思い出す
なんて事ない日だった
特に特別な事があった日ではなかった
ただ、少し心が落ち込んでいて憂鬱だった
外に出かけよう、部屋の中にいてもしょうがない
なんでそう思ったかは分からないが、僕は外に出た
天気は悪くて、風がなくて、蒸し暑い日だった
でも、何故か景色が綺麗だと思った
食べてる物が美味しいと思った
いつもと世界は変わらないのに、感じ方が変わっていた
路地裏の猫、アスファルトに隠れるトカゲ、電柱に止まるカラス
まるでピントがあったかのように、詳細に周りが見えていた
寝て起きたらいつもと同じ感じになってしまったが
あの感覚を僕は噛み締めるように、何度も思い出すだろう
反復する思い出と共にあの感覚を探し続けるだろう




