21.異世界ものに◯◯を出すとき
こんにちはー、ふとんねこです。先日の20話には沢山のご意見ご感想をいただきまして、返信にて、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。
これからもゆるゆると参りますので、御贔屓いただけたら幸いです。
さて、今回は『異世界ものに◯◯を出すとき』と題を付けまして、異世界ものを書くときの注意、と言うほどでもないのんびりした意見を書かせていただきます。
この話題に関して、サブタイトルからは想像が少し難しいかもしれないので、よく言われます「単位」を例に、導入とさせていただきます。
異世界、と言うのは、我々の住まうこの世とはまったく別の世界であります。
よく似ていたとしても、その物理法則には違いがあったり、魔法なんて言う不思議な力が科学の代わりに発展していたりします。
当然、キャラクターたちが立っている大地もこの地球とは違うわけで。もしかしたら大地は球ではないかもしれない、世界の端は大航海時代前の人々が想像したようにぷっつりと途切れているかもしれません。
そんな中で、地球基準で作り上げた単位を使っているはずありませんよね?
勿論異世界転生・転移系でしたら、日本人の主人公の主観として作中で使うことができます。
しかし、異世界の住人が「メートル」や「キログラム」を使っては違和感がある、と感じられる読者様もいるそうです。
ちなみにふとんねこも、そのまま使うことに抵抗のある作者であります。
そう言うわけで、作中では「メートル」をもじった「メトル」とか、読者様に簡単にイメージしていただけるオリジナル単位を使っている作者様をよく見かけます。
ふとんねこは、こんがらがるので単位を使わずにいるタイプです。使わなくても物語は書けますからね。
導入はこのくらいで、今回はオリジナル単位を用いる話ではなく、異世界ものの中に「単位と同じように、そのまま用いると変なもの」を出すときの注意のようなお話がメインですから。
それでは参りましょう。
今回例として取り上げますのは、近世ヨーロッパ風異世界ファンタジーでたまに出てくる飲み物、紅茶です。
いきなりですが、ここで1つ、例文を書かせていただきます。
【てきとうな例文(⌒‐⌒)】
「まったく、うんざりだわ!」
燦然と輝く金の縦ロールを揺らしながら椅子に座った悪役令嬢アリガチーナ・タテドリルは溜め息を吐いた。
「どいつもこいつも恋愛恋愛……頭にピンクの花でも詰まっているんでなくて?」
「お嬢様、口調が乱れておいでです」
「今だけよ……」
執事のたしなめる様な声に首を振り、アリガチーナは再び深い溜め息を吐く。
(いくらここが乙女ゲームの世界だとしても、将来国を動かす者たちが平民に夢中なんてどうかしているわ! あのお花畑……ヒロイン、何か変なフェロモンでも出ているのかしら?)
「どうぞ、お嬢様のお好きなアールグレイです」
「ありがとう、セバス」
アリガチーナはそっと差し出されたティーカップを手に取り、落ち着いたベルガモットの香りを吸い込んだ。
【例文おわりー(´・ω・`)】
……色々と突っ込みどころはありますが気にしないでください。
さて、この文中に出てくる紅茶は“アールグレイ”ですね、名前の由来を探ると「異世界ものには出せないなぁ」と思うものの1つであります。
有名な話ですが、アールグレイの名前の由来は1830年代に英国首相を務めた第二代チャールズ・グレイ伯爵です。
伯爵は英語で『earl』つまり『アール』なので、グレイ伯爵でアールグレイ。大層なお茶好きさんだったらしく、アールグレイが生まれたきっかけなので、名前が使われたと言うことです。
つまりアールグレイは、チャールズ・グレイ伯爵が存在しない異世界では存在し得ない紅茶なのであります。
同じように、世界三大銘茶である、中国の祁門、インドのダージリン、スリランカのウバ等も、地名由来なので使えないわけですね……
幸いにも悪役令嬢アリガチーナは転生者らしいので、このシーンでは『アールグレイの様な香りがする紅茶』とか、そういう風に書くこともできます。
茶の木、又はそれに似たものはきっと異世界にもあると思われるのでお茶自体は出しても平気なはず。
世界の基盤が乙女ゲームなら尚更。がっつりの異世界ものでも、茶の木さえあれば古代の技術ですらお茶が飲めます。
茶の木など無い……と、植物の種類すらオリジナルで作り込む力量とお時間をお持ちの作者様でしたら、どんな世界観の作品になるのかめちゃめちゃ気になりますね。
気にしたら負けよ、と言われてしまえばそれまでなんですがね……普段は地名由来なんて気にしませんから、異世界ものにさらりと出てきても「え? 何か問題でも?」と気にしない読者様の方が多いでしょう。
これは単に、ふとんねこのこだわりなのでした。
お茶の他にも、お酒の類いなんかで地名由来や人名由来が存在しますよね。
素敵な名前が多いので、文中に出てくると「なんかイイ」って感じがするのは分かるんですが少し気になるのでした。
なかなか、自分でも面倒なこだわりだなぁと思います。しかし、このこだわりによって世界観に深みが出れば、と願う作者の心なのでした。
他にも人造石キュービックジルコニアのお話とか、地名由来の動物の名前とか、用意があったのですが、長い上に紅茶の話で大体言いたいことは言い終えられてしまったので、この辺で締めましょう。
それでは皆様今回はこの辺で。次の思い付きでお会いしましょう。アデュー!
気にさせない技量があれば問題ないね、と思うふとんでした。




