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ドリスの学園生活が気まま過ぎて困る  作者: 朱村 木杏
第二章 三領巡りに出発!!
57/94

55 街へ遊びに行きましょー!!



 女子トークをしたその日の夕食時に、良い知らせが届いた。


『やっと、あの三人組は出て行ったぞ』

「本当!?」

「ドリス、何て?」

「もうあの三人組は、出て行ったって!」

「元々、あの三人の資金はそんなになかったからな。一泊で精一杯だろう」

「じゃあ、やっと行けるな! 明日は町巡りだ!!」

「そうですわね! 明日行きましょう!!」


 明日は、ついに待ちに待っていた町巡りをする事になった。





 次の日。


 男性陣は皆、金髪のカツラをつけていた。


「え!? アンディも金髪にしたの?」

「そうだ。この色も試して見たかったからな」

「大丈夫かなぁ。さらに美少女度が増してる気がするけど」

「……美少女?」

「あ・いや、この国では金髪に緑の瞳なんていっぱいいるし~……その」

「大丈夫です」


 すると、金髪のカツラを被ったリコが、話を割って入る。


「アンディ様の貞操はこの私が守ります」

「リコ! 主人に対して失礼な事を言うな!!」

「真実ですので」


 そう、金髪姿のアンディは思った以上に麗しかった。

 黒髪のオリエンタルな姿も魅力的だが、金髪になると、華やかさが強調されて、より女性的になる。女性的な髪型ではないのにも関わらず……だ。


「俺が結局霞んじゃうじゃん」

「知らん」


 そんな会話をしていたトールとアンディを他所に、女性陣も準備が出来たらしく、ロビーで合流した。


「お待たせしましたわ」

「みんなキラキラだね」


 リーナとドリスは、お揃いの茶髪のかつらを被っていた。


「ドリス、綺麗だ」

「あ……ありがと。エルも相変わらず似合ってる」

「あら、ちょっと暑いかしら?」

「リーナ!!」

「では行きましょう! 予約しているとは言え、早く行かないと」


 実は、昨日の夕食が終わった後に、使いを出し、レストランに次の日の昼の予約を取ったのだった。……領主権限で。

 幸い、混み合ってはなく、すんなり予約が取れたと聞いて、ドリスはホッとした。


 皆、同じ馬車に乗り、街へ向けて出発した。

 


 



「レストランは元我が家のシェフがやっていますの。きっと気に入りますわ」

「ブローン家の食事、他とは段違いだもんな」


 芸術にこだわるブローン家は、見た目だけかと思いきや、中身から何から何までこだわっている。

 服もデザインはもちろん、機能性にも力を入れているものも多いし、食事も味には、国内で一番こだわっていると言っても良い。


「我が家から独立するシェフも多いのですよ。王城に上がった者もおります」

「王城の食事も確かに美味しかったのだが、こちらの方が上だと思う。全員には行き届いていないのだな」

「王城はですね、古参のシェフが多くおりまして、いまだに格差があるのです。我が家から王城に上がった者とも、たまに会うのですが、あまり大きな仕事は任されていないようでした。それでも他の者よりはマシだと言っておりましたが……」

「まぁ……古参の者が新しいものを取り入れるかというと、そうではないこともあるからな」


 アンディは口には出さなかったが、ただの頑固な人なのか、それとも過激派と関わりがあるのか、王城に居る時は注意しようと密かに警戒した。






 街に着き、レストランに入ると、皆好意的な目で見てくれた。

 なんでも、()()()()()()がご友人を連れて来たのは初めての事で、こちらも気合が入っていると、レストランのオーナーであり、元ブローン家のシェフの男性が教えてくれた。


「リーナ、愛されてるね」

「ま……まあね!」


 リーナは恥ずかしそうにそっぽ向いた。

 レストランの食事を堪能した後、メインである買い物をする事になった。


「皆で動きます? それとも別行動しますか?」

「皆一緒で良いだろう。用が出来たら途中で抜ければ良い」


 そこで皆が目指したのは、貴金属の店だった。


「え!? ここに入るの?」

「何? トールは興味なかった?」

「ない訳じゃないけれど……」


 俺、君らみたいに相手がいないんだけど……


 トールは渋々、皆について行った。


「私とドリスのお揃いのものを買いましょう!」

「良いね。何にする?」


 女性陣二人はとっとと奥へ行ってしまった。


「皆は何買う?」

「……お……俺は……その……」

「エル? どうした? まさか……」

「そこまでにしてやれ、トール。私もエルと同じで買いたいものがある」

「アンディもか……」


 やっぱり! ……入らなきゃ良かった






 リーナとドリスは、お揃いの髪飾りを購入していた。エルとアンディも購入し、店を出たところで、男二人が動いた。


「ドリス……これ、受け取ってくれないか?」

「え……」


 それは、小振りの水色の石が付いているネックレスだった。


「普段使いに良いかと……思って……」

「貰って……いいの?」

「領では、ドリスが居たからこそ、助かった事も多かった。そのお礼……」

「あ……ありがと」


 互いにぎこちなく言うところが初々しい二人だった。

 すると、アンディもリーナに贈り物を渡した。


「リーナ、これ、受け取ってくれ」

「まぁ。私に?」


 それは、緑の石がついたブローチだった。


「色々、世話になったからな」

「……本当に頂いてよろしいのですか?」

「あぁ」

「ありがとうございます」


 女性二人は、頬を染めて、お礼を言った。

 すると、エルとアンディは黙って目を逸らす。

 トールはこの生暖かい空間に、ゲッソリしていた。


 あーー……お熱いですねーーーー。二人とも、自分色に染めたいってか? 自分の瞳の色が入ったものをプレゼントなんて……あーー!! 俺も可愛い婚約者作りたーい!!


 歯ぎしりしたい気持ちを必死に抑えて、トールは冷静になろうと務めた。




 一方従者のリコは、密かに感動していた。


 アンディ様。

 クソ生意気な美少年の頃から、大分成長なさった……。

 初めて会った時は「美少女の従者キタァーー!!」 と思って、ニヤケ顔をしてしまい「私は男だ」と死んだ魚の様な目で言われてしまったが、それが夢の様だ。

 サボっていた剣術や馬術も、以前とは比べ物にならないくらい上達されて……お兄様でいらっしゃる、王太子殿下からは「姫」と揶揄されていた頃が嘘の様……!!

 王太子殿下に言ってやりたい! アンディ様は漢になったと!!

 本当に……ロザリファに来て良かった!!


 リコがひっそり心の涙を流す一方、皆は買い物を楽しんだ。





よく考えたら、このメンバーの中で金髪はドリスだけだった事に、今更気づきました。

忘れている人はいないと思いますが、一応、皆の髪色を書いておきます。

ドリス→金髪

リーナ→黒髪

エル→銀髪

トール→茶髪

アンディ→黒髪

リコ→黒髪

……黒髪率、高!?

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