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ドリスの学園生活が気まま過ぎて困る  作者: 朱村 木杏
第二章 三領巡りに出発!!
42/94

40 剣の鍛錬! やっぱり皆、強いなぁ

作中、剣のアドバイスをしている箇所がありますが、作者が適当に書いたものなので、あまり信じないでください。

戦うシーンが下手で、まだ描写が上手く書けません。……反省。


 

 昨日の花の件は、アピッツ侯爵にエルから伝えたらしい。朝食の席で、一緒に食べていたアピッツ侯爵が、ドリスに話しかけてきた。


「そんな貴重な花だったとは思わなかった。分かっただけでもありがたいのに、咲かせてくれて、感謝する」

「いえ……私の魔法の練習でもありますから」


 アピッツ侯爵はエルから聞いて知っていたようだ。


「また、協力してもらうかもしれないから、その時はよろしく頼む」

「わかりました」


 これで話は終了と思ったその時……


「母上から連絡があった。午後にはこちらに着くそうだ。今日の夕食後か明日以降のどこかで、母上からお茶会の招待を受けるかもしれない。……覚悟しておくように」


 覚悟って……


 エルを見ると、明らかに苦い顔をしている。その弟のヴィリーも全く同じ顔をしていた。


 なんか……気が重い






 今日は、剣の訓練をする事になった。なぜなら、お祖母様が来たら、すぐ中断できるから。

 最初は乗馬に行こうとしたが、今日はアピッツ領の兵達の馬上訓練の日らしく、生憎乗れる馬がないらしい。

 それを知り、アピッツ兄弟は「ちっ」と苦虫を噛むような顔で、教えてくれた執事を見た。その執事が提案してくれたのが、剣の訓練だったのだ。







 剣の訓練場は、アピッツ侯爵領館の一番広い庭。そこで、一対一の対決をする事になった。


 ドリスはアンディには勝てるものの、エルとトールには勝てなかった。今日はヴィリーも付き合ってくれるという。


「ヴィリーも強そうだね」

「まぁ、小さい頃からやってますからね。当たり前かもしれませんが、兄にはまだ勝てません。ここの兵達だって、兄上に勝てるかどうか……」

「そんなに!?」


 ドリスが驚いていると、エルから声が掛かった。


「ドリス、俺と対決しよう」

「……お手柔らかに」

 

 そんな話を聞いてすぐに対決なんて……なんて間の悪い……


 互いに先の潰れた剣を構えると、審判のトールの合図で足を踏み込んだ。

 ドリスは先手必勝とばかりに容赦なく、剣を振った。が、すぐに躱されてしまい、素早い剣の打ち合いが始まった。

 ただでさえ、女は男よりも体力がないし、体格差もある。

 ドリスは女性として平均くらいの身長だが、高いかどうかでいうなら、低い方に入る。片やエルは男性として平均くらいの身長で、ドリスの頭はエルの耳くらいの高さだ。手足のリーチもある。早いうちに仕留めなければ! 


 渾身の一撃をエルに向かって放つと、その瞬間、ドリスの手から剣が離れた。

 剣は弧を描いて、地面に落ちる。……ドリスの負けだ。


「エルの勝ち」


 トールの声を聞き、息を吐いたドリスは剣を拾って、エルと向かい合い、礼を取る。


「負けたー」

「それでも見応えあったわ!」


 リーナは興奮しながら、ドリスに近づいた。


「ファルトマン領で戦った時より積極的じゃない?」

「そうしないと、勝てない気がして……」

「あ、それ当たり。女性は瞬発力が命だから、すぐ動けた方がいい」

 

 エルがアドバイスをしてくれる。


「相手が気づかないうちに素早く攻撃した方が、勝てる確率も上がる。けれど、それは男も知ってるから、それに慣れると男の場合、力と技術でなんとかなる。もっと技術を磨いた方がいいかな。体力はもちろんだけど」

「うわー……まだまだ未熟って事じゃない……」

「俺はドリスが、ついこの前剣を握ったって方が驚きだけどね」


 ドリスはこの旅行の数日前に剣を初めて握った。その状態でここまで振れる人はなかなかいないのだ。しかも女性で。






「次は、俺とアンディな!」

「トール、今日は勝つぞ」

「どうかな~?」


 審判はヴィリーに務めてもらった。


 始めはトールから仕掛けた。わざとらしく大きく振りかぶるが、アンディはすぐに躱した。アンディは続けて後ろを取ろうとしたが、トールはすぐにかがんで後ろに向かって足払いをした。

 アンディは慌ててトールの足を避けたが、バランスを崩し、それを整えるためか、あえて後ろに飛んで距離をとった。

 その動きを読むかのように、トールはアンディの一連の動作の間に、相手の後ろをとり、その首に剣を当てた。


「トールの勝ち」

「……くそ!」

「まだまだ技術がな~。ちょっと戦法変えた方がいいかもよ? 型通りに来るって事はないんだし」

 

 ファルトマン領にいた時も感じていた事だが、どうもアンディは、正式な打ち合いはあまり経験がないようだった。

 アンディの侍従、リコに聞くと、アンディはロザリファの事を調べるのに夢中で、剣は疎かにしていたらしい。

 最初に筋が良いと褒められた事で、練習しなくても出来ると勝手に解釈し、それよりも興味がある事に没頭していたのだ。


『ほら、サボっているからだ』


 自分の精霊、ジンからも言われてしまい、アンディは悔しそうにジンを見た。


「じゃあ、この旅行中にしっかり訓練しよう。剣術大会もあるんだし」

「……わかった」

 

 苦い顔をしながらも、アンディはトールの教えを受け入れていた。


 

 



「次! 俺とやりましょう! ドリス様!!」


 ヴィリーが名乗りを挙げたので、ドリスは受ける事にした。


 ドリスは、素早く動いて懐に入ろうとしたが、スルッと躱された。さすがは兄弟。動きが似ている。だが、兄とは違い、ヴィリーはドリスに向かって、突っ込んできた。

 それをすんでの所で躱し、一瞬隙が出来た所にドリスは剣を振るが、ひらりと躱された。

 

 ヴィリーはいつの間にかドリスの横にいて、剣をドリスの首に向けた。

 

「ヴィリーの勝ち」

 

 お互い礼をして、剣を鞘に収めたが、ドリスはまたため息をついてしまった。


「はぁ。また負けた」

「楽しかったです!」

 

 満面な笑みでヴィリーがそう言ったが、肩で息をしているドリスは「そう」としか言葉が出なかった。

 

「体力つけないとなぁ」


 ドリスはこの旅行中に、体力をつける事に集中する事にした。



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