第8話 オオカミ少年ロディ
やがて夕方になると、ロディはサラに言った。
「そろそろ夕食の時間だ。食堂に行こうよ」
食堂では、広い部屋に無数のテーブル。
大勢の少年があちこちでテーブルを囲んで、わいわいやっている。女の子が居るテーブルでは、彼女達を囲んで盛り上がっている様子が解る。
ロディは二人分の食事を受け取り、サラと並んでテーブルに着いて食べ始める。
すると数人の同年代の男子が彼に声をかけた。
「ロディ、今日は女連れかよ。可愛い子じゃん。どうしたんだよ」
「ちょっと訳アリでな。実は軍部の秘密研究所で人体実験されそうになってた子を救出したんだよ」と真顔で言うロディ。
「えーっと・・・」
そう言って戸惑うサラに、彼等の一人が笑いながら言った。
「気にしなくていいよ。ホラ吹きロディのいつものやつだから」
別の少年が「オオカミ少年ロディとも言うな」
「え?・・・、ロディってやっぱり女の子食べちゃうの?」とサラは唖然とした顔で・・・。
少年達は爆笑。そして笑いながら一人の少年がサラに言った。
「いや、オオカミ少年ってのはね、昔話で、村でオオカミが来たぞって嘘ばかり言ってた子供が、本当の事を言っても信じてもらえなくなったという・・・」
「で、本当はどうしたんだよ、ロディ」と別の少年が・・・。
ロディは「裏でザナを支配している、闇の管理委員長と呼ばれる権力者が居てな、そいつのハーレムから救出したんだよ」
「ザナにもそんな人が居るんだ」と目を丸くするサラ。
少年達はまた爆笑。
そして「いや、だからホラだってば・・・」
「君、名前は?」と少年の一人が・・・。
「サラって言います」と彼女は名乗る。
別の少年が「ま、むさ苦しい男の園って奴だけど、緩くて、みんな楽しくやってるよ。今日は泊まって行くんでしょ?」
「そのつもりです」
そう答えながら(楽しそうな所だな)・・・とサラは思って、口元が緩んだ。
その時、一人の少年が言った。
「そう言えばノーマの不時着船が来てるってニュースで言ってたけど、もしかしてサラってそれと関係あったりするのかな?」
サラはいきなり現実に引き戻され、表情が曇った。
そんなサラをちらっと見ると、ロディは更に冗談めかして言った。
「お前、鋭いな。実はサラはノーマの王女様で、女同士の政略結婚を嫌がってた所を、俺が逃がしてやったんだよ」
少年達は爆笑した。
その時、入り口から「あ・・・サラだ。やっほー」
ジュノとリアだ。キーツも居る。
「何であんた達がここに居るのよ」と慌てるサラ。
リアが「サラばっかりロディの所でお泊りとか、ずるいよ」
「お前等がここに泊まるって聞いて、この二人が自分達も、って聞かなくてさ」とキーツが頭を掻く。
「何? サラ、妹が居たのかよ」とロディの仲間たちが言う。
二人はサラと一緒に居る少年たちに名乗る。
「私、リア」
「ジュノだよ」
「で、ロディは三人の王女様を救出したヒーローって訳かよ」と少年の一人が・・・。
「王女様って何の話?」とジュノが怪訝顔で・・・。
「ホラ話だよ。いつものオオカミ少年ロディだろ?」とキーツがリアとジュノに説明しようと仲間たちに確認すると、リアとジュノが言った。
「え?・・・、ロディってやっぱり女の子食べちゃうの?」
少年達はまた爆笑。
そして「この子達、面白いな」
三人の女の子を囲んでわいわいやる少年達。
隣に居る男の子に頭を撫でられて嬉しそうなジュノ。
そのうち話題がゲームの話になる。自分が一番だと腕を自慢し合う奴等に、キーツは笑いながら言った。
「お前等、自慢とか大概にしといた方がいいぞ。サラは機動兵器シュミレーションじゃ無敵だ」
少年達は爆笑した。
「あのなぁ、キーツとロディをゲームでボコったから無敵だってんなら、ここに居る奴等は全員無敵だぞ」
「俺達ここで最弱かよ」とロディとキーツは憤慨した。
そして少年の一人が「だったらさ、食べ終わったらゲームコーナーに行こうよ。無敵王女様のお手並み拝見だ」
彼等は食事を終えると、テーブルを囲んでいた面々で施設のゲーム室に向かった。
いくつかのゲームが並ぶ中、あのシュミレーションの機体が三台。
一人の腕自慢の男子がサラに挑むが、ボロ負け。次々に挑戦者が出るが、手も足も出なかった。
やがてジュノとリアも勝負に参加し、少年達を負かした。
「君達すげーな。他の養育施設にも、サラに勝てる奴なんて多分居ないぞ」
男子達が口々に三人の少女達を褒める。
そして「ロディ、こんな凄い彼女、どうやってゲットしたんだよ」
彼女なのかな?・・・とサラは心の中で呟き、くすぐったい感覚に浸った。




