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ドリスの学園生活が気まま過ぎて困る  作者: 朱村 木杏
第三章 大会盛り沢山!!
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69 中間試験と乗馬大会出場!!


 先日、中間試験が行われた。

 結果は……


「おめでとう。うちのクラスがまた、断トツで一位だった」


 ボイス先生の声が教室に響くと、「おぉ!!」と言う歓声が上がった。


「この調子で、学年末も頑張ってくれ。さて、次はいよいよ、乗馬大会だ。この大会は男女混合で行われるから、女子も頑張るように。剣術大会の時と同じで、大会委員はこちらで決めさせてもらう。詳しいことは、授業で聞け」


 スタスタとボイス先生が教室を出て行くと、皆、順位表を見に立ち上がった。


「ドリスも行きます?」

「うん」


 二人で向かうと、そこにはアンディの姿があった。横には居心地が悪そうなリコが立っている。


「殿下? どうだった?」

「またアルベルツの勝ちだ」


 アンディは苦い顔をしてドリスを見る。

 そんなアンディを余所に、ドリスとリーナは、順位表を見た。

 一位にはドリス・アルベルツの名前があった。


「アンディだって二位ではありませんか。私はまた三位ですわ」


 拗ねるような顔をして、リーナは順位表を見ていたら、ある名前を見つけた。


「ドリス! 四位はエルですわ!」

「え? 本当だ」

「頑張っていたからな。トールとの復習が役に立ったと言っていた」

「その、エルとトールはどうしましたの?」

「二人は教師に捕まって、手伝いをしている。もう、来るだろ」


 そう話しているうちに、エルとトールがこちらに来るのが見えた。


「順位、どうだった?」

「私達はこの前と同じ。エルは四位だったよ」

「え!? あ……俺の名前だ……」

「トールもほら、あそこ」


 十位 アナトール・ファルトマン


「ん? え? 嘘……こんな上なんて初めて……いや……取りすぎた……! 次どうしよう!? エル!!」

「頑張れ」

「嬉しいけど、やりすぎた~!! あ、だからさっき先生に頼まれたのか」


 「あー!!」と言いながら、頭を抱えて赤い顔をしたり、青い顔をしたり忙しいトールを放って置いて、次の話題に移った。


「もうすぐ乗馬大会の時期だな。出れそうなのか?」

「はい。ドリスと私は、乗馬の成績上位なので、もしかしたら出られるかもしれませんわ!」

「俺とトールも出れそうだ。アンディは、休暇中にやったことが出来ていれば大丈夫そうだな」

「乗馬に関しては、自信はないが……」

「休暇中に教えて頂いて良うございました。皆様、ありがとうございます」

「リコ! まるで私がサボっていたみたいではないか!?」

「その通りでございますが?」

「……」


 アンディがしかめっ面していると、やっと立ち直ったトールが話に入ってきた。


「乗馬大会ね。さすがに妨害はないと思うけど、警戒はしとかないと」

「あ……そっか。私達、狙われてるんだった」

「こっちもだ。第二王子に目を付けられた」

 

 エルが、ドリスとリーナにしか聞こえない小さな声で囁いた。


「……もしかして、剣術大会?」

「そうだ。アンディから聞いた」

「私が一緒にいるからではないでしょうか?」

「何で? ……あ」


 そう言えば、婚約者だっけ。一応。


「ここでは……まずいな」


 アンディが皆で寮に帰ろうと促し、寮の談話室に駆け込んだ。






「第二王子に狙われている話は、誰かに聞かれたらまずいだろ。そうじゃなくても、リーナと第二王子の仲が悪いということは周知済みだが、こういう時は、女性であるリーナの方が立場が悪いからな」

「あの場に、過激派がいたの?」

「話は聞こえていないようだったが、ジンによるといたらしい」

『もうちょっと近くだったら、危なかったかもな』

「ありがとうございます。ジン」

『それも俺の役割だし、気にすんなよ!』

「リーナ。第二王子は頭が花畑な人間だ。自分が気に入らない奴は視界にも入れたくないタチだろう。遅かれ早かれ、私達が狙われることはわかっていた。それに私は、会った当初から、第二王子に嫌われていたから、同罪だ。

「そ……そうなのですか?」

「初対面で、虫のような色の髪だと言われたよ。うちの国に宣戦布告しているのかと思った」


 アンディの祖国であるワシュー王国は、黒髪がほとんどを占める容姿が特徴の国だ。

 その、黒髪を虫扱いするのは、国を否定された事を示す。


「すぐ、王や王太子が気づいて謝罪して下さったが、あれ以来、私に会うたびに当たってくる。その程度の男だ」

「そうですわね。私のことも、影で虫って呼んでいますし」

「黒髪が嫌いなの? 第二王子って」

「えぇ。生まれた時から、金髪や茶髪の人しか見た事がなかったのですよ? 黒なんて、自分の周りにはない色なので、受け入れづらかったみたいです」

「とにかく。これから本格的に、色んな者から狙われる。少し前に、寮で狙われた通り、安全な場所はない。皆、肝に命じておけ」


 皆、渋い顔をしながらうなずいた。






 乗馬大会。

 男女混合で、クラスで上位五名が出場できる大会だ。

 馬に乗って、障害物をいかに綺麗にクリア出来るかを競う。

 乗馬の授業は、基本男女混合だが、慣れている人と慣れていない人に別れて、授業を受けている。

 

「では、このクラスの出場者を発表する。アルベルツ、ブローン……」


 ドリスとリーナは、乗馬大会に出場することが決定した。





「皆様! 私達、乗馬大会に出ることになりましたわ!」

「俺らも」

「え!? 殿下も」

「皆に鍛えられたからな。当然だ!」

「本当にありがとうございます。これで、本国に良い報告を……」

「するな」

「なぜです!?」

「隠していた方が、面白いからだ」


 落胆するリコに、アンディは悪戯な顔を浮かべた。




 一方、馬術大会の出場者決定に、慌てる人物がいた。


「なぜだ!? なぜ、過激派は一人も入らないんだ!?」

「それは、他の方々が優秀だったからでございます」

「くそっ! そうだ! 誰か一人くらいは大会委員がいるだろう?」

「バシリウス殿下。忘れたのですか? この大会では仕掛けないと」

「少しくらい、良いではないか!!」

「一人も誘われなかったようですよ」

「ちっ! つまらん」


 バシリウスの侍従は、心の中でため息をついた。




 


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