【作品紹介032】教会騎士アルトの物語 〜黎明の剣と神々の野望〜
今年最後の更新です。来年もよろしくお願いします。
これを書いているのは12月30日。2024年もあと僅かです。今年は去年までと比べてスコップから紹介までこぎつけた作品は2作品のみという有り様でした。
流石にもう1、2作品ぐらいは紹介しておきたいとの思いから、今月は精力的にスコップを行い、2作品ほど紹介できそうな作品に出会いました。今回はそのうちの1作を紹介します。
今回紹介する作品は、独自の世界観を有するオリジナル戦記モノです。私のエッセイでは「独自の世界観」というフレーズは比較的多く登場していると思います。今回の作品はそのフレーズに適う作品の中でも特に「独自性」は高いだろうと思います。魔法も、冒険者も出てきません。
■この作品をどうやって見つけたのか?
2023年以降に連載を開始したファンタジーのうち総合ポイント1000以下の条件で「なろうファンDB」の検索機能を使って、表示されたリストを眺めている中で見つけたものとなります。
「教会騎士」という役割に焦点を当てているところに興味を惹かれて読み始めました。
■見つけた時のステータスは?
ブクマ45、評価130。2023年5月からの連載開始で200話を超えている作品としては、相当な埋もれ具合と言って良いでしょう。感想は1件のみ。レビューは無しです。
■どのような物語か?
ここ最近ではなかなか見当たらない「オリジナル戦記モノ」です。物語の開始から序盤の成長過程はオーソドックスな英雄譚であり、主人公は村で過酷な体験をしたのち己の能力の片鱗に目覚め、それを見出した人々によって表舞台へと誘われていきます。
雰囲気としてはカクヨムで連載されている富士田けやきさんの『何がために騎士は立つ』を彷彿とさせるところがあり、多くの人と出会い、別れ、成長し、思った以上に絶望的な世界の真実へと辿り着きます。最後に主人公がどういう場所に立っているのか全く予想がつかない、壮大かつ不穏な物語という印象を私は抱きました。
■この作品のどこが自分に刺さったのか?
物語から重要人物がいつ離脱してもおかしくない不穏さがあり、敵対する相手方と主人公との力量差にもとてつもない開きがあるところ。そういった状況下でも、主人公は折れず、徐々に味方を増やし、時には味方か怪しいけど利害が一致するという理由で協力していく様子が、実にリアルで説得力があると感じました。綺麗事が通用しない世界で綺麗事を貫こうとしている姿勢も良いです。
なお、主人公が最初に村をでるまでの展開は少し冗長に感じましたが、それ以降は物語のテンポもよくのめり込むことができた次第です。
あと魔法にとって変わる超自然的な力の概念も面白いと思いました。名作漫画『マギ』の「ルフ」の概念に近いかもですね。
■どんな人に読んで欲しいか?
本格ファンタジーが好きな方にはぜひ読んでいただきたいです。様々な独自の概念に彩られた世界を丁寧に描いた良作です。すでに挙げたような富士田けやきさんの作品が好きな方や、なろうだと『濁る瞳で何を思う』や『TS衛生兵さんの成り上がり』が好きな方には向いているかもです。
■ざっくり評価
9.0
■テンプレ要素
無双 5/10
■作品成分
成長 30%
ヒューマンドラマ 30%
成り上がり 20%
友情 10%
恋愛 10%
■更新頻度
週2回更新(12月は諸事情で不定期とのこと)
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2770if/