憶”が蘇っていた。


――終末戦争の前、世界では最後の世界大戦が行われていた。


その戦争の始まりの場所。

そして、初めて魔王が降り立った地。


「……あの戦争がなければ、今の世界は違っていたのか?」


俺は呟く。


ナタリアとガルヴェスが黙って俺を見つめる。


「過去を振り返る時間はねぇぜ、布藤」


ガルヴェスが低く言う。


「確かに、あの戦争がすべての始まりだった。だが、それをどうすることもできねぇ」


「……そうね。今は、魔王を討つために進むしかない」


ナタリアが静かに言った。


俺は深く息を吐く。


――魔王。


ヤツは今、アメリカにいる。


そこへ至る道のりは、まだ果てしなく遠い。



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