君の瞳に恋をしたんじゃない
勘違いしないでよ。
君の瞳に恋をしたんじゃない。
君の瞳に映る自分に恋をしたのよ。
何も知らない純朴な瞳。
その瞳に映る憧憬は私を正しく捉えてはいなかった。
それがとても気持ち良くて、同じくらいに空虚だった。
君の瞳に恋をしたんじゃない。
君の瞳に映る自分に恋をしたのよ。
私はあなたに恋をしない。
私はあなたを愛せない。
つまるところ、私たちは知っているのよ。
同じ穴のムジナだってことを。
腹の底では醜悪なものが蠢いているのに、
それを悟られないように必死になって隠し続けている。
私たちはそんな自然なことを、どうにか見ないようにしている。
互いにキレイでありたいから。
互いに互いの理想であり続けたいから。
君の瞳に恋をしたんじゃない。
君の瞳に映る自分に恋をしたのよ。
私はあなたに恋をしない。
私はあなたを愛せない。